最終的には「気持ちっしょ」レキシが語る活動再開までの日々と今後の展望 (3/3)

レキシネーム「あんみつ姫」を打診されたキョンキョンの反応は?

──しかし、ここで問題なのは小泉さんに付けたレキシネームについてですよ。やっぱり「あんみつ姫」なのか、と(笑)。

レコーディング中も、半分くらいそのことが気になってた(笑)。いつレキシネームのことを切り出そうかと思って。だって、30年前から「あんみつ姫」っていう立派な名前を持ってるわけじゃん? 言わばレキシネームの超先駆けだよね。だからオファーするときから、あんみつ姫しかないなと思ってた。でも、ご本人が嫌かもしれないなとも思って。だから「小泉越後守(コイズミエチゴノカミ)」っていう別のレキシネームも用意して。「戦国自衛隊」って映画に出てくる登場人物なんだけどさ。でも、誰も元ネタがわかんないじゃん?

──小泉さん、越後に所縁ないし、「戦国自衛隊」にも出てないし(笑)。

ただ語呂がいいだけでね。だから、あんみつ姫しかないなと。それで歌入れが終わったときに、「本当に申し訳ないんですが、もう、あんみつ姫しか考えられなくて……」って。

──それを聞いた小泉さんの反応は?

「え~」って(笑)。その反応を見て「ヤバッ!」と思った(笑)。ご本人的には、さすがにこすられまくってる印象があるみたい。でも、最終的には「いいよ!」って快くオッケーしてくれて。でも面白いよね。あんみつ姫って、30年前からずっと呼ばれてるんだなと思って。

──もともとはフジテレビのドラマ枠「月曜ドラマランド」の1シリーズですからね。「意地悪ばあさん」「どっきり天馬先生」「ビートたけしのこにくらじいさん」とか、我々の世代にはど真ん中のラインナップ。小泉今日子さん主演の「あんみつ姫」は、1983年5月から3回だけ放送されて、「クライマックス御一緒に」という主題歌もヒットしました。

ドラマ自体の放送回数は3回だけだったのかあ。それほど印象的だったんだろうね。そういう俺ら世代の思い入れも込みで、改めてレキシネームを付けさせてもらいました。逆に違う名前をつけたら「なんで、あんみつ姫じゃないんだ!」って炎上してたよね(笑)。

──炎上はしないと思うけど。

小泉越後守にしないでよかった!

ジャケのイメージはYMO

──「エレキテルミー」は、レキシネーム「天下聖一武道会」ことマンガ家の天久聖一さん率いるグラフィックチーム来夢来人がジャケットのアートワークを手がけています。そもそもの経緯は?

「エレキテルミー feat. あんみつ姫(小泉今日子)」ジャケット

「エレキテルミー feat. あんみつ姫(小泉今日子)」ジャケット

天久さんは歴史をテーマにした「歴T」っていうTシャツを作ってるの。ある日、Xを見てたら、「レキシの『SHIKIBU』を聴きながら紫式部のTシャツをデザインしました」って書き込んでくれていたんだよね。それを見て「おお!」と思って。そのときは、ゆくゆくTシャツとか一緒に作れたら面白いかなとか思ってたんだけど、今回ひさびさに作品を出すにあたって、「ジャケットどうする?」って話が出たときに、天久さんにお願いしようという話になった。個人的にも「歴T」を買ったりしてたから、自分の中で旬な人でもあったんで。

──天久さんとの面識は?

いとうせいこうさんのお家で1度だけ話したことがあった。俺は「バカドリル」(天久聖一とタナカカツキによるギャグマンガユニットおよび、その著作)が大好きで、大阪の専門学校に通っていた頃すごく読んでたんだよね。だけど、あの笑いのセンスって、どこかパイセンたちのものみたいな印象があって。

──例えば天久さんとも親交の深い電気グルーヴとか?

そうそう。そのイメージがあったから、俺みたいな若造が、みたいな気持ちもあったんだけど、今回タイミングが合って、しかも同じくパイセン世代であるキョンキョンともご一緒させていただいて、みたいな流れもあったからお願いしてみようということになった。

──ビジュアルのイメージはお任せだったんですか?

うん。天久さんはYMOのデビューアルバムをイメージしたみたい。タイトルが「エレキテルミー」だし、トラックも打ち込みでなんかテクノっぽいから、このイメージが思い浮かんだらしい。シュールな感じで面白いよね。そうだ、シュールと言えば、このジャケットが上がってきた時期にちょうど「デ・キリコ展」を観に行ったんだよね。シュールで、どこか怖い雰囲気もある感じが、今回のジャケットの世界観とつながって、めちゃくちゃビリビリした。

──はははは。

「ビリビリ」って便利な言葉だよね(笑)。そしたらさ、インスタ見てたらピエール瀧さんも「デ・キリコ展」観に行ってたんだって! いろんな要素が自分の中でつながった。すごくない、これ?

──でんじろう先生の静電気実験ばりにビリビリきました(笑)。ひさびさの作品が出て、ここからコンスタントに作品リリースを続けていく感じですか?

そうね。どんどん出していきたいね。前は作品をリリースすることに対して億劫だったし、正直言うと、怯えていた(笑)。リリース怖い!みたいな。締め切りだけじゃなくて、自分の中から生まれる曲を世の中に出していくことに対する恐怖感もあって。曲作りの才能が枯渇するんじゃないかとか、そういう部分も含めてね。でも今回、トラックを1人で作ったこともあって、もうちょっとフットワーク軽く作品をリリースしてもいいんじゃないかと思ったんだよね。自分の中で旬のうちに作品を出すというか。

──今回みたいにワンテーマで、緩急をつけずに一気に作りあげてしまうというか。それはレキシの活動の中でも、これまでと違った身軽さがあるというか。

身近な人からも「新曲いいね」と言ってもらえて。うれしいよね。

──褒めをもらって。

褒め、照れちゃうからさ。

──そして9月27日の新潟を皮切りに、全国11都市のライブハウスを回る「レキシツアー2024 秋 ~稲穂をまだ振ってる途中でしょうが~」も開催されます。

アコースティックツアーが終わったと思ったら、バンドツアーがすぐに始まる。アコースティックツアーを無理やり入れたから自業自得なんだけど。次回のライブハウスツアーを経て、今後は会場をスケールアップしていってもいいよね。お客さんからも「椅子がないとキツい」って声が挙がってるし。メインの客層が足腰にくる世代だから(笑)。次のツアーが終わったら、スタンディングのライブはしばらくやらないかも。それか、次にライブハウスでやるときは、スタンディングじゃなくて椅子を並べるかもしれない。椅子を置いてあげないと無理かもな。だって俺自身が、椅子ないとキツいもん(笑)。

──ステージ上にも椅子が置かれるようになるかはともかく(笑)。さっきシャワーを浴びながら思いついたアイデアも盛り込まれるということで。

そうだね。「こっちの方向が面白いかな」って今、いろいろ準備し始めてるところ。とは言え、基本は変わらないです。まあ、ツアータイトルを見てもらえばわかるよね?

レキシ

ツアー情報

レキシツアー2024 秋 ~稲穂をまだ振ってる途中でしょうが~

  • 2024年9月27日(金)新潟県 NIIGATA LOTS
  • 2024年10月3日(木)広島県 広島CLUB QUATTRO
  • 2024年10月9日(水)北海道 Zepp Sapporo
  • 2024年10月11日(金)宮城県 SENDAI GIGS
  • 2024年10月15日(火)神奈川県 KT Zepp Yokohama
  • 2024年10月17日(木)愛知県 Zepp Nagoya
  • 2024年10月20日(日)石川県 金沢EIGHT HALL
  • 2024年10月31日(木)福岡県 Zepp Fukuoka
  • 2024年11月6日(水)香川県 高松オリーブホール
  • 2024年11月12日(火)大阪府 Zepp Namba(OSAKA)
  • 2024年11月13日(水)大阪府 Zepp Namba(OSAKA)
  • 2024年11月19日(火)東京都 Zepp DiverCity(TOKYO)
  • 2024年11月20日(水)東京都 Zepp DiverCity(TOKYO)

バンドメンバー

ピアノ:元気出せ!遣唐使(渡和久)
ギター:健介さん格さん(奥田健介 from NONA REEVES)
ベース:御恩と奉公と正人(鈴木正人)
ドラム:伊藤に行くならヒロブミ(伊藤大地)
サックス&フルート:TAKE島流し(武嶋聡)
トランペット:元妹子(村上基 from 在日ファンク)

プロフィール

レキシ

1974年福井県生まれの池田貴史によるソロプロジェクト。池田は1997年にSUPER BUTTER DOGのキーボーディストとしてデビューし、2004年からは100sのメンバーとしても活躍。その日本史マニアぶりを生かし、2007年にレキシとしての1stアルバム「レキシ」を発表した。2011年3月に2ndアルバム「レキツ」、2012年12月に3rdアルバム「レキミ」をリリース。2014年6月に4thアルバム「レシキ」を発表し、8月には初の日本武道館公演を行った。2015年9月には青森・三内丸山遺跡でのワンマンライブを成功させる2016年6月に5thアルバム「Vキシ」をリリースした。同年10月には大阪・大阪城西の丸庭園にて初の野外公演、東京・日本武道館で初の2DAYS公演を実施し、それぞれ成功に収める。2018年1月に放送が開始されたNHK大河ドラマ「西郷どん」のパワープッシュソングに「SEGODON」を提供。4月には地元福井県鯖江市で凱旋となる野外公演を開催した。2018年9月に6thアルバム「ムキシ」を発表。2022年4月に7枚目のアルバム「レキシチ」をリリース。しばしの充電期間を経て、2024年5月に大阪・Shangri-La、東京・新代田FEVERでフルバンド編成でのワンマンライブ「レキシツアー2024 ~稲ふったりもしたけれど、私はげんきです~」を行い再始動。7月に配信シングル「エレキテルミー feat. あんみつ姫(小泉今日子)」を発表した。9月より11カ所を回るライブハウスツアー「レキシツアー2024 秋 ~稲穂をまだ振ってる途中でしょうが~」を行う。