ナタリー PowerPush - PAGE
A&Rクボタマサヒコから17歳アーティストへの課題
PAGEが3rdシングル「MY NAME IS xxxx」をリリースした。この曲はPAGEが「閃光ライオット2011」でグランプリを獲得した際に披露したもので、彼の原点とも言える“自己紹介ラップ”だ。
今回のインタビューは前半で「MY NAME IS xxxx」が生まれた背景と、今この曲をリリースする意味を紐解き、後半では今年3月にPAGEのA&R(Artist and Repertoireの略。アーティストの育成や楽曲制作を担当する職務)に就任したクボタマサヒコ(ex. BEAT CRUSADERS、kuh、TOQUIO LEQUIO TEQUNOS)を迎えての対談形式で「PAGEのこれから」について語り合ってもらった。
取材 / 三宅正一(ONBU) 文 / 小島双葉 インタビュー撮影 / 高田梓
僕=この曲みたいになるのがヤだった
──「MY NAME IS xxxx」は、PAGEくんのキャリアにとって最初の一歩となった曲ですよね。この曲からすべてが始まったと言っても過言ではないと思うんですが、今のPAGEくんにとってこの曲はどういう存在ですか?
PAGE やっぱり原点ですよね。ずっと特別だなっていう感じはします。普段は曲でこういうこと言わないんですよね。直接的な表現というか。
──うん。本来はそうですよね。
PAGE 決して嘘は言ってないし、この曲のおかげでここまで来れましたけど……。この曲があったから学校でいろいろ言われたり、ネットでも誹謗中傷がヒドかったときもあったし。僕=この曲みたいになるのがヤな時期もありましたね。
──呪縛のように思っていた時期もあったと。
PAGE そうですね。それまではけっこう素直で、いい子といえばいい子だったんですけど。「閃光ライオット」以降、いろんなことがヤになってこの曲も嫌いになっちゃったし。
──「閃光ライオット」以降=この曲以降という感じなんでしょうね。この曲を境に人生も考え方も変わっただろうし。
PAGE そうですね。まぎれもなく中3の2月に作った僕のリアルではあるんですけど。「閃光ライオット」以降、いろいろ病みだしてから、自分の考えがこの曲とは真逆な感じになったので。この曲って、すごく素直に親への感謝を歌ってるんですよね。でも、今はこれと同じような素直な曲を作ることはできないし。作ったら作ったで、今の俺が「どうなの?」と思ってる人と一緒になっちゃうんじゃないかって。
──むしろ今は、素直に物事を受け入れてしまっている人に問題提起したいモードだと。
PAGE そうですね。
卒業前に急に真面目モードになって書いた
──この曲はPAGEくんが曲作りを始めてからわりと早い段階で書いた曲なんですか?
PAGE 僕は中3の1月に曲作りを始めたんですけど。そこから数えると2カ月経ってない頃ですね。
──この曲を作った動機はなんだったんですか?
PAGE 僕、物事の節目節目で真面目になっちゃう性格だったんですよね。例えば小学校のときは野球をやってたんですけど。辞めたくてしょうがなかったのに、引退した瞬間に超真面目になっちゃって。まだ中学生にもなってないのに、中学の硬式野球クラブに入ったり(笑)。
──何ですかその飛び級(笑)。
PAGE それで中学に入ってからもバリバリやって、キャプテンにもなって。チームを引っ張っていたんですけど。監督には「おまえの代から松山ファイターズはダメになった」って言われて。一応準優勝までいったんですけどね。
──全然ダメじゃないですよ。
PAGE 態度的な問題じゃないですか。僕の代はけっこうふざけていたので。
──で、その話とこの曲はどうつながるんですか?
PAGE この曲は中学の卒業前に書いたんですよ。さっきも言いましたけど、僕は普段はいいこととか言いたくないんです。どちらかといえば、真面目な話は苦手なタイプで。いいことはちょっとサムいと思うっていうか。でも、卒業前に急に真面目モードになっちゃって。
──卒業っていう節目のときだから?
PAGE そうですね。俺は卒業証書をもらっただけじゃ卒業できない、高校生にはなれないって思ったんです。いいことを表現しなきゃ俺は卒業できないって。じゃあ曲にしようと思って。そのときはもうラップを始めていたので。ひとつのケジメをつける意味で曲を作ろうと。
──自分の中の卒業証書というか。
PAGE そうですね。韻を踏もうとか、そういうの全然思ってなくて。バーッと書いて「よしこれで終わり」って。部屋で録って、ネットに上げて。そしたらちょっと話題になっちゃったっていう感じなんです。
──でも自分の中の卒業証書としてしまっておくだけじゃなくて外に出したのは、誰かに聴かせたいと思ったからでしょう?
PAGE まあ、作ったから、上げようくらいの気持ちだったと思います。
──結果として、予想外の反応が返ってきたと。
PAGE 予想外でしたね。ビックリしました。僕がやっていたネットラップっていうのが、小さいコミュニティだったんですけど、その中ではいい反響があったし。
- ニューシングル「MY NAME IS xxxx」/ 2013年5月8日発売 / Ki/oon Music / KSCL-2238
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収録曲
- MY NAME IS xxxx
- MY NAME IS xxxx asamiya Remix
- MY NAME IS xxxx Yoshinuma Remix
- MY NAME IS xxxx Ghost Cheek Remix
- MY NAME IS xxxx ist Remix
PAGE(ぺいじ)
1995年生まれ、愛媛県松山市出身のラッパー / シンガーソングライター。小学6年生のときに観たケツメイシのライブDVDに感銘を受け、音楽に目覚める。2008年からリリックを書き始め、2011年1月にマイクとインターフェイスを購入し宅録を開始。直後からニコニコ動画に「ニコラップ」と呼ばれるジャンルのラップを投稿し始める。同時期に10代限定のコンテスト「閃光ライオット2011」に応募し、予選を勝ち上がる。同年9月に東京・日比谷野外大音楽堂で開催された決勝戦で見事グランプリを獲得(当時の名義はPAIGE)。「閃光ライオット」での一連のステージを現在のディレクターに見初められ、2012年7月にキューンミュージックよりシングル「You topia」でメジャーデビューする。2013年2月に2ndシングル「エクスペクト」を発表。同年5月に「閃光ライオット2011」で披露した「MY NAME IS xxxx」をシングルリリースした。