popoq|「popoq」という“固有種”になるための第一歩

popoqが初の全国流通盤として1stミニアルバム「Essence」を7月10日にリリースした。

2013年結成のpopoqは上條渉(Vo, G)、右京(Dr, Cho)、オグラユウキ(B, Cho)の3人からなるスリーピースバンド。「本質」という意味を冠したミニアルバム「Essence」には、バンド初期の楽曲「flower」(2016年6月に発売されたpopoqの初音源「Othello」に収録)の再録バージョンや、オグラが初めて作詞に携わった「lorelei」など6曲が収められている。音楽ナタリーではメンバー全員にインタビューを行い、バンドの成り立ちや楽曲の制作プロセスなどに迫った。

取材・文 / 倉嶌孝彦 撮影 / 関上貴也

Ivy福島さんは4人目のメンバー

──popoqはどういう経緯で結成されたんですか?

上條渉(Vo, G)

上條渉(Vo, G) 僕と右京が同じ高校に通っていて、一緒にバンドを始めたのがきっかけですね。

右京(Dr, Cho) もともとpopoqは4人組のバンドだったんですけど、上條と僕以外が抜けちゃって。そこで入ってくれたのがオグラさんなんです。

オグラユウキ(B, Cho) SNSでpopoqの音源を聴いたときにすごく衝撃的で。ちょっと変わった音楽を表現するバンドなんだなと思って連絡をしたのが加入のきっかけです。

──今作「Essence」ではほとんどの曲を右京さんが作曲していますが、ドラマーで作曲を手がける人って珍しいですよね?

右京 ドラムが好きでこの楽器を選んだんですけど、歌のメロディとかギターのカッコよさにも惹かれていたのもあって、曲作りをしているんです。あと、今popoqのエンジニアをやってくれているIvy to Fraudulent Gameの福島(由也)さんが、ドラマーでコンポーザーなんですよね。福島さんとは高校が一緒で、彼のカッコよさに憧れてコンポーザーを目指した部分もあります。

──群馬で同じ高校だったんですね。

右京 同級生なんですけど、彼がカッコよすぎて真っ先に「舎弟にしてください」と言って、一緒にいろんな経験をさせてもらったんです。卒業後も付き人として一緒に行動させてもらって、彼の音楽に対する姿勢やこだわりを間近で見てきました。

上條 「Metropolis」(2017年4月発売の音源)からエンジニアとしてpopoqの制作に携わってもらっているんですけど、ある意味4人目のメンバーなんじゃないかってくらい、バンドの音作りに重要な存在になっていると思います。僕らと福島さんの4人でチームという感覚がありますね。

右京 僕らがやりたい音楽をちゃんと汲み取ってくれて、かつ僕らが思い付かなかったような斬新なアイデアや意見を提案してくれるんです。同世代なのにすごく教わることが多くて、出会ってから今までずっと尊敬している人ですね。

逸話とSFの融合

──作詞に関してはメンバー全員が携わっているんですね。

上條 基本的には右京が作った曲のタイトルからイメージをふくらませて、僕が詞を書くことが多いんですが、右京に伝えたい言葉がある場合は2人で作ることもあります。それと、実はオグラさんが作詞のクレジットに載るのは今回が初めてなんです。

──5曲目「lorelei」ですね。なぜ今回オグラさんが作詞を手がけることになったんでしょうか?

上條 「lorelei」は右京が作曲した曲でタイトルは先に決まっていたんですけど、僕も右京も歌詞をどう付ければいいか難航してしまいまして。2人で悩んでいるときにオグラさんが助け船を出してくれたんです。

オグラユウキ(B, Cho)

オグラ これまで歌詞に関して1つも口を出してこなかったんですけど、バンドの曲を聴くときは歌詞に重点を置いていたし、趣味の範囲で詞を書き留めておいていたこともあって。それと僕も右京もSFが好きで、「スターウォーズ」の話で盛り上がったことがあったんですよ。「lorelei」というのは西洋で伝えられている船を沈めてしまう妖精の逸話なんですけど、それを宇宙の船と捉えてちょっと壮大なテーマで詞を作るのはどうかと提案してみたんです。

上條 ボーカルを務めるのは僕なので、オグラさんに書いてもらった詞を推敲して、今の形になったのが「lorelei」という曲なんです。すごく幻想的で素敵な曲に仕上がったと思います。

バンドの本質はピュア

──初の全国流通盤をコドモメンタルからリリースするわけですが、どういうきっかけでレーベルに所属することになったんですか?

右京 マネージャーの関上(貴也)さんは、実は僕らが結成して間もない頃からちょくちょくライブを観に来てくれてたんですよ。当時はまだ関上さんもコドモメンタルに所属してなくて、彼が主催する企画ライブに出させてもらったりもしていて。そのご縁があって、今回コドモメンタルからCDをリリースさせてもらうことになったんです。

上條 コドモメンタルってちょっと変わったレーベルではあるんですが、音楽に対する熱意がすさまじいんですよね。僕たちに対する期待もすごく伝わってくるし、それに応えたいとも思ってる。

右京(Dr, Cho)

右京 popoqのバンドの本質ってピュアなところだと思うんです。僕らは渉さんのボーカルを「ボーイソプラノ」と表現しているんですけど、彼のハイトーンもピュアを表現する上でその一役を担っているというか。僕ら大人の中にある子供の部分を大事にしていこうというバンドのマインドと「コドモメンタル」というレーベルの成り立ちがちょっと似てるんですよね。ご縁があってレーベルに所属することになったんですけど、なるべくしてなったというか、気持ちの部分でつながっていると感じています。

──今、話に出てきた上條さんのハイトーンは、バンドを語るうえで重要な要素ですよね。

右京 はい。このバンドの軸だと思っています。

上條 今は自分の武器だと思っているんですが、思春期の頃はこの声がコンプレックスだたんです。中学生くらいのとき、周りのみんながどんどん声変わりをしていく中で僕は声変わりをしたものの全然低い声にならなくて。ちょっとイジられたりして、つらい思い出もあったんですけど、今はこうやって自分の声を武器にしてバンドをやってる。過去のトラウマを払拭して、今では自分がこういう声で生まれてよかったとすら思えているんです。

右京 渉さんのハイトーンが軸にありつつ、バンドのサウンドはわりとジャンルに捉われない形になっていると思います。

上條 シューゲイズとかオルタナティブとか、ドリームポップとか言われることがあるんですけど、自分たちはその枠組をそんなに意識しないようにしてるんです。僕らメンバーそれぞれ音楽のバックグラウンドも違うし、いろんな要素を1つに束ねることで特有の“popoqらしさ”が出るんじゃないかなあと思っているんです。

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テーマは3つの夢

popoq「Essence」
2019年7月10日発売 / コドモメンタルINC.
popoq「Essence」

[CD] 1500円
CMI-0059

Amazon.co.jp

収録曲
  1. flower
  2. essence ~intro~
  3. essence
  4. echo (2019 mix / remastered)
  5. orelei
  6. solaris

ライブ情報

popoq「Essence Release Tour – the Impluse of "Essence" –」
  • 2019年8月3日(土)東京都 下北沢BASEMENT BAR
  • 2019年8月12日(月)京都府 GROWLY
  • 2019年8月13日(火)大阪府 北堀江club vijon
  • 2019年8月30日(金)茨城県 club SONIC mito
  • 2019年9月1日(日)宮城県 FLYING SON
  • 2019年9月8日(日)群馬県 GUNMA SUNBURST
  • 2019年9月12日(木)愛知県 APOLLO BASE
  • 2019年10月1日(金)東京都 下北沢MOSAiC
popoq(ポポキュウ)
popoq
上條渉(Vo, G)、オグラユウキ(B, Cho)、右京(Dr, Cho)の3人からなる3人組のロックバンド。2013年10月に群馬で結成され、2016年6月に初音源「Othello」を発表した。同年12月に開催されたコンテスト「RO69 JACK COUNTDOWN JAPAN 16/17」に入賞。2017年1月に自主企画イベント「Melt vol.1」を初開催し、以降定期的に同イベントを主催し続けている。2019年7月、コドモメンタルINC.より初の全国流通盤として1stミニアルバム「Essence」をリリースした。