ナタリー PowerPush - ORIONBEATS

1stアルバムは2枚組100分超え!大作「AWESOME BEATS」を哲史が語る

どの曲も普通のアプローチは採ってない

──そして8曲目以降は怒涛のように、沖縄の代表的な曲がサンプリングされています。

はい。ちゃんと許可を得てサンプリングしてます(笑)。

──サンプリングする曲はどうやって選んだんですか?

もう、自然に。昔から聴いてるんで。ノリとしては、DJが大ネタをかぶせるような感じかな。

──こういうビートができたから、もしくはこういうメロディができたから、じゃああの曲とマッシュアップしてみよう、という発想でした?

そうそう、そこが先です。先に曲があって、じゃあこういう音にしようって。

──どのサンプリングも面白いと思ったんですが、中でもびっくりしたのが「Anmar from. KARIYUSHI58」。

ちゃんと「アンマーヨー」のフレーズが聞こえるようには続けてないんで。じらすだけじらして終わる、みたいな。

──原曲は、お母さんへの感謝を歌ったミディアムバラードですよね。それをダブステップにするんだ!と驚きました。

めちゃくちゃな組み合わせだけどそこを行くか、みたいな(笑)。確かに苦労しましたよ。この曲が最後にできたんですけど、ミックスの段階でもまだ構成もできてなくて、ミックスしながら構成して。だけど完成したときにすごく良くなったんですよね。苦労した分、思い入れがある曲です。「Humoresque 8」にしても「Anmar」にしても、普通のアプローチは採ってないんですよね。だから耳にした人は「なんだ?」って思ってくれるかなって。そこから、ORIONBEATSってなんだろうって調べてくれて、気になる存在になれたらって思うんですよ。僕自身も、変わった曲を聴いたら「なんだろう」って思って調べることがよくあるし。

──おっしゃるとおり、耳に残る仕掛けが詰まったアルバムだと思います。

そう思ってもらえたら、本当にもう狙いどおり(笑)。

ヒップホップに初チャレンジ

──そして、11曲目「Tweet Me, Tweet You feat. AWICH」では女性ラッパーのAWICHさんをフィーチャーされてます。

AWICHさんは昔から気になっていて。ずっと彼女の音楽が好きで、いつか一緒にやりたいなと思って。ようやく実現できたんです。彼女はバイリンガルで、英語も超ペラペラだし、沖縄の言葉もしゃべれるから、歌詞も英語と沖縄の言葉を混ぜたもの。そうすると、沖縄の言葉が英語に聞こえたりして。そういう遊び方が面白いですよね。

──確かに、彼女のラップに乗ると沖縄の言葉が黒っぽく感じられます。

まさにそれなんですよ。

──あと、哲史さんからヒップホップのトラックが上がってくるのが意外というか。

確かに、初チャレンジでした。ラップのトラックとか作ったことなかったですしね。この曲は、これくらいのテンポのヒップホップ寄りの曲が作りたいなと思ったことからできたもので。グリッチホップっぽいというか。

──なるほど。それから13曲目の「Pop 'n Talk feat. lichard.」では、盟友lichard.を迎えています。

この曲自体は以前からあって、DJのときに使ってたんですよ。でもなんか物足りないなとも思ってて。lichard.とは昔から仲いいし、話もしやすいので、「これ一緒にやってみない?」って感じで誘ったんです。

──元々の曲で足りないと思ってたのはどのあたりだったんですか?

ドラムがちょっとしょぼかったんですよね。なので、ドラムと上物をお願いして。lichard.とは、ほかのフィーチャリングアーティストに比べてすごく距離が近いから、そのへんが音に出てたりするのかな。安心感があるというか。多分、僕も一緒に作業する前からわかってたんだと思うんですよ。lichard.がこういう音を出してくるだろうなっていうのを。でも、その予想を上回るような音を出してくれて。さすがだなと思いました。

──そして、今作随一のロックナンバー「ROCK IN CHATAN FES」。

これで「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」に出られたらいいんですけどね(笑)。

──あはははは(笑)。CHATANって沖縄の北谷のことですよね。そしてこの曲に参加しているのが、NEON。

NEONとは昔大阪でライブしたときに共演して、そこからの付き合い。NEONはCARIZMAからアルバムをリリースしてることもあって、仲良くしてたんですよ。で、この曲は一緒に作るって決まってから「どんなのにしよう?」ってお互いの興味あるジャンルの曲をいろいろ聞かせ合って、その後は「ここはこんな感じで」「じゃあここでちょっと沖縄っぽいギター弾いて」みたいにデータのやり取りをしながら進めました。

──ちなみにレコーディングは、全部データのやり取りで進めました?

ボーカル録り以外はそうですね。ボーカルは、例のお化けが出るスタジオで録音を(笑)。プリプロまでは全部うちで作って、ミックスや録音はそのスタジオで。なんか、データのやり取りのほうが向いてるんです。一緒にスタジオに入ってあーだこーだやるよりも、そのほうが集中できる。一緒にいたら遊んじゃうから(笑)。lichard.ですらデータのやり取りですからね。同じ沖縄なのに。会っちゃうと遊ぶほうが楽しくて仕事にならない。

──いい話(笑)。哲史さんの活動の根底には、その「みんなと遊ぶのが楽しい」という思いがあるような気がしていて。RAKUEN RECORDSもパーティの「RAKUEN」も、仲間と一緒に楽しいことをやってますっていう気持ちがすごく詰まってるように感じます。「会っちゃうと楽しいから」っていうのはそれを端的に表してるかと。

RAKUENの打ち上げでも、打ち上げ用にひとつパーティを作るぐらいですからね。それぐらい遊ぶのには全力(笑)。

1stアルバム「AWESOME BEATS」[CD2枚組] / 2012年6月12日発売 / 2625円(税込) / RAKUEN RECORDS / RKEN-002

DISC 1:AWESOME BEATS
  1. Let's ORIONBEATS feat. YAMATO
  2. TANDIGA DANCE feat. SHINJI
  3. iSanshin 3GS feat. Fencer
  4. Save The Sea, Save The Sky feat. TAKASHI
  5. Kabira Bay feat. C-R
  6. ORION BEACH
  7. Humoresque 8
  8. Medetai Medetai from. RINKEN BAND
  9. ORION MATSURI
  10. Eisa from. DIAMANTES
  11. Tweet Me, Tweet You feat. AWICH
  12. Anmar from. KARIYUSHI58
  13. Pop 'n Talk feat. lichard.
  14. ROCK IN CHATAN FES feat. NEON
  15. GarageDJ
  16. The Orion Nebula
DISC 2:Souvenir from ORIONBEATS (Bonus Nonstop Mix CD)
  1. Let's ORIONBEATS Remix
  2. ORION Boy
  3. ORION MATSURI Remix
  4. Hangover
  5. Pop 'n Talk Remix
  6. Fresh Plaza Un10n
  7. Fifty Eight Drive Music
  8. Toshin Electric Boy Remix
  9. Tequno Eisa
  10. I Just Wanted To Be A Drummer
  11. Tweet Me, Tweet You Remix
  12. ORION BEACH Remix
  13. Hungry Birds
  14. The Orion Nebula Remix
  15. RAKUEN Break
  16. Space Opera
  17. UCHUNCHU
  18. iiTenki
  19. DidgeridooooOOOOOO
  20. One Day
  21. Tablama Remix
  22. Mukashi no Tekuno
  23. Ketchup on The Fish & Chips
  24. DAN DAN DAN
  25. TANDIGA DANCE Remix
  26. From The Three Stars in Orion's Belt, Via Okinawa to You. At the Crack of Dawn, Play ORIONBEATS and Enjoy it.
ORIONBEATS(おりおんびーつ)

廣山哲史のソロプロジェクト。2011年6月にリリースした廣山哲史名義のミックスCD「Souvenir from RAKUEN」に、初めてORIONBEATSとしての曲が収録される。同年9月に沖縄・名護で開催された野外フェスティバルで初のライブステージを踏む。その後、ロックカバーアルバム「Rock You!」や普久原恒勇の作曲家生活50周年記念トリビュート盤「普久原メロディー」などに参加。並行して精力的なライブ活動を展開する。2012年6月、1stアルバム「AWESOME BEATS」を沖縄発クラブミュージックレーベル・RAKUEN RECORDSよりリリース。