音楽ナタリー Power Push - 大島はるな

音楽的“ワガママ”を貫く彼女の“ハイスペック”なメジャーデビュー

私のやることは変わらない

──その歌い分けも含めたボーカルのプランってどうやって構築するんですか?

私の曲はだいたい自社(大島が所属する音楽制作会社「Sound Drive」)のスタジオでレコーディングしていて、今回のシングルも全曲そうなんですね。で、私の歌い方や癖を熟知しているプロデューサーの斎藤(悠弥)さんのもとで何度も話し合いを重ねながら仮で録音しています。それこそ「放課後アメージンッKiss」だったら、斎藤さんと「これじゃかわいすぎるね」「じゃあ次はこんな感じで」「さっきのとどっちがよかったか聴き比べてみよう」みたいなやりとりを繰り返して。

──バンドがレコーディング前にリハーサルスタジオでプリプロを重ねるような感じ?

大島はるな

そういうイメージですね。しかも自社のスタジオだからフットワーク軽く、いろんなことが試せるんですよ。お互いに意見を出しつつ、気になったことがあったらちょっとブースに入って録ってみて、本番のレコーディングまでに「これが完成形」と言える形にしておける。なので、恵まれた環境だと思います。

──最初に「メジャーもインディーズも大差ないのでは?」という話をしましたが、まさに音楽制作に関しては、今回もこれまでもやっていることは一緒だと。

制作環境は同じですし、1曲ずつ丁寧に作り込んでいくという姿勢は変わらないですね。そのうえで“メジャーアーティスト”として歌に磨きをかけていきたいです。

大島はるなの音楽的「ワガママ」

──ところで大島さんは、「ワガママ」なほうですか?

えっ!? うーん……はい、ワガママです。

──どんなところが?

食べ物にワガママですかね。

──それは好き嫌いがあるということ? あるいはおいしいものしか食べたくないとか?

いや例えば「今月は節約しよう」と思っていたとしても、牛丼屋さんに行って、トッピングメニューにオクラとろろがあったなら、それはトッピングしないとダメだと思うんですよ。絶対においしいんだから。

──トッピングって、せいぜい100円前後ですよね?

そこはチリツモですから(笑)。あとランチとかでも「プラス200円でデザートが付きますよ」と言われれば付けなきゃいけないし……。

──付けなきゃ「いけません」か(笑)。

はいっ! サラダビュッフェだったら全種類制覇しないといけないって思ってます(笑)。

──それはワガママというより、食いしん坊?

あ……。

──で、音楽的には、お話を伺う限り「私の声を一番目立たせたい」みたいなワガママを発揮するタイプではないように思われます。

大島はるな

そうですね。むしろ私は目立つのが苦手で……。だからライブは大好きなんですけど、実は人前で歌うのは恥ずかしいんですよ。言ってみれば、みんなと楽しく音楽を共有できる空間が好きなんですよね。そしてそれができるのがライブなんです。ただ、音楽制作の面ではワガママでありたいですね。いい作品を作りたいという意味で。

──「大島はるな」という名前ではなく「大島はるなの作品」を知ってほしい?

はい。私のことは知ってもらわなくてもいいです!

──あのー、「大島はるなメジャーデビュー!」っていうインタビューなんで……。

そうでした(笑)。いや、もちろん名前も含めて売れるに越したことはないですし、将来的にさいたまスーパーアリーナみたいな大きなステージでワンマンライブをやりたいっていう夢はあるんですよ。でも、それは目立ちたいとか憧れられたいという意味ではなくて、より大きな空間でより多くの人と楽しい時間を共有したいからで。だから「有名になったぜ!」ではなく、「みんなのために大きな空間を用意したぜ!」っていう意味でなら、ドヤ顔できますね(笑)。

コテコテの“THE アニソン”を歌いたい

──さて、大島さんはアニソン歌手として第一歩を踏み出したことになりますが、今後はどんな曲を歌いたいですか?

最近はスタイリッシュなアニソンも増えてますけど、母が借りてきたDVDも含めて私が慣れ親しんできたアニソンって、だいたい曲名や歌詞にタイトルが入ってるんですよ。「燃え上が~れ~ガンダム~♪」みたいな。だからそういうコテコテの、“THE アニソン”を歌いたいですよね。必殺技とかも叫んだりして。

──それって、実は今のシーンのトレンドを押さえてる話なんですよ。要は、ほかのアーティストもアニソンらしいアニソンに原点回帰しているというか。

そうなんですか?

──例えば2014年のほぼ同時期に、Angelaが「シドニアの騎士」主題歌の「シドニア」を、fripSideが「ブラック・ブレット」主題歌の「black bullet」を、JAM projectの遠藤正明さんが結成した遠藤会が「健全ロボ ダイミダラー」主題歌の「健全ロボ ダイミダラー」をリリースしていたり(参照:angela「シドニア」「宝箱2」インタビュー)。

すごい! 大先輩3組が、アニメのタイトルまんまの曲を。

──さらに2015年の「ワンパンマン」の主題歌だったJAM Projectの楽曲は、パンチ主体で闘うヒーローものだからということで「THE HERO!! ~怒れる拳に火をつけろ~」)。現在放送中の「甲鉄城のカバネリ」も、主題歌はEGOISTの「KABANERI OF THE IRON FORTRESS」っていう、アニメのタイトルの英訳ですし。

大島はるな

「ハイスペックDays」も、タイトルの半分は作品名ですし、ぜひその流れに乗っかりたいですね。

──最後に、大島さんは2年半前のインタビューで、インディーズでの1stアルバム「自分革命」収録の「届け…!!」という曲は、音楽に専念するためにさよならした人たちに向けて「夢をつかんだらまた会いましょう」という思いを込めたとおっしゃっていました。

はい。

──今は、その人たちに会える感じですか?

実はですね、うれしいことに、メジャーデビューが決まったときにいろんな方からお祝いの連絡をいただいて、歌の道に進んだことで疎遠になってしまった人たちとも、最近ちょこちょこ会ったりもしていて。こうやって夢を追って地道に活動していれば、歌に込めた思いも届くんだなっていうことを、今ひしひしと感じています。

メジャーデビューシングル「ハイスペックDays」/ 2016年6月22日発売 / IMPERIAL RECORDS
タイプA / 1200円 / TECI-506
タイプB / 1200円 / TECI-507
タイプA収録曲
  1. ハイスペックDays
  2. Miracle heart!
  3. ハイスペックDays -Instrumental-
  4. Miracle heart! -Instrumental-
タイプB収録曲
  1. ハイスペックDays
  2. 放課後アメージンッKiss
  3. ハイスペックDays -Instrumental-
  4. 放課後アメージンッKiss -Instrumental-
大島はるな(オオシマハルナ)
大島はるな

4月5日生まれの女性シンガー。「私の歌でみんなの心を動かしたい」をキャッチフレーズに、月15本以上のライブを展開。また2013年より、さまざまなアイドルに楽曲提供をしている斎藤悠弥を総合プロデューサーに迎え、美少女ゲームなど数多くのゲームのテーマソングを手がけ、“美少女ゲームの歌姫”の名をほしいままにすると同時に、「Rising Soul / 運命の扉」「Zillion Zest / I miss you」などのシングルや、2014年3月の1stフルアルバム「自分革命」などオリジナル音源も発表する。そして2016年6月、テレビアニメ「ワガママハイスペック」の主題歌「ハイスペックDays」でメジャーデビューを果たす。