ナタリー PowerPush - →Pia-no-jaC←×葉加瀬太郎

バトルアルバム発売記念 3人が語る「音楽」「旅」「食」

音楽家にとってコンサートっていうのはライフワーク

──それでは、次のトークテーマに移りたいと思います。2つ目のテーマは「旅」。葉加瀬さんも→Pia-no-jaC←も1年を通じてかなりの本数のライブを行っていますよね。特に葉加瀬さんは国内のみならず、世界中を飛び回っている印象があります。

HAYATO(Piano)

葉加瀬 僕は音楽家にとってコンサートっていうのはライフワークだと思ってるんです。もちろんレコーディングをしたり、こうやってインタビューに応えたりする仕事もありますけど、生きてるうちはできる限りお客さんの前で演奏し続けたいと思う。音楽家として旅ができないのは、僕はちょっと考えられないな。デビューして21~2年経ってるけど、そのほとんどは旅してるよね。ソッとするくらいに。

HAYATO 葉加瀬さんはタフですよね。

葉加瀬 最後は体力しかないって、音楽家は。

HAYATO 体力作りとか、どうしてるんですか?

葉加瀬 プールで泳ぐとかそういう基本的なトレーニングはするけど、あとは毎日を楽しく生きているだけで。要は気持ちの問題なんですよ。

ツアーはチーム全員のチームワークが大切

──→Pia-no-jaC←の2人も、ツアーのために体力作りはしてるんですよね?

HAYATO してます。でも僕の場合、葉加瀬さんみたいに「毎日を楽しく生きているだけ」って考えたら楽なほうに気持ちが流されてしまうかもな。

葉加瀬太郎

葉加瀬 あははは(笑)。ツアーは舞台に立つ人間だけではなく、チーム全員のチームワークが大切だよね。→Pia-no-jaC←で言うとHAYATOとHIROが看板なわけだから、いつもベストな状態をキープしていられるように、面倒なことはほかの人が全部やってくれてるわけで。君たちはチームに向かって「よし行くぞ! 前へ進むぞ!」って言い続けなきゃダメなんだよ。僕はそれを20年以上やってきただけ。恐らくトータルしたら、家にいる時間よりも旅先のほうが長いでしょうし。だから、いまだに自分の家では電気のスイッチの場所もわからない。

HIRO えっ、本当ですか?(笑)

葉加瀬 本当本当、何年も住んでるのにだよ? だからいつも家に帰ると、初心に返る感じがするし(笑)。そんなものよ。恐らくそれが人生っていうものなんじゃないかな?

HAYATO 深いですね……。

葉加瀬 年間100本のツアーをするということは、移動日を入れたら200日以上は旅をしてるわけでしょ? 僕の場合はそれがロンドンを行ったり来たりしてるわけだから、どこにいるのかは気にしないようにしてるけどね。実際、どこにいても旅先みたいな感覚なのよ。いつも持ってるカバンさえあれば、別に2週間でも3週間でも旅ができるし。音楽家は昔からそうだっただろうし、モーツァルトなんて35歳で亡くなったけど、多分人生のうちの5分の4くらいは旅をしてたんじゃないの?

一同 ほお。

写真左から葉加瀬太郎、HAYATO(Piano)、HIRO(Cajon)

葉加瀬 だって演奏を始めたのが4歳でしょ? そこからずっと旅をして……あの当時は次の公演場所へ移動するのに、馬車に乗って3日くらいかかるわけで。しかもずっと旅をしてるのに、何百曲と世に残せるんだから。今なんて飛行機に乗ればすぐに海外に行けるんだから、なんでもない話でしょ。→Pia-no-jaC←の場合はツアーバスで移動してるんだよね?

HAYATO そうです。いつも座る席はくじ引きで決めてるですよ。

HIRO 人が多いときは、たまに僕らが補助席に座って(笑)。

葉加瀬 そういうの、最高だよね。一番旅をしてる気分が出るだろうし、僕もデビュー間もない頃はハイエースに乗ってツアーしてたからよくわかるよ。旅は音楽家の原点だと思うし、それさえできれば何も怖いものはないんじゃないかな。

ニューアルバム「BATTLE NOTES」 / 2012年7月11日発売 / ハッツ・アンリミテッド

収録曲
  1. Csardas / チャールダーシュ(※「a」にはアキュートアクセントが付く)
  2. 組曲『 』 with Taro Hakase
  3. アルルの女
  4. HHH Rag(新曲)
  5. 情熱大陸 with →Pia-no-jaC←
  6. リベルタンゴ
  7. Behind the day(新曲)

→Pia-no-jaC←

→Pia-no-jaC←(ぴあのじゃっく)

HAYATO(Piano)、HIRO(Cajon)の2人で構成されるインストゥルメンタルユニット。名前の由来は左から読むとピアノ、右から読むとカホンとなる。鍵盤と打楽器という至ってシンプルな編成ながら、重厚かつ多彩な音を鳴らすのが特徴。デビューから3年でベストアルバム含めアルバム9枚をリリースし、累計は50万枚を突破。その独自の音楽性が各方面から注目を受け、ディズニーやスクウェア・エニックス、ショパンなど多数のトリビュートアルバムに楽曲提供。2010年発売の嵐のアルバム「僕の見ている風景」では、二宮和也から熱いオファーを受けゲストミュージシャンとして参加した。さらに宝塚歌劇団への楽曲提供、ラジオのジングル制作など幅広い活動を展開。ライブではオリジナル楽曲やクラシックなどのカバーを武器に、迫力満点のパフォーマンスを披露。国内外の幅広い層から絶大な支持を受けている。2012年3月7日にはニューアルバム「暁」をリリース。同年7月には葉加瀬太郎とのコラボレーションアルバム「BATTLE NOTES」を発表する。

葉加瀬太郎(はかせたろう)

葉加瀬太郎

1968年1月23日、大阪府生まれ。1990年にKRYZLER & KOMPANYの一員としてメジャーデビューを果たす。1996年の解散以降はソロアーティストとして活動を開始し、セリーヌ・ディオンとの共演で世界的に知名度を高める。2002年、自身が音楽総監督を務めるレーベル「HATS」を設立。アーティストプロデュースのほか、イベントプロデュースや商品企画なども手掛ける。また、同年からは野外フェス「情熱大陸SPECIAL LIVE SUMMER TIME BONANZA」もスタートさせた。2011年には自身初のクラシックスタイルでの全国ツアー「Classic Theatre」を開催。さらに同年8月、初のベストアルバム「THE BEST OF TARO HAKASE」をリリースし、日本ゴールドディスク大賞を受賞した。2012年7月には→Pia-no-jaC←とのコラボレーションアルバム「BATTLE NOTES」を発表。