Perfume「PLASMA」ロングインタビュー|今のありのままの姿を映して回る、3つのミラーボールたち (4/4)

「ハテナビト」は男の人が好きな曲なのかな?

──ほかにも今回のアルバムには「ハテナビト」という新曲も収録されています。これは「Spinning World」や「Drive'n The Rain」のアーバンな雰囲気とは違い、80年代のエレクトロポップを思わせる曲でした。

のっち こんなにふわっとした曲は最近なかった気がする。でも、かわいい曲なのにちょっとした暗さがあるんですよね。「探しても 探しても 手のひらの 果てまでの 道のりを 遠回り してばかり」という歌詞が印象的で。

かしゆか うん、穏やかな曲なんだけど、中田さん特有の「語尾でかわいさを表現する」っていう歌詞ともちょっと違うんですよね。

あ~ちゃん さっきアルバムの中で一番好きな曲を聞かれたときに、「ハテナビト」と迷ったんですよ。歌ってると舌の回りがめっちゃいいんですよね。Aメロはもうほとんどラップじゃないですか。だからサビに入ったときのゴール感がすごい(笑)。

かしゆか ライブで歌詞覚えられるかな……?

のっち 歌詞見ないで歌うのマジで無理かも(笑)。

──「ハテナビト」だけでなく「さよならプラスティックワールド」や「再生」なんかもそうなんですけど、ポップでかわいらしい曲調でありつつも、今のPerfumeだからこその洗練された大人っぽさを感じるんですよね。

あ~ちゃん 確かにね。さっき「Spinning World」について言ってたのと同じように、昔のアルバムに「ハテナビト」が入ってたらもっと埋もれてたかも。そういえばこの曲はPerfumeマネージャーのメンズチームからの人気があるんですよ。

かしゆか 男の人が好きな曲なのかな?

あ~ちゃん 現場に付いてくれてるモリモトくんが「最近は“カッコいいPerfume”というイメージが強いけど、こういうPerfumeの一面が好きなんだ」って言ってて、「それ完全にファンの感想じゃん」と思いながら聞いてました(笑)。

かしゆか たぶん、先に副音声から聞くタイプのファンだね(笑)。

あ~ちゃん そういう人が横にいて支えてくれてることに幸せを感じましたね。

──そしてもう1つの新曲、オープニングトラックの「Plasma」が個人的にすごく好きで。

あ~ちゃん わかる……。

かしゆか ちょっと不穏な音が、世界観をバッと作ってくれますよね。「ここはどこ?」って感覚になる。

あ~ちゃん 「COSMIC EXPLORER」(2016年発売アルバム)とどことなくつながってる感じがしますよね?

のっち うん、その先の物語みたいな。

──でも“今のSF”っぽい「COSMIC EXPLORER」とはちょっと違って、古い名作SFみたいな雰囲気なんですよね。昔の電子音楽とかプログレッシブロックみたいな感覚があって。

のっち わかるー!(笑) そう、その当時の最先端。

あ~ちゃん うんうん、そういう絵が浮かぶよね。

Perfume

Perfume

アリーナツアーでついに私たちの夢が叶う

──これまでのアルバムには、例えば「GAME」なら「GAME」、「⊿」なら「edge」、「LEVEL3」なら「Party Maker」、「COSMIC EXPLORER」なら「STORY」、「Future Pop」なら「FUSION」のように、ライブの中で重要な役割を持つダンストラックが収録されることが多かったけれど、今回のアルバムにはそういう曲がないんですよね。

のっち ホントだ! ない。

かしゆか 「もうPerfumeにはそういう曲はあるから」って中田さんが言ってました。

のっち 確かに! たくさんある。

──そういう意味でも、このアルバムのツアーはこれまでとひと味違ったものになりそうで楽しみです。

あ~ちゃん もうセットリストを決めるだけで、おいおい泣いちゃいましたね。

のっち あはは。

かしゆか 2人してマネージャーに横からティッシュを差し出されながら泣いてました(笑)。できるマネージャーで。

あ~ちゃん お客さんと一緒にライブをできる喜びが、この2年でまた特別なものになったんです。「この日に集まろう!」って決めたものの、もし誰かに何かがあったら、そのライブは行われないかもしれない。今までだってそういう危機感はあったはずなのに、実際に自分がそれに直面したことで、「ライブを開催できるのは普通のことじゃない。すごく奇跡的なことなんだ」と1つひとつの公演に対して感じるようになって。ライブに臨む姿勢、楽しみに思う気持ちは昔と比べてもっと特別になりました。

──そのことについては、Perfumeのファンは特に実感しているんじゃないかと思います。

あ~ちゃん やっぱり2年前の2月26日の記憶が、みんなの中にありますからね(参照:Perfume、東京ドーム公演2日目が新型コロナウイルス感染拡大防止のため中止)。でも、私たちもスタッフさんたちも開催できるように全力で動いているので、みんなも体調を万全にして、飽きるほど「PLASMA」を聴きまくって来てほしいですね。

のっち 今、Amazon Prime Videoで去年の「Perfume LIVE 2021 [polygon wave]」の映像が配信されてるから、それを観た人は「コロナ禍のこの状況下でも、これだけ楽しくライブができるんだ」というのをわかってくれたと思うんです。その上で各地を回るのが今回のツアーなので、より軽い気持ちでみんなライブに臨めるんじゃないかなと思います。

かしゆか 今回のツアーは、たぶんどの席からでも楽しめるライブになると思います。

のっち 会場に入った瞬間からワクワクできると思います。

あ~ちゃん あとは「ついに私たちの夢が叶う」というのはあるかも(笑)。

のっち ふふふ。

かしゆか 確かに!

あ~ちゃん 「そんなんできるんじゃ!」って、めっちゃうれしかった(笑)。

──おお、それは期待感が高まりますね。では最後に、ツアーを楽しみにしている皆さんにひと言ずつお願いします。

かしゆか やっとツアーで全国を回れるので、もう本当にみんなに会いに行ける喜びでいっぱいです。気兼ねなく心を開放して、全力でライブを楽しんでくれたらうれしいです。

のっち みんなで同じTシャツを着て、同じリストバンドを付けて手を挙げる一体感を、ひさしぶりに感じられたらと思います。いつものPerfumeは縦ノリの曲が多いけど、「PLASMA」はゆったりと揺れるような横ノリの曲が多いので、ライブまでに乗り方を練習しておきましょう(笑)。「楽しんでるよ!」って、ぜひ手を挙げてアピールしてほしいです。

あ~ちゃん 私たちが一番生きてることを実感できるのがライブだから、その姿を見てもらえるように私たちも万全に整えていくし、みんなも楽しむ気満々で来てほしいです。あと、地方のおいしいものをぜひ教えてほしいです。

のっち わかる! ここしばらく遠いところに全然行ってないから。

かしゆか 長野は今までのツアーでもあんまり行ってないよね。おいしいもの教えてほしいな。あと有明は初めてだから、どんなところなのか楽しみです。

──有明アリーナはアーティストのライブとしてはPerfumeがこけら落としになるんですよね。

のっち 北海道も超ひさびさじゃない?

あ~ちゃん いくら丼とか食べたいな。もえあずちゃん(もえのあずき)がYouTubeで食べてるようなデカ盛りを食べてみたい(笑)。

のっち うわー! あれやるのかー!

あ~ちゃん ごはんにいくらをだぶだぶにかけて、田中農場さんの生卵をかけて……。

かしゆか じゃあそれは動画を回しましょう。

のっち TikTokに載せようよ。

あ~ちゃん TikTokじゃ短いよ。最後まで食べ切れんて(笑)。

公演情報

Perfume 9th Tour 2022 "PLASMA"

  • 2022年8月20日(土)東京都 有明アリーナ
  • 2022年8月21日(日)東京都 有明アリーナ
  • 2022年8月31日(水)愛知県 日本ガイシホール
  • 2022年9月1日(木)愛知県 日本ガイシホール
  • 2022年9月6日(火)大阪府 大阪城ホール
  • 2022年9月7日(水)大阪府 大阪城ホール
  • 2022年9月17日(土)広島県 広島グリーンアリーナ
  • 2022年9月18日(日)広島県 広島グリーンアリーナ
  • 2022年9月24日(土)福岡県 マリンメッセ福岡 A館
  • 2022年9月25日(日)福岡県 マリンメッセ福岡 A館
  • 2022年10月1日(土)長野県 ビッグハット
  • 2022年10月2日(日)長野県 ビッグハット
  • 2022年10月7日(金)宮城県 セキスイハイムスーパーアリーナ
  • 2022年10月8日(土)宮城県 セキスイハイムスーパーアリーナ
  • 2022年10月29日(土)埼玉県 さいたまスーパーアリーナ
  • 2022年10月30日(日)埼玉県 さいたまスーパーアリーナ
  • 2022年11月5日(土)北海道 北海道立総合体育センター 北海きたえーる
  • 2022年11月6日(日)北海道 北海道立総合体育センター 北海きたえーる

プロフィール

Perfume(パフューム)

あ~ちゃん、かしゆか、のっちにより2000年に広島で結成。2003年に活動拠点を東京に移してからは、プロデューサーにcapsuleの中田ヤスタカを迎え、インディーズレーベルで精力的に活動を開始。2005年にシングル「リニアモーターガール」でメジャーデビューを果たす。2007年に「NHK環境・リサイクルキャンペーン」テレビCMに出演し、CMソング「ポリリズム」が大ヒット。テクノポップブームの火付け役となり、2008年には日本武道館、2010年には東京ドームでのワンマンライブを完売させる。2012年10月にはアジア4カ国で初の海外ツアーを敢行。2015年にはアメリカ・テキサス州オースティンで開催された世界最大規模のフェスティバル「SXSW 2015」に出演し、インタラクティブメディアの祭典「SXSW Interactive」のヘッドライナーを務めた。2019年にはアメリカの野外音楽フェス「Coachella」への初出演を果たす。同年、自身初のベストアルバム「Perfume The Best "P Cubed"」をリリースし、これを携えて2020年2月に全国ドームツアーを敢行。同年9月にメジャーデビュー15周年 / 結成20周年を記念して、オンラインフェス「“P.O.P”(Perfume Online Present)Festival」を実施した。2022年7月に4年ぶりのオリジナルアルバム「PLASMA」をリリース。同作を携え、8月から全国9都市でのアリーナツアー「Perfume 9th Tour 2022 "PLASMA"」を開催予定。

※記事初出時、インタビュアーの発言に一部誤りがありました。訂正してお詫びいたします。

2022年7月28日更新