PEOPLE 1インタビュー|バンドの終わりは決まっている? 謎に包まれたバンドの素顔に迫る (2/3)

Deuにとっての楽曲制作とは

──そこまで苦しみながら、それでもDeuさんが音楽をやり続ける理由がとても気になります。Deuさんはどういったきっかけがあって音楽を好きになったんですか?

Deu もともと、THE BLUE HEARTSやandymoriが好きでした。でも自分が音楽を始めたわかりやすいきっかけというと、そんなにないです。中学の頃から吹奏楽をやっていて、高校からバンドを始めて。ずっとぬるっと、やらない理由がないから音楽を続けてきたという感じでした。そうすることで少しずつ、より音楽を好きになり、より詳しくなっていきました。

──THE BLUE HEARTSやandymoriの、どういったところに惹かれたのだと思いますか?

Deu あの2組は僕にとってすごく優しかったんですよ。あと、昔から世界観が完成されたものよりは、ある程度いい加減だったり、うますぎなかったり、ちょっと適当に見える感じのものが好きでしたね。

──今、曲を作るということは、自分にどういうものをもたらす行為ですか?

Deu また暗いことを言っちゃいますけど、個人的には、毒を飲む行為に近いです。嫌いな自分に向き合って、それを文章化していく行為。歌詞を書けば書くほど、どんどん嫌な自分を理解していって、またさらに自分のことを嫌いになっていくんですよ。なので、解毒が間に合わないと死ぬなって思います。

──解毒はどのようにして行われるんですか?

Deu ピッタリくる言葉を見つける、ということですね。僕は自分のアイデンティティは歌詞だと思うし、歌詞がすべてだと思っていて。なので、自分の感情を歌詞にしようともがいて、感情にピッタリくる言葉を見つけると解毒される。それが唯一の方法ですね。それで毒はストップします。でも、体力は回復しないです。減ったまま(笑)。

Deu(Vo, G, B, Other)

Deu(Vo, G, B, Other)

──「歌詞がすべてである」と言い切れるのって、すごいことだと思うんです。言葉は、人とコミュニケーションを取るための手段でもあるじゃないですか。言葉を通して自分の気持ちを他人に伝えること自体は、Deuさんはお好きなんですよね?

Deu うーん……人にマジで伝わっちゃうのは好きじゃないかもしれないです(笑)。歌詞も、めちゃくちゃはぐらかして書いているんですよ。鬼のようにはぐらかした2年間、そうしてたどり着いた今日という感じです(笑)。

Ito んんん……。

Deu 心の内は言うべきだと思うんですよ。なるべくさらけ出します。でも、本当に伝わっちゃうと困る。浅いところで受け止めてほしいなと、個人的には思います。

Ito ……けっこう、歌詞を見るとDeuさんの気持ちはわかってしまう気もしますけど。

Deu まあ、読み解けちゃうかもしれないね。読み解けないと、曝け出しているとは言えないし。そういう意味では、身を削っているのかもしれない。

THE BLUE HEARTSとandymori、共通する“優しさ”

──先ほど「自分は闘う人間だ」とおっしゃいましたが、Deuさんにとっての“闘い”というのは、例えば「音楽を通して世の中をよくしたい」とか「音楽シーンを変えたい」とか、そういうことではないんですよね。もっと自分の内面的な、人生的な問題である。

Deu そうですね。そりゃあ、僕たちの曲によって世の中がよくなれば、それに越したことはないですけど。でも、それは結果論でしかなくて、あくまでも自分のためです。ただ、自分と同じような思いをしている高校生なんかを救えたら、それはうれしいなと思いますね。あわよくば、ですけど。

──Deuさんは、自分はどんな人間なんだと思いますか? 先ほどTHE BLUE HEARTSやandymoriのことを「優しい」とおっしゃった、そういうところにもDeuさんの人間的な性格は見える気もしますが。

Deu 大きいのは、孤独感だと思いますね。(甲本)ヒロトさんやマーシー(真島昌利)さん、小山田(壮平)さんも孤独感があまりに巨大な人たちだと思うんですよ。僕も孤独感はあるし、孤独の海の底によく行くんですけど、そうしたら海の底にいるんです、その3人が(笑)。それぞれ孤独ではあるんだけど、「自分と同じような人がいる」と思うと救われる。あの3人も、きっと音楽は自分のために作っているんでしょうけど、あわよくば自分と同じような人が救われればいいと思っているんじゃないですかね。THE BLUE HEARTSやandymoriって、パッと聴いても優しさはわからないと思うんですよ。でも、すげえ落ち込んでいるときに聴くと、急に入ってくるんです。

──Deuさんは、何が自分を孤独にしているんだと思いますか?

Deu 生まれもって孤独を感じやすい体質なんだと思います。僕は自分の中に矛盾が多くて。けっこう攻撃的でもあるんですよ。PEOPLE 1でもおかしなことはいっぱいやっているし、やってしまう性分ではある。でも攻撃力は高くても、守備力やHPは低い。だから傷付くんです。そういう矛盾が、小さい頃から多かった。何がっていうことではなく、そういうふうに産まれついたという感じだと思います。

──ItoさんとTakeuchiさんから見て、Deuさんはどんな人ですか?

Ito 失礼ですけど、難しい人だなと思います。

Deu (笑)。

Ito 自分の中で、いろんなものと日々闘っている人だなと思う。真面目な人だとも思うし。なので、今Deuさんがご自分で言っていたことは、「わかるな」と思いました。孤独感を抱えていたり、自己矛盾と闘っている感じ……そういうところから生成されたものが歌詞であり、PEOPLE 1なのかなと思います。僕はメンバーですけど、いちリスナーでもあるので、Deuさんの歌詞は昔から好きなんですよ。

Deu ありがとう!(笑)

Ito Deuさんの作る曲って刺さる歌詞がいっぱいあるんですよ。だから僕は自分たちのマスタリングしたあとの音源とかよく聴いていますね。

Ito(Vo, G)

Ito(Vo, G)

──Takeuchiさんはどう思いますか?

Takeuchi 優しいのと、面白いのと……最近ちょっとずつ思うのは、ツンデレなのかなって。

一同 (笑)。

Takeuchi 悪い意味ではないんですけど(笑)、僕から見えているDeuくんと、彼が今、独白したDeuくんってどうしても差があるんです。それはメンバーからしても感じる。なので、僕からしてもDeuくんにも見えない部分があるんだろうと思う。その二面性を考えると、ツンデレなんだろうなって思います。まだ研究中なんですけど(笑)。

PEOPLE 1の闘い方が一番ロックだと思う

──PEOPLE 1というバンド名は、どうして付けられたんですか?

Deu 言ってしまえば、孤独感からスタートしているものなので。King Gnuさんの逆じゃないですけど(※King Gnuのバンド名には、動物のヌーが春から少しずつ合流してやがて巨大な群れになる習性を持っていることから、自分たちも老若男女を巻き込み大きな群れになりたいという思いが込められている)、「どこまでいっても1人」ということですね。売れる前提で始めたバンドだけど、売れても1人。売れようが売れまいが1人っていう感じです。ポジティブに捉えれば、「1人ひとりに寄り添っている」という意味もあるかもしれないですね。

PEOPLE 1

PEOPLE 1

──最初のEPのタイトルは「大衆音楽」でしたよね。今日の話を振り返ると、このタイトルの意味もまた意味深に聞こえてくるなと思うんですけど、あのタイトルを付けたことにはどういった思いがありましたか?

Deu 本当に、PEOPLE 1では大衆音楽をやろうと思っていたので。ただ、僕は大衆音楽というものをほとんど聴いてこなかったんですよ。商業音楽じみたものって、決して嫌いではないけど、得意ではない。それよりは、さっき言ったようにイギリスのガレージロックのようなリフで進行していく音楽のほうが好きで。日本的なダイナミクスのある音楽は、そんなに好みではなかった。でも「それをやらなきゃ」というところから始まったバンドなので、このPEOPLE 1は。現状、まだ大衆音楽には距離があるけど、そこに近付けていくのが、PEOPLE 1の物語なんです。あくまで僕の視点で言うと、ですけど。「これもいつか大衆音楽になるんだ」という覚悟と皮肉と……いろんな内面が混ざったタイトルですね。

──例えば、THE BLUE HEARTSは自分たちのルーツや思想を捨てずに、日本の大衆音楽としても受け入れられたバンドだと思うんです。僕はPEOPLE 1にも少なからずそういう部分は感じていたんですけど、どうでしょうか。

Deu 確かに、すべて捨てているわけではいないです。そういう意味ではいろんな価値観がミクスチャーされているのがPEOPLE 1だと思う……あくまで現状は。ただ、さすがにパンクロック、ロックミュージック、もっと言うと“バンド”という表現自体が今の時代と相性が悪いと思うんですよ。というか、今それをやっても、嘘になってしまうんですよね。そういう意味で僕はPEOPLE 1の闘い方は、今一番ロックだと思っています。ロックを突き詰めて、因数分解していくと、こういうバンドが生まれちゃうっていう。実はめちゃくちゃカウンターカルチャー的な作り方だと思います。