海外のローカルのニュアンスも考えてあげないと通用しない

──3人をアメリカに連れていくのは世界進出を視野に入れて、海外ではこういうやり方だということを見せたいから？

それもあるし、やっぱりアーティストとしてやっていくには世界でどんなことが起こってるかを知らないといけないと思うから。世界で起こってることを身近で経験できたら、自分のレベルが一気に上がるんじゃないかな。僕も彼女たちを短期間でデビューさせたいから、それはもうすぐにやらないとダメだと思ってる。もちろん将来的に世界レベルになってもらいたいし。英語はもちろん、向こうの音楽とかダンスとかファッションとか全部学んでほしいと思ってます。

──確かに日本の中だけしか知らないと視野が狭まるかもしれないし。

“ザ・日本人”として外国に行くアーティストはいると思う。日本でやっていることをそのまま持っていくんだけど、絶対うまくいかないの。「あ、面白いね」でワンヒットしただけで終わっちゃう。アメリカではこうしたらいいとかヨーロッパではこうとか、海外のローカルのニュアンスも考えてあげないと通用しないし、大きくなれないと思う。

──記者会見でCDデビューは今年の中頃から後半と言っていましたが？

3人のチューニングがうまく合えば、もっと早いかもね。だって今はもうデジタル配信ですぐにリリースすることもできるわけじゃないですか。彼女たち、もとの素材がいいから本当にすぐにできるかもしれない。ダンスも歌もすごくうまいし、3人すぐに仲よくなれたし。あとはグループ名を考えればね。こちら側はこれから、仕事が山ほどありますよ（笑）。でも楽しみです。

アメリカはここ何年か絶対的なアーティストが出てきてない

──デジタル配信の話が出ましたが、昨年末にビヨンセが何の前触れもなくいきなりニューアルバム「Beyonce」をデジタルリリースしましたね。特に海外ではパッケージよりもデジタル配信が主流になりつつある印象が強いです。

あれはちょっとヤバかったね。今はすごいですよね、すぐにiTunes Storeを通じて配信できるし、それをすぐに買えるし。そんな時代になってきてるからこそ、デジタルを使ったもっと面白いやり方が出てくると思うんです。そこはちゃんと考えていかなきゃいけないなって。

──なるほど。ところでニコラさんから見て、現在のアメリカの音楽シーンってどう映りますか？

うーん……なんかもう、いろいろありすぎて（笑）。実力派アーティストもいるし、メディアが推してることでヒットしている人もいるし、ちょっとゴチャゴチャしてる印象かな。ただ、ここ何年か絶対的なアーティストが出てきてないですよね。マイリー・サイラスとかケイティ・ペリーとかがいて、ガガやリアーナやビヨンセがいて。でもそれ以降新たな若いアイコンが出てきてない。特に2013年はそこを強く感じました。

──確かにそうですね。

だから2014年は若い子たちがバンバン出てくるんじゃないかと思いますよ。逆に今の日本の音楽シーンはどんな感じなんですか？

──ジャニーズ所属の男性アイドルグループやAKB48をはじめとする女性アイドルグループがチャートを席巻しています。

だよね。もちろんアイドルも素晴らしいんだけど、僕としては音楽的にそこまで楽しめない。クリエイティブになれないというか。どうしてもソフトな方向に進んでしまうので、僕的には刺激にならない。アメリカにもアイドルはいるけど、今は変わってきてるからね。マイリーも最初はソフトな路線だったけど、最近はとがった方向に進んでるし。アリアナ・グランデも最初はソフトだったのに、いきなりセクシー路線になったし。日本のアイドルもどんどん変化が必要なんじゃないかと思う。

──なるほど。

あと海外ではジャスティン・ビーバーとかOne Directionとか若い男性アーティストがどんどん登場してるから、日本の男の子たちにももっとがんばってほしいな。

──今回のオーディション通じて、日本の女性のパワフルさを改めて実感しましたもんね。

みんながんばってるよね。彼女たちは世界に出ていっても負けないと思う。そういう雰囲気を持ってるしね。だからこういう子たちがどんどん出てきて、面白いことをたくさんやっていったらいいんじゃないかな。それを世界に向けて、みんなで届けましょう！