ナタリー PowerPush - POP ICON PROJECT TOKYO

ニコラ・フォルミケッティが振り返る オーディションと2013年の音楽シーン

世界に発信する女性アーティストを発掘するオーディション「POP ICON PROJECT TOKYO」が2013年8月から12月にかけて実施された。約2000人の応募者の中から55名が一次審査を通過し、さらに厳選された13名が12月22日に都内で行われた最終審査に参加。この中から安川摩吏紗(やすかわまりさ / 20歳)、辻川奈々実(つじかわななみ / 22歳)、森安眞子(もりやすまこ / 21歳)の3名が見事オーディションに合格した。今後彼女たちはレッスンを重ね、2014年中にガールズユニットとして日本コロムビアからデビューを果たす予定だ。

今回ナタリーでは、「POP ICON PROJECT TOKYO」のプロデュースを担当したニコラ・フォルミケッティにインタビューを実施。オーディションを通じて感じたことや合格者3人の印象、そして日本のポップカルチャーの魅力を世界に向けてアピールしていくために必要なものについて、じっくり語ってもらった。

取材・文 / 西廣智一 インタビュー撮影 / 小坂茂雄

ここからが大変だけど、僕としては一番楽しめるところ

──今回のオーディションには約2000人の応募があったと聞きましたが、ニコラさんは応募者全員の書類に目を通したんですか?

ニコラ・フォルミケッティ

通しました。で、その中からみんなで、ちょっとでも興味がある人は残して。

──応募してきた女の子たちに何か共通する傾向みたいなものはありましたか?

傾向というか、クールな子たちがいっぱい応募してくれたから、それはうれしかったですね。どういう子が応募してくるのかちょっと怖いところもあったけど、面白い感じの子たちがたくさんそろっていて、そこはすごく期待以上だったかな。

──最終審査に残った13人だけを見ても、かなり個性的な子がそろった印象があります。

そうだね。今の段階であれだけパワーがあるんだから、これからかなりすごいと思いますよ。最終審査から惜しくも漏れた子の中にもいい子がたくさんいたと思うし、今後違った場所でお仕事できるといいなって思った子もいたので、それはすごい収穫だったなあ。

──ニコラさん、総評のときにも言ってましたもんね。「今回はこの3人を選んだけど、ほかのみんなもよかった」って。

そう。このユニットを最初にやりたいと思ったときに3人か5人っていう編成をイメージしてたんだけど、直感で選んだこの3人の調和がピッタリだったから。でもね、例えばソロでいけそうな子もいたし、あとは自分が想定してた年齢に合わなかった子もいたし。そういう人たちは今後、また別件で出てくると思うんです。まずはこの3人がそろった。みんなすごくかわいいし、キャラクターも確立されてるし、本当に楽しみだね。これからチューニングの上げ下げをしながらファッションで遊んだり……やっぱりここからが大変だけど、僕としては一番楽しめるところかな、あの子たちがどんどん自分を磨いていく時間が。なのでまずはじめにニューヨークに来てもらって、僕の周りでちょっと遊んでもらって……あ、経験してもらって、か(笑)。

──(笑)。

まあ遊びも大事ですけどね。それからLAで仕事をして、また日本に戻って楽曲を制作してダンスを考えてファッションも考えて。すごく楽しみだね。

この3人を東京、そして日本の代表にしたい

──合格した3人の印象を教えてもらえますか?

最終審査の様子。

森安眞子ちゃんはいいキャラしてると思う。あの子は“秋葉原”みたいな雰囲気があって……純日本風でちょっと不思議っぽいところもあって。でも歌は超うまいし踊りもうまい。あと、ちゃんと努力の話を理解しているし、そこはご両親がすごくいい教育をしたんだと思う。やっぱりこういう世界でやっていくには、しっかりしてもらわないといけないから。毎日ちゃんと勉強して努力してくれる、そういう子だと思うからすごく期待してます。

──続いて安川摩吏紗さん。

彼女はすごくクールでキレイな子で、歌も踊りも上手。一番スタイリッシュな子だと思うし、みんなが憧れる代表みたいな存在になってくれると思う。あと、こういうルックスだから勘違いされそうだけど、中身もすごくしっかりしてるし。そのギャップがいいんじゃないかな。

──最後は辻川奈々実さん。

この子は、ちょうどその2人(森安、安川)の間にいる感じ。摩吏紗ちゃんが渋谷っぽいとすると、彼女は原宿のイメージ。今の原宿って“カワイイ”というアティチュードを残しつつちょっとクールな印象があるから、彼女にぴったりなんだよね。この3人を東京、そして日本の代表にしたい。面白くなると思いますよ。ここからは3、4年は休みゼロのつもりでがんばってほしい。

ニコラ・フォルミケッティ

──それぐらい真剣に打ち込んでほしいということですよね。

もちろん。レディー・ガガを見てもらえばわかると思うけど、彼女は24時間休みなく、ずーっと仕事してるから。それはもうそういうライフスタイルになっちゃうんだよね。

──ニコラさんは以前のインタビューでも「“ポップアイコン”に必要な要素は、努力を惜しまないこと」だと言ってましたが、本当にその通りですよね。

努力したくない人はやらなきゃいいんです。そうしたら、違う人を選ぶから。ちょっとキツイ言い方かもしれないけど、それぐらいがんばってもらわないとね。

POP ICON PROJECT TOKYO

レディー・ガガを手がけたファッションディレクターとして国際的に知られるニコラ・フォルミケッティを迎えて、世界に向けて日本を代表するアーティストを発掘するためのプロジェクト。今回「原宿」「渋谷」「秋葉原」などの日本のポップカルチャーにインスパイアされたニコラがそのカルチャーを具現化し、さらに世界に発信していけるアーティストを発掘するため、ガールズユニットオーディションを2013年に開催した。

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ニコラ・フォルミケッティ

ニコラ・フォルミケッティ

1977年5月31日生まれ。イタリア人の父と日本人の母を持ち、12歳までを静岡県沼津市で過ごした、国際的に活躍するファッションディレクター。レディ・ガガのファッションディレクターとして衣装やミュージックビデオのディレクションを担当し、彼女をトップスターに押し上げたことで知られる。現在は主にUNIQLOのファッションディレクター 、DIESELのアーティスティックディレクターを務めている。