ナタリー PowerPush - ORANGE RANGE

テーマは「バンド解体」 意欲作をNAOTOに迫る

「ネオ」な「ポップ」と「スタンダード」

──そんな中完成したニューアルバム「NEO POP STANDARD」は、とても面白い作品になりましたね。

なんか、そんな感じに……(笑)。

──(笑)。完成したのはいつごろなんですか?

本当に最後の工程、マスタリングが終わったのが2月の頭ですね。いつもニューヨークの同じスタジオにお願いしてるんですけど。

──「Anniversary Song ~10th~」の無料配信が2月22日から開始されましたよね。ということは、本当にギリギリまで作業していたんですね。すると、まだあんまり客観的には聴けていない?

客観的にはわかんないですけど、完成したアルバムはめちゃくちゃ聴いてます。

──しかし、メジャー復帰後第1弾アルバムがこの内容とは。ORANGE RANGEは、いい意味で世間を舐めてますね。

確かに(笑)。タイトルもなんかそんな感じで……。

──タイトルの着想点はどこからだったんですか?

最初に僕がいっぱい案を出して、その中からみんなが選んでくれたんですけど、今作のタイトルには、「ポップ」って言葉と「スタンダード」って言葉を絶対入れたくて。でも、ただ「ポップ」と入れたらポップを一生懸命やってる人に失礼だし、ただ「スタンダード」って入れたらスタンダードなことを一生懸命やってる人たちに失礼だな、と。なので「ネオ」をつければ回避できるんじゃないかなって思って。

──しかし、そんなNAOTOさんの意図には反して、この3つの単語が組み合わさると「新しいポップネスもスタンダードも全部ここにあるよ」ってとても強気に言われてるように思えました。

そうみたいですね。いろんな人にそう言われます(笑)。

次はバンド解体だ

──今作は、全曲プログラミング、打ち込みで制作されています。これはアルバム資料にも書かれているとおり、レンジ史上初の試みですよね。

そうですね。今までもアルバムの中の2~3曲とかって単位ではあったんですけど、アルバム1枚通して全編打ち込みっていうのは初めてですね。

──なぜこういう形に?

ライブ写真

えっと、2010年10月に「orcd」を出したあと、全国ツアーをやって、僕が感じたことがあって。すごくバンドくさかったんですよ、ライブが。セットリストが若干生っぽい曲が中心だったっていうのも理由だったんですけど、僕らの中で“バンドっぽさ”っていうのが、ツアーが終了した段階でまとまった感じだったんですよ。ちゃんとバンドをやってる人たちから見たらまだまだかもしれないけど。そこから、じゃあ次はバンド解体だ、その“バンドっぽさ”を一回リセットしようって。今回は特に直に体感したから。すごくなんか、ロックっぽい……みたいな。

──ORANGE RANGEのライブにあるお客さんとの一体感やアガっていく感じは、ほかのロックバンド同様にすごいものだと思うんですけど、それにも増して「orcd」のツアーは肉体的だったってことですかね?

うん、すごく男っぽかったっていうのかな。なんかガシガシしてたんですよ(笑)。みんなで一体感を感じるというよりは、演奏しながら「オルァー!」って叫ぶ、みたいな。

僕の作り方は99%メロディ先行

──曲を全部プログラミングで作るというのは、NAOTOさんの制作方法としては非常にナチュラルというか、抵抗があるものじゃないですよね?

うん、普通です。普段みんなにデモを渡すときも、こんな感じなので。

──全編打ち込みのアルバムという初めての試みをするにあたり、何か変わったことはしました?

うーん、作り方は基本的には今までと一緒ですね。レコーダーに鼻歌を録音するところから始まって、メロディが出来上がったらピアノでそのメロディを弾きながらコードをつけて、あとからビートをつけていくっていう方法。僕の作り方は99%メロディ先行ですね。昔っから。原曲はピアノ弾きながら「ニャーニャーニャーニャー」って歌ってるだけだったりするし(笑)。

──NAOTOさんが仲良くされているアーティストは、バンドの人もさることながらテクノ界隈の方も多いから、制作方法もそっちに近いのかなと思ってました。

ねえ。僕、電気グルーヴが好きなところから始まってるから、そういうのでもおかしくないんですけどね。小さい頃からピアノをやってたからかな。ただ、曲のとっかかりはピアノでも、そこから4つ打ちにしたいなとか、ストリングス入れたいなとかって思いついて、原型がなくなることもありますし、ビートが入ればメロディのラインが変わることもありますし。そこは、制作が進んでいく中でいいと思える方向にどんどん変えていくんです。

ニューアルバム「NEO POP STANDARD」 / 2012年4月11日発売 / SUPER ECHO LABEL

  • 初回限定盤[CD+DVD] 3360円(税込) / VIZL-473 / Amazon.co.jp
  • 通常盤[CD] 3045円(税込) / VICL-63860 / Amazon.co.jp
CD収録曲
  1. Restart
  2. Subway
  3. Soul to Soul
  4. Hello Sunshine Hello Future
  5. Warning!!
  6. Lion
  7. Dry Hard
  8. Morning View
  9. Deep Blue Sea Flower
  10. Baby Baby
  11. Backpack
  12. Magical Mystery Hunter
  13. Anniversary Song ~10th~
DVD収録内容
  • Hello Sunshine Hello Future
  • Anniversary Song ~10th~
  • オレンジレンジ10周年緊急記者会見
  • -Bonus Movie- How to dance「Anniversary Song ~10th~」
  • -Bonus Movie- Making of「Anniversary Song ~10th~」

ORANGE RANGE

ORANGE RANGE(おれんじれんじ)

沖縄出身・在住の5人組バンド。中学の卒業パーティをきっかけに結成。2001年に現在のメンバーが揃い、地元・沖縄にある米軍のライブハウスを中心に活動を続ける。2002年2月にアルバム「オレンジボール」をインディーズから発表。以後、沖縄以外でのライブも頻繁に行うようになり、2003年6月にシングル「キリキリマイ」でメジャーデビューを果たす。続く2ndシングル「上海ハニー」がオリコンウィークリーチャート5位を記録。その後も「ロコローション」「花」「ラヴ・パレード」「キズナ」など、数々のナンバーワンヒットを飛ばす。2010年7月に自主レーベル「SUPER ECHO LABEL」を設立し、10月にアルバム「orcd」をリリース。2012年2月にはSPEEDSTAR RECORDSと提携を開始し、4月にニューアルバム「NEO POP STANDARD」を発表した。