Redhair Rosy「turn red I」インタビュー|the McFaddin活動終了後、再びバンドになるまでの日々 (2/2)

バンドになっていく過程

──「Lonely」でリフレインされる「チラつく明日」「朝方のメンソール」という歌詞は、どのように生まれたのでしょうか?

Ryosei ギャルがクラブで「明日チラつく」って言ってたんです。それをもらって「チラつく明日」というリリックにしました。ギャルはね、けっこういいこと言うんですよ。まだこれからも出てきますよ、ギャルから。

Taito ギャル語録(笑)。

Ryosei クラブには、“みんなでおるのに1人なやつ”がいるんです。そういう人に「みんな1人やねんで」って伝えたくて、この曲を書きました。

Redhair Rosy「Lonely」配信ジャケット

Redhair Rosy「Lonely」配信ジャケット

Ryoma クラブって意外と孤独を楽しめる場所なんですよ。なんかこう、トイレに入った瞬間とか。音が遠くで鳴ってるのを1人で聴く感じ。

Ryosei そうそう。クラブは孤独を肯定してくれる気がします。

Ryoma 孤独な人こそ、クラブに行ったほうがいい。

──「朝方のメンソール」のほうはどうですか?

Ryosei これもパーティの終わり際、空が白んで、鳥が鳴き始める頃をイメージしたリリックです。

Taito 「dip.」(the McFaddin時から続く主催イベント)の景色がめっちゃ浮かぶんですよね。朝までパーティをして、ヘトヘトで片付けて、外に機材を置いて、みんなでしゃべりながらタバコを吸う。まさにその感じが音になってます。

──曲の終盤で生ドラムが入ってくるアレンジ、個人的にとても好きです。

Taito 「Lonely」では俺らがバンドになっていく過程を表現したくて、そういう構成にしましたね。

6人組のロックバンド

──そして新曲「2 feet for shoes」が、今作のリードトラックとなっています。直訳すると、“靴のための2本脚”。

Ryosei 僕らの世代や、もっと若い子たちって、靴とか、服とか、車とか、そういうもののために働いてるじゃないですか。「2 feet for shoes」というタイトルは、「靴から2本脚が生えてるような人生」「飾りのために生きること」を意味してます。

──風刺の意味合いが含まれているんですね。

Ryosei 自分もそうなので、人様に言えることじゃないんですけどね。ただ、服だけカッコいいやつとかけっこういるでしょ。あれ、俺は認めへんぞっていう思いもあります(笑)。

──MVはどんなコンセプトで撮影されたのでしょうか?

Ryoma 僕が伝えたかったのは、Redhair Rosyが6人組のロックバンドだということ。「2 feet for shoes」はゴリゴリのバンドサウンドなので、メンバーそれぞれの佇まいや、演奏のカッコよさをストレートに表現しました。

Taito 「Rush」から「2 feet for shoes」まで、流れをすごく意識したよね。“バンドとして完成する”という意味で、EPのタイトルが“turn red”になってるんです。

偶然を拾う

──3曲目「Kirua」の制作はいかがでしたか?

Ryosei Xamd(Kazutaka Sawaによるソロプロジェクト)が「こんな曲どう?」ってオケの種をくれたんです。そのまま1回歌ってみただけで、すごく納得感があって。初めは曲名を「びしょ濡れ」にするつもりだったけど、最終的にはXamdがくれた仮タイトル「Kirua」のほうを採用しました。

──「Kirua」の由来は?

Ryosei たぶん「HUNTER×HUNTER」のキルア=ゾルディックです。デモ音源をもらった頃、たまたま僕もアニメを観直していて、キルアの気持ちと、そのとき書いてたリリックが偶然ハマって。

──先ほどのギャルの話もそうでしたけど、Ryoseiさんは偶然を採用することに迷いがないですよね。「いいな」と思った瞬間は逃さず拾うというか。

Taito Ryoseiはめっちゃそうやと思う。例えば街中ですれ違った人の言葉とか、拾ってるもんな。しかも、それをずっと覚えてる。

Ryoma Ryoseiは日頃から写真も撮り溜めていて。ジャケットに使う写真は、その中から選んでます。

Ryosei なんてことない写真でも、Ryomaが解釈して、コンセプトを固めてくれるんです。

Ryoma この写真はこの曲と合うんじゃない?みたいな。

Ryosei アートワークは、the McFaddinの後期から、AiR NiKArのtakasukeが作ってくれていて。

──信頼の置ける仲間たちで、制作チームができあがっているんですね。

Ryosei たまたまそういう人たちに出会えたから、みたいなところはありますけどね。そうじゃなかったらお金を払って外注するしかないと思うんですけど、たまたま京都という場所で、いろんな人と出会えた。しかもみんないいやつなんですよ。みんな面白くて、最高で最悪(笑)。

Ryoma 京都ってそういう人と出会いやすい土壌なんやろな。

Taito バンドを組んだ当初から、人を一番大事にしてますね。

Ryosei バンドって、計算合わないんですよ。意味わからん数の楽器を用意して、車で移動して……いろいろしゃれにならない(笑)。それでもバンドを続けられてるのは、いいメンバーに出会えたから。このラッキーな時間を、大切にしようと思ってます。

Redhair Rosy

the McFaddinのおかげで今がある

──the McFaddinの頃と比較して、ライブの内容は変化しましたか?

Ryoma VJに関しては、以前より緩急を付けるようにしています。the McFaddinのときは色がたくさん入りすぎて、ごちゃごちゃすることもあって。それはそれで幕の内弁当みたいなよさがあったんですけど、Redhair RosyのVJは、芯の通ったシンプルなものにしたい。例えば照明だけのシーンから、VJが急に入ってくるとか。引き算をしつつ、足すところはめっちゃ足すつもりです。

Ryosei the McFaddinで学んだすべてを、Redhair Rosyに詰め込むという気持ちでやってますね。僕らは「MCFDN」というタイトルのアルバムを出そうと考えていて、そこに向かってる途中なんです。the McFaddin時代の曲を再録して、the McFaddinのベストアルバムみたいなものを作りたい。今はまだRedhair Rosyで“turn red”することにフォーカスしてるけど、最終的には「MCFDN」を完成させようと思ってます。

Taito the McFaddinはその場その場でやってたけど、Redhair Rosyは長い目で見ながら活動できてますね。

Ryoma 改名してもう1回新しく始めたからこそ、そうなれたというか。

──やはり仕切り直すことに、大きな意味があったと。

Ryosei the McFaddinは失敗をたくさんしてきたバンドで、そのおかげで今があると思ってます。ベストを尽くします。

公演情報

dip.8

2025年1月11日(土)京都府 METRO
<出演者>
LIVE:Redhair Rosy / どんぐりず / Xamd
DJ:HINOTO / Kiong
POP UP:50%SUS4 / Island Service
VJ:nyankee

プロフィール

Redhair Rosy(レッドヘアーローシー)

Ryosei Yamada(Vo)、Taito Katahira(G)、Yu Ando(Dr)、Keisho Maeda(G)、Ryoma Matsumoto(VJ)、Masayuki Matsunaga(B)からなるロックバンド。2024年4月に活動を終了したバンド・the McFaddinのメンバーで構成されており、“矛盾”をテーマに掲げた楽曲を制作している。2025年1月に1st EP「turn red I」を配信リリースした。