音楽ナタリー Power Push - PassCode
「VIRTUAL」でリスタートする4人のPassCode
この4人でがんばりたい
──そんな状態のまま「TIF」本番を迎えたわけですが、どうでしたか?
南 記憶ない。でも複雑な気持ちのままステージに上がったのは覚えてます。
今田 立ち位置とかも全部変わって覚えることいっぱいだったからね。
大上 なんか申し訳ない。
南 ひなちゃんが悪いわけじゃないけど、やっと「TIF」に出演できると思ってたのにみんな新メンバーが目当てで観に来るみたいな感じで。うれしいはずなのにずっとモヤモヤしてた。
大上 レッスンもみんな一緒にやってくれたし、私は「TIF」が終わったくらいからぼちぼち受け入れられてるって思ってました(笑)。
南 ひなちゃん、けっこう積極的に私たちに話かけてくるんですよ。
高嶋 それになんか放っておけない感じで。「足が靴擦れして痛い」って言ったら靴下をみんなで買いに行ったりしてね。嫌やなって思っててもなんやかんやで気になっていって。
今田 ホンマにライブ中とかもひなちゃんのことが心配でそっちばっかり気になっちゃってね。
南 体力的にも心配で、ずっと死にそうな顔してたしな(笑)。
今田 だから気持ち的にはもう受け入れてたんですよ。ただ、まだ踏ん切りがつかないというか。
──徐々に大上さんを受け入れていく空気にはなっていったんですね。でも、そんなタイミングで初期メンバーの黒原さんがまさかの脱退。
南 遠征で新幹線を待ってるときに「今日、黒原は来ないです」ってスタッフさんから言われて。
今田 「今日行かないって言ってます。体調不良とかじゃなく、行かないって」という感じで。その当時、彼女は舞台に出演してたから彼女がいない歌割りとかフォーメーションも練習はしてたけど、あまりにも突然すぎて。ゆうきゃんのいない4人バージョンの歌割りをやってない曲もライブでやる予定だったから新幹線の中で必死に覚えて、ライブもなんとか成立させました。
──みんなからしたら「来ないってどういうこと?」って感じだったと思いますが。
今田 というか、どうしようって感じですよ。
大上 涙が出そうやったわ……。
南 その2日くらい前に「この5人でがんばろう」って泣きながら話したばかりだったんですよ。
今田 そこから完全に音信不通ですよ。そのすぐあとに沖縄でライブがあってゆうきゃんの生誕祭も予定されてたんです。でもまだ辞めるってことにはなってないから公式としては体調不良って感じでアナウンスするしかなくて。集まってくれたゆうきゃんのファンに申し訳なくて「ホンマにごめんな」しか言えなかったです。でも、そのときのライブがめっちゃよかったんですよ。
──4人でのライブがしっくりきたと?
南 「オレンジ」っていう曲があるんですけど、そのときにみんな何も言ってないのに涙がバーッと流れてきて。この4人でがんばりたいって思って、そこでようやく1つになれたような気がしました。
大上 私もこのグループでよかったって思いました。
今田 本当にひなちゃんが入ってくれてよかったって思ったんです。1人いなくなったから誰でもよかったわけではなく、ひなちゃんだったからよかったって。
大上 ニヤニヤが止まらへん。
今田 いや、それまでは思ってないよ(笑)。
ツアーファイナルはソールドアウトさせたかった
──短い期間でいろんなことがあって、ようやくPassCodeとしてベストな体制になりました。ハッカーさんからも今の4人体制がいいっていうご意見をいただくことも多いんじゃないかと。
大上 よく言われますね。
南 めっちゃしっくりきてます。この4人でのライブがめっちゃ楽しいんです。これ以上のものがそもそもないと思ってる。
──そこから初の全国ツアーが始まりました(参照:「この4人でもっと上へ」PassCode、決意の初単独ツアー開幕)。ツアー初日は黒原さんが抜けたばかりで間もない状況の中でしたが、かなり盛り上がりましたね。
南 私、1曲目からコンタクトが飛んでいってまったく見えへんかったんですよ(笑)。あのときは本当にヤバかった。でもみんなが楽しかったって言ってたし、メンバーもすごくいいパフォーマンスができたと思います。
──初日は地元・大阪で最高のスタートを切って、そこから福岡、名古屋、札幌を巡り、2016年1月2日に赤坂BLITZでツアーファイナルを迎えました(参照:PassCode、熱狂の初ツアーに幕「もっといい景色見せる」)。正月からたくさんの人が集まりましたけど、皆さんとしてはこの日のライブはどうでしたか?
今田 メンバーとしては悔しかったです。
南 うん、ソールドアウトさせたかった。
大上 すごいたくさんの人が来てくれて、お正月なのに私たちを選んでくれてうれしかったんですけど、私たちとしてはすごい悔しくて……。別に人数がすべてではないですけど、もっとたくさんの人に観てもらいたかったなって。
──自分たちのパフォーマンスにも自信が付いてきてるから、もっと観てもらいたいっていう気持ちが強くなってきてるんでしょうか。
南 ぜいたくやと思うんですけど、私たちがもっと大きくなっていくところをたくさんの人に見守っていてほしいって思うようになってきました。自分たちの魅力はライブだから、気になってる人は足を運んでほしいんですよ。赤坂BLITZのライブは私たちのことを好きになってくれるきっかけになるようなパフォーマンスができたと思うから、埋められなかったのが悔しくって。でもそこから意識が変わりましたね。上を目指していこうって気持ちにみんながなった。
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収録曲
- MOON PHASE
- AXIS
- Never Sleep Again
- ドリームメーカー
- NINJA BOMBER
- from here
- SIGNAL
- Now I Know
- Selfish Girl
- Nextage
- Don't leave me alone
- You made my day
- PassCode VIRTUAL TOUR 2016
- 2016年7月2日(土)
宮城県 darwin - 2016年7月3日(日)
大阪府 FANJ twice - 2016年7月6日(水)
愛知県 ell.FITS ALL - 2016年7月8日(金)
福岡県 INSA - 2016年8月8日(月)
東京都 Zepp DiverCity TOKYO
PassCode(パスコード)
南菜生、高嶋楓、今田夢菜、大上陽奈子の4人からなるアイドルグループ。2013年の結成当初はアイドルらしい楽曲を歌うグループだったが、2014年2月に高嶋、今田が加入したのを機に楽曲プロデューサーの平地孝次が手がけるラウドロックやEDMなどを複合した楽曲にコンセプトを変える。曲中では今田のシャウトが特徴的で、アイドルファンのみならずロックバンドファンなど幅広い層からの支持を集める。2014年6月に1stアルバム「ALL is VANITY」を発表。同年10月には大阪と東京で1stワンマンライブを開催する。2015年8月に大上陽奈子が加入し「TOKYO IDOL FESTIVAL 2015」に初出場。同年10月から2016年1月にかけて初の全国ツアーを実施。2016年5月25日に2ndアルバム「VIRTUAL」を発表し、アルバムを引っ提げた全国ツアーを7月2日よりスタートさせる。ツアーファイナルは8月8日に東京・Zepp DiverCity TOKYOにて全編バンドセットで行われる。