REBECCA「BLOND SAURUS TOUR '89 in BIG EGG -Complete Edition-」特集 NOKKOインタビュー|「これが私だったんだ」今明かされる「BLOND SAURUS」の全貌

REBECCAのライブ映像作品「BLOND SAURUS TOUR '89 in BIG EGG -Complete Edition-」が10月23日にリリースされる。

本作には1989年に行われた全国ツアー「BLOND SAURUS TOUR '89」より、7月17日開催の東京・東京ドーム公演の模様を収録。同公演の映像の一部は1990年にVHSとレーザーディスクで販売された作品「BLONDSAURUS IN BIG EGG」にも収められていたが、“Complete Edition”では当日披露された全18曲のパフォーマンスが楽しめる。発売に先駆けて9月には全国の映画館で上映会も行われ、バンドの革新的な音楽性、NOKKOのパワフルなダンスとボーカルが来場者を圧倒した。

音楽ナタリーでは同映像のソフト化を記念し、ボーカルのNOKKOにインタビュー。今からちょうど30年前に行われた東京ドーム公演について振り返ってもらいつつ、これからのREBECCAについて語ってもらった。

取材・文 / 内本順一

そこにいたのは「私」

──今から30年前、1989年7月に行われた「BLOND SAURUS TOUR」東京ドーム公演の映像が完全版となって発売されますが、初めてリリースの話を聞いたとき、どんなふうに思いました?

ちょうど私のソロツアーをやっていたときにこのお話をいただいたんです。今はノリ(高橋教之)さんや是永(巧一)さんたちと一緒にバンド編成でライブをしているんですけど、この編成でのパフォーマンスが、自分としては一番自然なスタイルになっていて。そんなタイミングに「30年前のREBECCAの映像が見つかった」と言われたので、なんだか不思議な偶然だと思いました。

──REBECCAのライブ映像をご覧になるのも、ひさびさになりますよね。

NOKKO(Vo)

ひさしぶりというか、これまで一度も観たことがなかったんです。いつも自分のライブ映像はチェックしないタイプなんですよ。

──それはどうして?

「これでよし!」とはなかなか思えないタイプなので。よくないところばっかり観ちゃう。ましてや30年前の映像ともなると……あの頃は何をやりたかったのか、まだちゃんとわかっていなかったですしね。

──実際に映像を観ていかがでしたか?

「これが私だったんだ」と思いましたね。まるまる私でした。「今ごろ気付いたのかい⁉」って感じですが(笑)。若い人たちにも、この映像を観てもらえたらありがたいですね。

葛藤しながら全力でやるしかなかった

「BLOND SAURUS TOUR '89 in BIG EGG -Complete Edition-」のワンシーン。

──当時のご自身の姿は、今のNOKKOさんにはどのように映りました?

すごく葛藤してるなって。もちろん客観的に観れば、音質も画質も素晴らしくなっているし、当時の空気感がそのまま封じ込められていて、すごくいい作品だと思うんですけど、「こうしたい」「ああなりたい」と欲張りだった自分が見えてしまうんですよ。すごく特徴的なサウンドやパフォーマンスなんだけど、それを手放しで喜べない自分もいたり。もがいているのがわかりますね。もちろんそんな葛藤があったからこそ、その後の活動につながった部分もあったんですけど。

──自分はこの映像を観て、とにかくNOKKOさんのすさまじい運動量、エネルギーに圧倒されたんです。初めから終わりまで、ステージを所狭しと動き回り、激しくダンスしながら歌っていて。

ちょっとやりすぎですよね(笑)。

──いやいや。あのパフォーマンスはNOKKOさんにとって、当たり前のことだったんですか?

当時はああいう見せ方しかできなかったんですよ。抑える術がわからなかったというか。

──100%の力をずっと出していないと、やった気がしないと。

そうじゃないと納得できなくて。「どうしてそこまでやるの?」って感じですけど、どうやったらガチガチにならず、リラックスして歌えるのか、全然わかっていなかった。何もかもがヘタクソだったんです。

──しかも会場が東京ドームですから、ステージ自体も大きいし、ホール会場よりも大きく動いたり走ったりしないと、後方の観客にまで伝わらないかもしれない、という気持ちもあったのでは。

確かに。そう思っていたところもあったかもしれませんね。

──体力作りは日々行っていたんですか?

あの頃はジムで泳いでました。ミニトライアスロンも試しに参加してみたら、全国で6位という結果が出て。そのくらい体は鍛えていましたね。

高橋教之(B)

──NOKKOさんはバンドを始める前、バレエをやられていたそうですね。あれだけ激しい動きをしていてもまったくよろけないので、相当体幹が鍛えられていたんだなと思って。

そこは関係あると思いますね。バレエは幼稚園から高校生の頃までやっていたので。でも経済的な事情もあって途中で辞めて、その情熱をまるまるバンドに注ぐことになったんですけど。

──バレエという身体表現からバンドという音楽表現には、短期間で移行できたんですか?

半年くらいしか間隔が空いてなかったんじゃないかな。それにもともと、私の地元の浦和では河川敷で野外ライブをやっていて。内田裕也さんや四人囃子、ヒカシューとか観ましたね。それだけバンドは身近なものだったので、高校のときにはお友達のガールズバンドに参加しつつ、REBECCAの母体になるグループを結成したり。その2つのバンドを続けていくうち、REBECCAのメジャーデビューにつながったんです。