≠ME「モブノデレラ / 神様の言うとーり!」インタビュー|対照的な2曲で示す表現力の進化

指原莉乃がプロデュースを手がける≠MEが、両A面シングル「モブノデレラ / 神様の言うとーり!」をリリースした。

「モブノデレラ / 神様の言うとーり!」は≠MEにとって記念すべき通算10枚目のシングル。表題曲の1つ「モブノデレラ」のタイトルは≠MEのすべての楽曲の作詞を手がける指原による造語で、「物語の最後に報われるシンデレラとは違い、決して主人公にはなれないその他大勢の役名のない“モブ”として生きている私、そして誰もが持つ孤独感や絶望」を意味する。歌詞には切なく悲しい思いがつづられている。一方の「神様の言うとーり!」はテレビアニメ「甘神さんちの縁結び」2ndクールのエンディングテーマで、さわやかでポップな曲調、キュートな歌詞や振付が特徴だ。

音楽ナタリーではこの対照的な2曲を収録したニューシングルの発売に合わせて尾木波菜、蟹沢萌子、鈴木瞳美、冨田菜々風の4人にインタビュー。それぞれの楽曲の注目ポイントや、ミュージックビデオの見どころを語ってもらった。

取材・文 / 左藤豊撮影 / 上野留加

自画自賛できる、誇れる作品になりました

──≠MEによる楽曲のリリースは、昨年8月発売の9thシングル「夏が来たから」以来となります。

蟹沢萌子 はい。約8カ月ぶりのシングルリリースになります。こうしてリリースさせていただけることに感謝の気持ちでいっぱいです。

尾木波菜 今「約8カ月ぶり」と聞いて、「もうそんなに経ったんだ!?」と思いました。その間はツアーやコンサートなどがありファンの方と会える機会もたくさんあったので、間隔が空いた感じはありません。充実した活動ができていた証拠かなと思うと、それもまたうれしいです。

尾木波菜

尾木波菜

──1月には「神様の言うとーり!(TVサイズ)」が先行配信されましたし、確かに活動が空いた印象はありませんね。新曲のうち、まずは「モブノデレラ」からお話を伺えればと思います。この曲は主人公にはなれない“その他大勢(モブ)”側の気持ちを歌った、切なく悲しいミディアムバラードになっています。

冨田菜々風 シングル表題曲としてミディアムバラードをリリースするのはこれが初めてです。≠MEがこの6年間で培ってきた表現力をお届けできたらいいなと思っています。

蟹沢 「夏が来たから」が駆け抜けるような夏の青春ソングだったので、メンバーみんな「次はいったいどういう楽曲になるんだろう?」と思っていました。「モブノデレラ」の楽曲をいただいて、≠MEにとって新たな挑戦になると感じています。

尾木 ≠MEの成長をお見せできる楽曲になったと思っています。自分で言うのはおこがましいかもしれないのですが、自画自賛できる、誇れる作品になりました。レコーディングやミュージックビデオ撮影でのメンバーのダンスや表情を見て表現力の成長を感じたので、新しい≠MEを楽しんでいただけるはずです。

鈴木瞳美 私はバラード曲を歌いたかったので、曲を聴いたときは素直にうれしかったです。きっと結成7年目の私たちだからこそいただけた楽曲なんだろうなと思ってます。楽曲はもちろん、衣装や振付なども含めて全部が素敵です! 本当に大好きな作品です。「モブノデレラ」というタイトルも、一度聞いたら忘れられないようなインパクトのあるフレーズだと思いました。

悲しみだけじゃない、強い女性の気持ち

──「モブノデレラ」は孤独や絶望がテーマになっています。歌詞をどう読み込んで解釈し、どのような世界観の表現を意識しましたか?

冨田 歌詞にストーリー性があり、とても心に響きました。それをどう表現に落とし込むかが今回の課題で、その点ではダンスの存在が大きかったなと思います。

冨田菜々風

冨田菜々風

蟹沢 楽曲の世界観にぴったりな、とても繊細な振付を作っていただきました。振りが入ったことで、メンバーみんなの楽曲に対する解像度が上がったんじゃないかと思います。キラキラと輝いているようなプリンセスにただ憧れるだけでなく、モブ側の絶望といった心情の表現に挑んで、≠MEのパフォーマンスの幅を広げることができました。

尾木 「モブノデレラ」は人によって解釈がまったく異なる曲だと思います。これはあくまで私の解釈なのですが、「1つの恋に溺れる必要はない」というプラスのメッセージとして受け止めました。悲しみだけではなく、強い女性の気持ちも込められているのかなと思っています。

鈴木 尾木ちゃんと同じで、悲しい言葉の中にある強い気持ちを私も感じ取ったので、その部分の表現を特に意識しています。大変だったのは、MVでの王子に選ばれたシンデレラに嫉妬するシーンの撮影。そういうシチュエーションを撮影した経験がなかったので、カメラを前にして「嫉妬ってどんな表情をしたらいいんだろう?」と考え込んでしまいました。難しかったですし、アイドルとして経験していないことがまだまだたくさんあるんだな、と改めて気付きました。

──カメラに向かって笑顔を見せる経験はたくさんあっても、嫉妬の表情で撮影する機会はなかなかないですよね。

蟹沢 そうですね。≠MEは幸せあふれるような表情、表現をすることが多いです。ちなみにMVではシンデレラの青いドレスを着て、「もしも私がシンデレラになれていたら」という世界線のシーンも撮影しました。幸せそうな表情と嫉妬の表情の対比にも注目していただけたらと思います。

蟹沢萌子

蟹沢萌子

鈴木 日常でシンデレラになれることはないので、シンデレラのドレスでの撮影はとてもうれしかったです!

蟹沢 今回の撮影のためにガラスの靴も特注で作っていただきました。

尾木 すごくきれいな靴だったね!

冨田 あと、シンデレラ役の方が本当にかわいかったです! あまりにもかわいくて、にやけそうになっちゃいました。「嫉妬の表情を撮る」と言われたときに「本当にかわいいから敵わない」と内心思っていました。

──先ほど鈴木さんがお気に入りポイントの1つとして挙げていた衣装も素敵です。歌詞にも出てくる「グレー」が基調になっているんですよね。

鈴木 はい。グレーと言ってもすごく華やかで、お姫様のようなかわいい衣装を作っていただきました。「チョコレートメランコリー」(2022年2月発売の3rdシングル)もそうでしたが、かわいい衣装とは対照的な楽曲の組み合わせが大好きです! 今回はスカートが大きく揺れる振付になっているので、踊っていて楽しさも感じられる衣装です。

鈴木瞳美

鈴木瞳美

尾木 わかる! この衣装で踊るからこそ、さらに楽曲がカッコよく、かわいくなると思います。ファンの皆さんにも気に入ってもらえるはずです!

冨田 メンバーそれぞれに似合う、世界で1つだけの衣装を作っていただきました。

鈴木 ビジューやイヤリングもそれぞれ違いますし、私の衣装は手袋などいろいろな小物も用意していただきました。

蟹沢 細かい部分まで作り込んでくださった素敵な衣装なので、できることならぜひ近い距離で見てもらいたいです! 意外と重みもあるんです。着ると「これは宝物のような重みだ!」と感じます。これから大事に着させていただきたいと思います。