くるり|「天才の愛」をミュージシャンはどう聴いた? 総勢23組が愛とリスペクトを込めてレビュー(後編)

橋本薫(Helsinki Lambda Club)

橋本薫(Helsinki Lambda Club)

「天才の愛」を聴いて

コメント企画のお話をいただいて、ドキドキしながらまず1曲目の「I Love You」の歌詞に目を通した瞬間、わ!くるりの歌詞だ!と思ってニヤけてしまった。I Love Youというストレートな言葉とは裏腹に、その言葉から連想されるような甘い世界は曲が進んでも現れてこない。最後まで音を頭と身体に流し入れ、もう一度歌詞に目を通す。ああ、これは狭い視野での恋だ何だのI Love Youではないのね。もっと広くて、多様性があって、良いも悪いも大きな心で包み込んだ極めて今日的な愛なのね、と思った。タイトルのストレートさから自分にとってのI Love Youのイメージの先入観でもって曲に入ろうとする僕を、それでもお前は表現者かと戒められるような形でこの作品は幕を開けた。
なんて1曲目から長々と語ってしまったが、僕以外の錚々たるミュージシャンの方々のコメントも載るわけなので闇雲に語りまくるわけにはいかない。。悔しい。1曲ずつ語っていきたい気持ちはやまやまだが、作品全体を通して言えることは、何かをイメージして表現したというよりはその曲の中で描かれている風景がそのまま音になっているという感じ。音で表したんじゃなくてその世界から音を取り出したっていう。そして全11曲というアルバムとしては決して多過ぎない曲数だが、この中に世界中の過去・現在・未来の音楽が全て詰まっていると言っても過言ではない多様さ。正直全て聴き終えてもまだ5%も作品を理解できた自信がないのだけど、理解できなくても良いんだったってことを久しぶりに思い出した。理解の範疇を超えた圧倒的な作品に出会えたこと自体が幸せだし、それだけの余白があればこの先何十年と楽しめて、新たな気付きがあるんじゃないかと。
天才はきっと孤独だから、少しでも多くの方々がその愛を受け止めてくれますように。

くるりへのメッセージ

重すぎる愛は恋愛の駆け引きでは御法度ですが、こんな機会はそう訪れるものでもないので伝えさせていただきます。10代の頃からずっと大好きで憧れの存在です。くるりのおかげで今の自分があります。この度は本企画に参加させていただきありがとうございました。いつかお会いできるように頑張り続けます。

ハマ・オカモト(OKAMOTO'S)

ハマ・オカモト(OKAMOTO'S)

「天才の愛」を聴いて

「天才の愛」とタイトルのつけられたこの傑作に、今の僕は相応な言葉も、測る物差しも持ち合わせていません。

ただ、ありがとう、くるり。
音楽が好きでよかったです。

松本ユウ(リュックと添い寝ごはん)

中央が松本ユウ。

「天才の愛」を聴いて

アルバムを通して日常の中に音はありふれているのだと気付かされました。ジャンルレスでバラエティに富んだ楽曲が多く、まるで鉄道でどこの駅にも降りない小旅行に出かけたようでした。

「大阪万博」はインストでありながらメッセージを一番強く感じました。大阪という街そして混沌とした万博がとても良い塩梅で表現されていて、この曲を聴いた時の高揚感が万博そのものなのだと思いました。インスト後の「渚」はふるさとの夕暮れのチャイムにおかえりと言われているような優しく温かく包み込んでくれる楽曲でした。

吉田崇展(ズーカラデル)

中央が吉田崇展。

「天才の愛」を聴いて

「潮風のアリア」
2021年まで生き残った人全員のテーマソングなんじゃないだろうか。めちゃめちゃ良い曲

「野球」
福本からの展開でちょっと涙が出た

「大阪万博」「watituti」「less than love」
「Abbey Road」終盤のメドレーみたいじゃない!?と思って聴き返したら全然違った
喘ぎ声みたいな音入ってる…?(入ってる)
筋骨隆々かつ賢くて、もう勝ち目がない感じ。すごい

「ぷしゅ」
これを書いている現在、締め切りギリギリアウトの金曜日なので歌詞がとても刺さった(小並)
生活が救われる感じがする

おそらく僕はこのアルバム(というかくるりの全楽曲)で歌われていることの半分も理解できていないので何を書くか悩んでしまっていたのだけれど、「安易に説明したり共感を求めずに音や言葉で好き勝手言うのもくるりのかっこいいところだよね」と思い直し、僕も好き勝手に(小並)の感想を並べました。

多分これから折に触れてこのアルバムを聴いて、その度に違うことを感じるんだろうな、と思います。
くるりと一緒に歳をとって行けるのは幸せなことであります。

くるりへのメッセージ

好きです。これからもどうかお元気で音楽を続けてください。
ファンファンさん、たくさんの素敵な音をありがとうございました。これからも応援しています。

yonawo

yonawo

「天才の愛」を聴いて

アルバムリリースおめでとうございます!
幼い頃に過ごした日々を思い出し、その記憶の中の風景や人に想いを馳せるというようなことをよくしてしまうのですが、くるりの音楽にはそういった記憶の扉をノックするような不思議な力が宿っているんだと勝手に信じています。
今回の作品を聴かせて頂き、今までの楽曲にも感じられる独特なポップネスに加え、新たな一手を打ち出してくるような曲の振り幅に驚き、素敵な言葉選びや、音など色々なところに遊び心が溢れていて、聴いていて自然と笑顔になり、とても楽しく自由な気分になりました。
最高なアルバムが聴けて嬉しいです。ありがとうございます。

くるりへのメッセージ

くるりが大好きです。
いつかライブご一緒させてください。

ラブリーサマーちゃん

ラブリーサマーちゃん

「天才の愛」を聴いて

僕がくるりを愛してる理由はだいたい百個くらいあって。ひとつめは、誰が聴いても頷くしかないド名曲と、意表を突いてくる変化球な曲が同じアルバムに収録されていること。ふたつめは、かっこいいギターは絶対に聴ける且つ、音色や楽器が多彩で、音で遊びまくってること。みっつめは、食べ物や飲み物にまつわる曲が多いこと、なんて日頃から思っているのですが、それが極まったアルバムでした。自由! のびのび! なんでもあり! 温故知新! それでいて歌える! 笑える! これだからくるりって大好き!!!
くるりが新譜を出す度に思うことですが、音楽の楽しいところ、美味しいところを骨の髄までしゃぶり尽くそう、楽しみ尽くそう、全て味わおうとしているなと感じました。バンドマンというより音楽仙人ですよね。この仙人たちが音楽道を突き進んで行った先で、どんなスゴいものが生まれてしまうんだろうかといつもワクワクしています。そのバイタリティに溢れた姿が眩しくて、刺激的でずっと憧れです。くるり大好き!

くるりへのメッセージ

くるりさんへ
こんにちは、ラブリーサマーちゃんです。この度はコメントを書かせて頂きありがとうございました! 物凄い作品のリリース、おめでとうございます。1曲目「I Love You」開始十秒で、打楽器のパン振りの緻密さに感動しました。毎度毎度素晴らしい作品を作り続けて下さってありがとうございます。
いつも、ただのくるりファンとして新しい曲を心待ちにしては興奮し、楽しませて頂いております。そして駆け出しのミュージシャンとして多くの刺激をもらっています。くるりは私の希望の星です。いつも照らして下さってありがとうございます。
いつか一緒に「ぷしゅ」させてください! ずっと大好きです!