≠MEの6thシングル「天使は何処へ」がリリースされた。
青春感あふれる楽曲とパフォーマンスが持ち味の≠MEだが、今作の表題曲「天使は何処へ」はガールクラッシュ感あふれるダンスナンバー。「私は私」と相手に媚びずに自身の個性を力強く主張する歌詞、そして≠ME史上最高難度のダンスが見どころの1曲だ。
今回の特集ではメンバーのうち、鈴木瞳美、谷崎早耶、冨田菜々風、本田珠由記の4人にインタビュー。先日行われた「≠ME全国ツアー2023『We shout "I am me."』」ファイナル公演にて東京・日本武道館での2DAYSコンサートの開催が発表されるなど、「天使は何処へ」の歌詞のように力強く前進する彼女たちに、今作の注目ポイントであるダンスブレイクを振り入れしたときのエピソードや、活動開始からの4年間におけるメンバーの変化などを語ってもらった。
さらに特集の後半には、このシングルのカップリング曲の1つ「今日も君の夢を見たんだ」を歌唱する姉妹グループ≒JOYより、天野香乃愛、市原愛弓、村山結香、山野愛月の手書きメッセージも掲載する。
取材・文 / 近藤隼人撮影 / 上野留加
鈴木瞳美、谷崎早耶、冨田菜々風、本田珠由記インタビュー
青春を感じられた新曲のレッスン期間
──6thシングルの表題曲「天使は何処へ」は、≠MEのガールクラッシュな一面を味わえるナンバーです。これまでも2020年発表の「P.I.C.」のようにクールな方向に寄せた楽曲はありましたが、今回また新たな一面を見せている印象です。「天使は何処へ」を最初に聴いたとき、どんな印象を抱きましたか?
冨田菜々風 かなり攻めているなと思いました! カッコいい方向に振り切っていますし、今までの≠MEになかった要素も感じられて「これは楽しみだぞ!」と期待が膨らみました。
鈴木瞳美 毎回、仮音源と自分たちの実際に声が入った音源の印象がかなり違うので、「メンバーの声が入るとどんな感じになるんだろう」とワクワクしました。
本田珠由記 イントロが始まった瞬間、曲の世界観が一気に伝わってきて、私もすごくワクワクしました!
谷崎早耶 私は最初に聴いたとき、「絶対ダンスが難しいんだろうな」と思いました(笑)。実際、その予感の通りでした。
──レッスンは大変だったと思いますが、こういうダンスナンバーに挑戦してみたいという思いは以前からありました?
冨田 せーので手を挙げてみる? せーの……。
鈴木・谷崎・冨田・本田 (手を挙げながら)はい!
鈴木 前からカッコいい曲を歌いたいとは言っていたんですけど、まさかシングルの表題曲になるとは思ってなかったので、正直びっくりしました。≠MEはいろいろな系統の曲がありつつも、表題曲は青春感がある楽曲が多かったので。
──今回の振付は≠ME史上最高難度だそうですが、振り入れはいかがでしたか?
谷崎 「天使は何処へ」の振付を1カ月間、猛練習したんです。初めての練習方法も取り入れながらダンスの先生に指導していただきました。例えば、メンバーが半分ずつに分かれてお互いにダンスを見せ合って、いいと感じたところを伝えたり、「ここはもっと伸びるんじゃない?」と言い合ったり。最後のレッスンでは、ほかのメンバーの前で、1人ずつ「天使は何処へ」を1曲すべて踊ったんですよ。普段、メンバーの前でパフォーマンスすることがないので、すごく緊張しました(笑)。しかも、踊る順番があみだくじで、私がトップバッターだったんです!
──それは余計に緊張しますね(笑)。
冨田 でも、トップバッターのほうがある意味よかったよね(笑)。自分の番が早く終わるから。
谷崎 みんなが「次、私だ……!」ってドキドキしてる様子が伝わってきました(笑)。でも、全員カッコよくて素敵でした。
鈴木 メンバーが半分ずつに分かれてパフォーマンスするというのは、デビュー前の基礎レッスンでも経験したんですけど、ほかのメンバーの前で1人ずつ披露する練習方法は、いつかの歌唱レッスン以来で、ダンスレッスンでは初めてでした。今回、振り入れを本当にみっちりしたので、「もしかして最後のレッスンで1人ずつ踊ったりするのかも……」って予想はしていたんですよ。最後のレッスンが始まっていきなり「今日は1人ずつ踊りましょう」と先生から言われたときは「どうしよう!」と焦りましたが、結果、みんなが自信に満ちあふれたダンスを見せられたのは、それまでたくさん練習したからだと思いました。
──ちなみに、谷崎さん以外の3人は何番目に踊ったんですか?
本田 私は3番目でした。
冨田 何番目か覚えてないんですけど、最後のほうでした。
鈴木 私も。最後はなっちゃん(河口夏音)だったのを覚えてます。私はドキドキして待つのが嫌なタイプで、最初がよかったから「さややん(谷崎)いいなあ」と思ってました(笑)。
冨田 自分の番を待っている間、気が気じゃなかったですね(笑)。先生が「最初の振り入れのときと比べたら、みんな人が違うくらいに変わった」と言ってくださったのがすごくうれしかったです。先生は場を盛り上げつつも、やるところはしっかりやるというスタイルの指導方法だったので、楽しみながら振りを極めることができました。「天使は何処へ」は青春の曲ではないんですけど、この曲の練習期間はすごく青春を感じて、みんなキラキラしていました。
ダンスも身に付いたし、体の可動域が広がった
本田 私は≠MEのメンバーに入って初めてダンスを踊るようになったので、今回のような激しいダンスを経験したことがなかったんです。だから、自分の中に大きな壁がたくさんありました。私は肩が本当に硬くて、その影響で踊るときに体の動きが小さくなっちゃうんですよね。そのことをダンスの先生に指摘いただいてから、毎日肩のストレッチをして、肩を意識して踊っていたら、なんと肩こりがなくなったんです……! そして肩こりが治ったのと同時に、「天使は何処へ」が踊りやすくなりました。
──もともと肩こりに悩まされていたんですか?
本田 はい。整体院に行ったら、「これは19歳の肩じゃない」とびっくりされました。それが今はすごく肩が軽いんです。
鈴木 実は私も肩の動きに課題があって、今回の振り入れのときに先生から指摘されたんです。今まで知らなかった自分の弱点というか。私も体が硬いんですけど、それでも今までは振付を踊れていたんですよ。でも今回の楽曲に関しては柔軟性がとても大事で、私もみるてん(本田)と同じように毎回のレッスンでストレッチをしています。私も肩こりを治したいですね。
──本田さんはどういうストレッチで肩こりを解消できたんですか?
本田 ダンスの先生が教えてくださったんですけど、両腕を後ろで組んで上に上げるストレッチです。肩を動かすというより、肩甲骨を動かすイメージですね。それによって全身を使ったダンスができるようになりました。
冨田 今回のダンスで体の可動域が広がったよね。
本田 ダンスも身に付いたし、肩こりも治ったし、一石二鳥です!(笑)
踊りながら鳥肌が立つ
──間奏のダンスブレイクも見どころのひとつになっていますが、この部分の振り入れはいかがでしたか?
鈴木 今までの振付はどちらかと言うと、メンバーみんなの動きをそろえることを中心にレッスンをしていたんですけど、今回はそろえることに加えて、それぞれの表現力を最大化することが練習の目的だったんです。手の動かし方、カウントの取り方、体の角度など……。でも個々の表現力が大きく出すぎると動きがそろわなくなっちゃうし、それを考えながら1人ひとりが生き生きとした表現をするのが難しかったです。私は髪の毛が長いので、頭を振り上げるときに髪の毛がどうしても邪魔になるんですよ。レッスンの様子を撮影した動画を観てちょっとずつ修正したり、ダンスが上手な(落合)希来里に「ここがうまくいかないんだけど……」と相談したりして、1つずつ課題を解決していきました。みんなで助け合いながら作り上げたダンスですね。
──落合さんは以前から、ほかのメンバーのダンスの悩み相談に乗ることが多いんですか?
鈴木 そうですね。親身になって、1つひとつ丁寧に教えてくれるんです。今回は特にたくさん助けてもらったので、私にとっては希来里がいてこそのダンスブレイクです。
冨田 あと、「天使は何処へ」のダンスブレイクはフォーメーションの移動がすごく速いことも特徴です。メンバー同士でぶつかっちゃたり、なかなかうまくいかずに何度も何度も練習して。やり込んでいく中で、あるときピタッとハマるタイミングがあったんですよ。それ以降はホントにスムーズで、何度踊っても気持ちがいいというか、踊りながら鳥肌が立つくらい「そろってる!」という感覚がありました。メンバーみんな楽しみながら踊っているので、パフォーマンスを観てくださるファンの方にも楽しい気持ちになってほしいです。
鈴木 踊るとき、毎回気合いが入るよね。
谷崎 私はダンスブレイクのときの立ち位置がなっちゃんの隣で。動きのタイミングや角度を細かく一緒に合わせたのが印象に残ってます。なっちゃんも手足が長くてダンスが上手なんです。
──落合さんや河口さん以外に、「天使は何処へ」の振り入れで刺激を受けたメンバーはいますか?
鈴木 私は菜々風から刺激を受けました。さっきお話しした通り、私はすごく体が硬いんですけど、菜々風は柔らかいよね?
冨田 どうなんだろう(笑)。
鈴木 (笑)。柔らかいし、可動域が広いんです。目を奪われるというか。体幹もすごいのかな? 止めるところはしっかり止めるし、手を上げるところは上げた先にまで届いてるようなイメージ。私はそういう大きなダンスを踊ることを目標のひとつにしているので、いつも「あんなふうに踊れるのはすごいなあ」と思いながらじっくり見ています。
冨田 実際、伸ばした手の1つ先を意識して踊ってます。でもそれはある意味、課題でもあるなと思っていて。ファンの方からも「踊りがダイナミックだね」と言っていただけるんですけど、やりすぎちゃうところもあるんですよ。大きく踊りすぎちゃったり、「ここでこう踊る!」という意識が表に出すぎちゃったり。今までいい力の抜き方を見つけられなかったんですけど、「天使は何処へ」のレッスンを通して発見できました。1つ上のステージに行けた感覚です。
──では、そんな冨田さんから見て「この子すごいな」と感じるメンバーは?
冨田 菅波美玲ちゃんです! 本当に成長がすごくて、振りを覚えるスピードがとんでもなく早いし、しかも踊りが的確になっているんです。レベルアップしている姿を見て「私もさらに先にいきたい」と思います。
鈴木 ずっと成長してるよね。成長が止まらない。昔のレッスン動画を見返すことがあるんですけど、みんなシングルのリリースを重ねるたびにどんどん成長していって。そして今回の楽曲で表現力が高くなったことを実感しているんですけど、中でも美玲は丁寧でしなやかで、踊りがきれいなんです。
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