ナタリー PowerPush - ピロカルピン

手が届きそうで届かない 「蜃気楼」を探す旅の始まり

全国CDショップからの推薦コメント

「メジャーに移籍したことでJ-POP然としたサウンドに変貌するんだろうな」そんな失礼な予想をしつつ再生ボタンを押してみた。1曲目のイントロが始まった瞬間に(良い意味での)ふてぶてしいサウンドに早くも前言撤回。活動のフィールドが変わっても自分たちの信じるオルタナティブな音を鳴らし、歌いたいことを真っ直ぐに歌う、そんなふてぶてしくも強い意志を持つピロカルピンの飛躍を願わずにいられない。

諏訪貴則(タワーレコード 商品本部 邦楽部)

この世のネガティブを全て払拭してくれるような、こんなピュアなギターロックバンドはなかなかいない。バンドのグルーヴ感と、ボーカル松木智恵子の朗らかで素直な、そして優しく耳に入ってくるのに、非常に強い意志を感じる歌声の調和が本当にちょうど良く混ざり合っている。そんな彼らの音が、この世を浄化してくれるのだ。この時代に彼らが頭角を現したのは必然であり、確実に時代がこの音を欲している。

馬場洋弥(ローソンHMVエンタテイメント 商品バイイング部)

私はこの「蜃気楼」で背筋を伸ばして前を向いて、大きく深呼吸をした。濁ったものをひずんだものを、寝ぼけた私を正す歌たち。インディーズの頃から、ピロカルピンの歌は美しさと力強さと清さを兼ね備えていた。さぁ、いよいよ、ピロカルピンの新たな旅の始まり。目の前に揺らめく蜃気楼を不確かででも真っ直ぐ突き進もうとする。「覚悟があれば 後悔はしないよ」。強い言葉とどこまでも澄み渡った松木さんの歌声の魔法が降り注ぐ7曲。体中の二酸化炭素がすうーーっと酸素に変わっていくような感覚が私を優しく襲う。手に入れたい理想郷はここにあるのではないか。迷いは後ろに置いていこう。私はこのバンドを信じらずにはいられないのだ。どうしても。

加納ゆかり(タワーレコード 広島店 J-POP担当)

一音一音、言葉一つひとつに神経を行きわたらせることで生まれる強さ。繊細なアンサンブルの中に、あるべき音とあるべき声とあるべき言葉だけが鳴っている美しさ。この“美しさと強さ”がピロカルピンというバンドを際立たせているのだと思う。「蜃気楼」とは目の前に存在するが掴めないもの。それを追い求めるドキュメンタリー、それが「蜃気楼」という作品だ。そして、この“美しさも強さ”も「蜃気楼」のように消えてしまうかもしれないという想いが、最後の疾走感と焦燥感につながっているのだと思う。だから、このアルバムは心を掴んで離さない。これがロックなのではないだろうか? ピロカルピンこそ王道のロックンロールだ。

前田博章(TSUTAYA RECORDS 本部 MD)

ニューアルバム「蜃気楼」2012年5月16日発売 2100円(税込)ユニバーサルJ UPCH-1876

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CD収録曲
  1. メトロ
  2. 未知への憧憬
  3. 暗夜航路
  4. よだか
  5. タイムパラドックス
  6. 祈りの花
  7. 不透明な結末
ピロカルピン(ぴろかるぴん)

ピロカルピン

松木智恵子(Vo, G)、岡田慎二郎(G)、スズキヒサシ(B)、荒内塁(Dr)からなる4人組ギターロックバンド。2003年に松木と岡田が出会い、バンドの原型が誕生。2009年7月にタワーレコード限定シングル「人間進化論」とHMV限定シングル「京都」を同時発売しデビューした。
2010年11月から2カ月連続でシングル「存在証明」「終焉間際のシンポジウム」を発表し、繊細な世界観とダイナミックなサウンドで話題を集める。2011年3月、3rdアルバム「宇宙のみなしご」をリリース。このアルバムのタイトルは森絵都の同名小説にちなんだもので、森の快諾により名付けられた。
2011年5月にはドラムが荒内にメンバーチェンジ。7月3日に東京・渋谷CLUB QUATTROでワンマンライブ「幻聴シンポジウム vol.1」を行い、成功を収めた。11月には初の3曲入りシングル「青い月」を発売。そして、12月に行われたワンマンライブにてユニバーサルJへの移籍を発表した。2012年5月にメジャーデビュー作となるアルバム「蜃気楼」をリリース。