PassCode|人が変わっても、やることは変わらない 作り話みたいな激動の2021年

有馬えみり最強説

──有馬さんは、PassCodeとして初のレコーディングはどうでした?

有馬 レコーディングが最初の顔合わせの3日後とか4日後とかやって、初めて覚えたPassCodeの曲がこの新曲2曲やったんです。シャウトのパートがけっこう多くて「大変じゃん」みたいに思ったんですけど。

高嶋大上 うふふふ(笑)。

有馬 シャウトで使うメインの音域が前任の夢菜ちゃんと同じ中音域なので、自分の音域をそのまま使っても馴染むのはよかったですね。「Freely」と「FLAVOR OF BLUE」は曲自体のキー設定も中音域が一番合う感じやったから、自分の色を乗せつつPassCodeの音を表現する、みたいなこともやりやすかったと思います。

──おっしゃったように、2曲ともシャウトを多めにフィーチャーした曲という印象があります。結果論とはいえ、新メンバーがわかりやすく目立つ曲という意味でも新体制1発目にふさわしいですよね。

 そうですね。例えば去年のアルバム「STRIVE」とかは、曲的に重かったり激しかったりするものが多いんですけど、シャウト自体はそんなに多くないし。

有馬 うん、意外と。

大上 えみりは「シャウトがうまい」と自分でも言っているので、ぜひそのシャウトのうまさを実感しにライブに来てほしいですね。

 えみりには謎の方程式があって、私はその謎理論が好きすぎるんですよ。なんやっけ、「シャウトが100点やから、歌が多少苦手でも誰もえみりには敵わん」みたいな。

有馬 普通のボーカリストって「歌だけ」「シャウトだけ」でやってる人が多いけど、私は歌とシャウト両方やってるから。たとえ歌が100点の人がいても、私はシャウト100点に歌の点数をプラスできるんで、120点とか130点を叩き出せるんです。だから歌100点の人にも勝てる。最強説。

 意味わからん(笑)。

──なんならダンスもありますしね。

有馬 そう、ダンスもある。ダンスはちょっと、まだまだなんですけど。

PassCode

「武道館!」って構えすぎないように

──来年2月の日本武道館公演についても聞かせてください。前回のインタビューで、南さんには武道館に対する思いをけっこうがっつり語っていただきましたが……。

 そうですね、あのときは発表したばかりのタイミングやったんで。

──ずっと先の話かと思っていたら、いつの間にか目前に迫っていますね。

高嶋 あと3カ月とかなんですよね……。武道館には「めちゃめちゃ人気のあるアーティストしかできひんところ」というイメージがあって、PassCodeがそこに立つということがいまだに不思議な感じなんですけど(笑)。とりあえず武道館まで数本しかライブがないんで、そこで今の4人の形をもっと固めていけるようがんばりたいです。来てくれるファンの人たちに「ずっと好きでいてよかったな」と思ってもらえる日にしたい。

大上 以前は私も、「武道館はあまり自分とは関係ない場所」みたいに思ってました。目標の場所として名前を出されやすいイメージがありますけど、PassCodeはそこまで武道館に執着していたグループではなかったし。実際、2020年に新木場で「武道館やります」って発表したときも、実感がまったく湧いてなくて。

 まだ押さえてなかったしな。

大上 そう、確定もしてなかったし(笑)。「ほんまにやるんかな」みたいな気持ちもどっかにあって。具体的な日程が決まったあとも、メンバーが変わったりいろいろあって、ずっと目の前のことに必死で。つい先日チケット先行販売の当落発表があったんですけど、ファンの方がSNSで「当たったよー」とかつぶやいているのを見て、やっと少し実感が湧いてきたかなという感じです。

──いま何パーセントくらいですか?

大上 ……50パーセントくらい?

 けっこう湧いてるやん。

大上 確かに(笑)。

──100になるのは当日かもしれないですね。

大上 そうですね。本当にそんな気がします。

──そんな中、有馬さんはどういう心境なんでしょうか。3人のように武道館へ向けて着実に歩みを進めてきたわけではなく、突然目の前に武道館が待っている激流に放り込まれたような状態ですよね。

有馬 私としては「なんであれ、やることはシャウトだ」みたいな気持ちです。家族や友達からも「すごいプレッシャーだよね」とか言われたんですけど、実際はダンスや、やったことのないパフォーマンスに対する目の前の現実的な不安のほうが大きくて。

──なるほど。「武道館がどうとか言ってる場合じゃない」みたいな。

有馬 そうなんですよ。

 実際、武道館だからといってやることは変わらないから。もちろん1つの大きな目標として立ててきたものではあるけど、武道館でも地方の小さなライブハウスでも、私たちのやることは「いいパフォーマンスをすること」だけなんですよ。だから、えみりもそんなに「武道館だから!」とは感じていないんじゃないかな。

有馬 それです。

 あははは。

──前回のインタビューでは武道館を甲子園に例えましたけど、それで言えば「市民グラウンドだろうが甲子園だろうが、やることは野球でしかない」ということですよね。甲子園だからって、急にすごい球が投げられるなんてことはあり得ない。

 そうですね。

──ただ、「甲子園には魔物が棲む」みたいな話もありますし、武道館にも人知を超えた何かがあるかもしれないですよね。

 そういうイメージがあるからこそ、ほかの会場以上に関係者の皆さんが花を贈りたくなる場所なんだと思うんですよね……PassCodeがお花を贈ってもらえるか、めっちゃ不安なんですけど(笑)、私たちはあくまでも1本1本のライブを大切にやっていくスタンスです。

大上 あんまり「武道館!」って構えすぎちゃうと、終わった途端に燃え尽きちゃいそうな気もするしな。

 もうちょっと「念願の!」みたいな感じに言ったほうがいいのかもしれへんけど(笑)。もちろんうれしいことやし楽しみですけど、あんまりやることは変わらないなっていう。ひたむきにやっていくことだけがいいライブをする唯一の方法なのかなと思っていますね。

──11月にはTHE ORAL CIGARETTESやMY FIRST STORY を迎えた対バン企画「VERSUS PASSCODE 2021」もありますし、それも含めて着実にやっていくだけだと。

 そうですね。「VERSUS PASSCODE」は2年ぶりになるんですけども、「武道館を経験している先輩たちの胸を借りてやりたい」と去年ぐらいから考えていて。私たちにとっては初のホールツアーでもあるので、どんな会場でも自分たちのスタイルを変えないオーラルとマイファスから、いろんなものをもらって帰りたいです。もちろん、せっかく対バンしてもらえるんだったら、向こうにもPassCodeから何かを持って行ってもらえたらいいなと思っています。

高嶋 単純に、マイファスとオーラルのライブを観るのがめちゃくちゃ楽しみでもあります(笑)。メンバーみんな2組のライブが普通に好きなので、私たち主催のライブに出てくれるという事実だけでもすごくうれしいです。

──とはいえ、対バンのときには常に「相手を驚かせてやろう」という思いでやっているわけですよね。相手が先輩であろうが関係なく。

 フェスとかでも、「あわよくば食ってやろう」と思いながらやっていますね(笑)。自分たちの立ち位置がどうあれ、相手が誰であれ「私たちが一番カッコいいんだ」という思いでステージに立つ姿勢は変わらないと思います。若手に対して「負けねえぞ」ってギラギラしている大ベテランのアーティストさんとかを見ると本当にカッコいいなと思いますし、自分たちもそうなりたいですね。ずっとそういう姿勢でいたいです。

PassCode

ライブ情報

VERSUS PASSCODE 2021
  • 2021年11月19日(金)大阪府 フェニーチェ堺 <出演者> PassCode / THE ORAL CIGARETTES
  • 2021年11月28日(日)神奈川県 パシフィコ横浜 国立大ホール <出演者> PassCode / MY FIRST STORY
PassCode Zepp Tour 2021 振替公演
  • 2021年11月25日(木)愛知県 Zepp Nagoya
"STRIVE" for BUDOKAN Tour 2021 FINAL
  • 2021年12月16日(木)東京都 Zepp Tokyo
PassCode NIPPON BUDOKAN 2022
  • 2022年2月12日(土)東京都 日本武道館
PassCode(パスコード)
バンドサウンドをベースにスクリーモ、メタルコアなど変幻自在の楽曲群を擁し、シャウトスクリームが異彩を放つ4人組グループ。2016年10月、シングル「MISS UNLIMITED」でメジャーデビューした。これまで「SUMMER SONIC」「JOIN ALIVE」「Vans Warped Tour Japan 2018 presented by XFLAG」「ジャイガ大阪」など、数々の大型ロックフェス出演を果たし、本格志向のロックファンからアイドルファンまで幅広い支持を獲得している。2020年12月、約1年後の2022年2月に東京・日本武道館公演を行うことを発表。2021年2月よりメジャー3rdフルアルバム「STRIVE」を携えて全国ツアー「"STRIVE" for BUDOKAN Tour 2021」を行った。8月にメンバーの今田夢菜が“勇退”し、新たに有馬えみりが加入することを発表。9月に日本武道館へ向けたツアー「PassCode Zepp Tour 2021」をスタートさせ、初のベストアルバム「PassCode THE BEST -LINK-」を発表した。11月に新体制初となるニューシングル「Freely / FLAVOR OF BLUE」をリリース。さらにTHE ORAL CIGARETTES、MY FIRST STORYをゲストに迎えて自主企画ライブ「VERSUS PASSCODE 2021」を行う。