音楽ナタリー PowerPush - 鬼束ちひろ
バンドで生み出す雑食サウンド
自分を俯瞰で見てる自分がいる
──今回、弾き語りの映像をYouTubeで公開していますよね、一発録りの。
うん。
──実はここ最近のライブで、声がかすれたりする場面があったので「鬼束さん調子悪いのかな」と感じていたんです。なのに、この映像では声もばっちり出ていて、これはもう完全復活だなって。
あ、それ太ってたからですよ。
──確かにずいぶん痩せましたよね。
痩せたら身体に共鳴するんだなって思いました。
──体重や体調をコントロールするのは難しいですか?
難しいです。私、気まぐれだし、日常生活のストレスもあるし。悪い意味で無駄に正直だから、社会に適応できないし(笑)。だから歌を歌ってるんですけど。
──でも映画観て引きこもってるぶんには、ストレスも少ないのでは?
引きこもってるんですけど、感受性だけはビンビンだから、ゴロゴロしててもなんかいろいろ入ってくるんですよね。日々喜怒哀楽してます。
──なるほど。躁鬱が激しい面もある?
そんな病的な感じでもないんですけど……。まあでも鬱っぽいときもありますね。落ちたり上がったりしてる自分を俯瞰で見てる自分がずっといるんです。
──その俯瞰の自分は常にいるんですか?
ううん、昔は全然違った。俯瞰してる自分とかいなくて、1人で爆走してた時代もあったから。まあ今でもやらかしたりするんすけどね(笑)。
──多少は大人になったっていうことですかね。
いやあ? そしたらもうちょっと社会に適応できてますよね(笑)。
楽曲提供は血縁者だけ
──でも鬼束さんは社会に適応して平凡に暮らすよりも、自分の感受性を研ぎ澄まして歌にしていくことを選んだわけですよね。
うん、社会に適応するのは、そういうのが得意な人に任せておけばいいんです。
──今後も歌に専念していくと。
そうですね。それに私、ほかの人に曲とかあげたこともないからね。
──ああ、そういえばそうですね。
血縁者にならいいけど。
──あはは(笑)。
妹になら書き下ろします。かわいいからね。
──でもたくさん曲ができるなら、誰かに提供して歌ってもらうのもいいんじゃないですか?
うーん、私の場合めちゃくちゃ自分の色が出てるから、ほかの人だと歌いこなせないだろうし。そうするとその人もその曲も、おかしなことになっちゃうんですよ、たぶん。
──じゃあ妹さんの歌手デビューを待つしかないということですかね(笑)。
いや、たぶん歌手に興味ないと思います。
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- 鬼束ちひろ & BILLYS SANDWITCHES ニューアルバム「TRICKY SISTERS MAGIC BURGER」 / 2014年9月24日発売 / Gambit Records
- 初回限定盤 [CD+写真集] / 3780円 / XQMN-91001
- 通常盤 [CD] / 2700円 / XQMN-1001
収録曲
- BILLYS SANDWITCHESのテーマ
- ROAD OF HONESTY
- レディー・タイム・マシン・ブルース
- Dreamer Sonic
- I'm with your shadow
- Your Quiet Fantasia
- MAD MAN
- PSYCHO LADY'S RAIN
- 祈りが言葉に変わる頃(NAIL SCRATCH VERSION)
- あなたとSciencE
- The Way To Your Heartbeat
- The end of the flame of my eyes(※鬼束ちひろピアノ弾き語り)
鬼束ちひろ(オニツカチヒロ)
1980年生まれ、宮崎県出身のシンガーソングライター。2000年2月にデビューし、2ndシングル「月光」がテレビドラマ「TRICK」の主題歌に採用されて大ヒットを記録。翌2001年リリースの1stアルバム「インソムニア」がミリオンセラーとなり、一躍トップアーティストの仲間入りを果たす。2011年4月に自伝的エッセイ「月の破片」、6thアルバム「剣と楓」を発表し、2012年5月には洋楽カバーを中心としたアルバム「FAMOUS MICROPHONE」をリリースした。2014年9月には自身が率いるバンド「鬼束ちひろ & BILLYS SANDWITCHES」名義で、アルバム「TRICKY SISTERS MAGIC BURGER」をリリース。自由な発言と奔放なキャラクターでも人気を集めている。