平均年齢18歳 No.MEN 1stアルバム「BAA, AS THE SHADOWS LOOM」インタビュー (3/3)

孤独であることを受容する境地に至った

──初の楽曲「Setelan」は作詞をUriさん、作曲・編曲をCoconaさんが手がけていましたが、それ以降のほとんどの楽曲は作詞・作曲・編曲をCoconaさんが1人で行っていますよね。この変化については?

Cocona 最初はUriに作詞を頼んでいたんですけど、やっぱり自分の思いが乗っていないと、ライブで何を伝えたいのかわからなくなっちゃうような気がします。そう気付いてから、歌詞も自分で書くようになりました。日々考えていることをメモして、それをもとに歌詞を書いているので、基本的に自分が思っていることしか歌っていないですね。

──「孤独」と「赦し」が歌詞のテーマになっているように感じました。Coconaさんは、どんなときに孤独を感じますか?

Cocona 人って基本、孤独だなと思っていて。一緒にいても、見えている世界は違う。言葉にしても伝わらないことがあると、孤独を強く感じたりします。でも、孤独であることをネガティブに捉えなくてもいいというか。人って、孤独に気付いている人と、気付かずになんとなく埋めている人に分けられると思うんです。私はここ2年くらいで、孤独であることを受容できるようになったんですよね。

Cocona(G, Vo)

Cocona(G, Vo)

自分を赦して、自由でいい

──何がCoconaさんを変えたのでしょうか?

Cocona 音楽と信仰です。まず、音楽で気持ちを消化できるようになったことで、自分を愛せるようになった。曲を書くには自分と向き合わなくちゃいけなくて、そのためには孤独が絶対に必要だけど、その過程で「孤独ってそんなに怖いものではないのかも」と気付きました。そこから改めて自分のルーツに向き合ったとき……高校生の頃は、父が牧師だということが恥ずかしかったんですよ。だけど今改めて信仰に立ち返ったら、「ああ、自分は偶然とかじゃなくて、愛されるべき存在として作られたんだ」と思えた。さらに「じゃあ自分を赦していいし、なんでも自由にやっていいんだな」という気持ちになって、それを歌詞で伝えたいという気持ちも湧いてきたんです。特に「surrender」には、そういう気持ちがすごく表れていると思うんですけど。

──そうですね。「かつては 僕も赦されたから 同じようにまた 赦したい」と歌っています。

Cocona 自分の信じているものが明確になったことで、聴いてくれている人に安心して言葉をかけられるようになりました。あと、自分の作った音楽が評価されて、自信を持てるようになったのも大きいと思います。私も含めて、人ってみんな弱い。誰も完璧じゃないけど、孤独な人同士でも助け合えるし、それぞれ考え方が違うからこそ、関わる中で新しく得られるものもあるんじゃないかと思うんです。だからみんなにも、自分の弱さを赦しながら、自分を認めて生きていってほしいんです。それは自分の人生を振り返って思うことでもあるし、今の世の中を見て思うことでもあります。周りを見ていると、孤独や寂しさを目の前の楽しいことで埋めて、やり過ごしている人も少なくないというか。本当に、愛の足りない世の中だなと感じます。

──「surrender」では、「光よあれ」という「創世記」に登場する言葉を引用していますよね。そして「黙示録」は、「ヨハネの黙示録」を連想させる。こういったモチーフ選びに、Coconaさんが今の世の中をどう捉えているのかが表れているように感じました。

Cocona そうですね。「世界はどんどんよくなっていく」と素直に思えないからこそ、「黙示録」のような曲が生まれたんだと思います。世界が今、どんどん変わっているなと感じるんですよ。自分が生まれたときにはなかったものが当たり前に存在している。例えばコロナのときも、最初1人が発症したというニュースを「へえ」と思いながら見ていたけど、数カ月後には大変なことになっていましたよね。それくらいのスピードで、世界も常識もどんどん変わっていく。しかも本当か嘘かわからないニュースもたくさん流れているから、ずっと何が正解なのかわからない……きっと大人でもわからないと思うんです。世界が混沌としているのを肌で感じている。「なんとなく生きていたら流されちゃう」という怖さもある。だからこそ、「1人ひとりがもっとちゃんと、芯を持ったほうがいいんじゃないか」とか「“自分はこれを信じて生きていくんだ”というものをちゃんと持って、物事を見極めたり、取捨選択して生きていかないといけないよね」ということを、自戒も込めて書いていますね。

左からUri(B)、Cocona(G, Vo)。

左からUri(B)、Cocona(G, Vo)。

生きている人全員に届けたい!

──Coconaさんの思想や信念が反映された歌詞を、ともに活動するUriさんはどのように受け止めていますか?

Uri 私はクリスチャンじゃないけど、Coconaの歌詞にめっちゃ励まされているし、影響を受けています。特に「Hug」の「信じると道になる」という歌詞にはすごく共感します。私は流されやすいタイプの人間だけど、Coconaの才能やメンバーのことを信じると決めてから、人生がどんどん楽しくなっていったんです。

Cocona クリスチャンでもそうじゃなくても、悩むことってだいたい同じだと思うんですよ。みんな悩んでいて、私も同じようなことで悩んでいる。その悩みを正直に書けるのは、自分の中に信じているものがあるからだろうし、きっと誰にでも共感できる歌詞になっているんじゃないかと思います。

Uri 信じるものに身を捧げると道が見えてくるというのは、どの分野にも言えることだと思います。自分の芯や「ここは絶対譲れない」というものを持つことは、今の社会に必要なことなんじゃないかと。私自身、No.MENの音楽に励まされ続けているし、一番のファンとしてもっと広く伝えていきたいですね。

──今後、どのような人にNo.MENの音楽を届けたいですか?

Uri 生きてる人全員! 本当にそうじゃない?

Cocona そうだね。私たちの音楽は、親世代からは「懐かしいね」と言ってもらえるけど、若い世代には新鮮に感じるみたいです。いろいろな世代の人に……あと、いろいろな国の人にも受け入れてもらえたらうれしいです。

Uri 一丁前にいろいろしゃべりましたけど、結局私たちは、自分たちのやりたいことをやってるだけというか。「誰かを励まそう」みたいな気持ちで曲を書いてるわけでもないし。

Cocona うん。まったくない。

Uri ただ「ああ、自分の気持ちを昇華できてよかった……」っていう、本当にそれだけだから(笑)。聴いている人に何かを強制しない。考察とかしてくれてもいいけど、逆に歌詞にまったく耳を向けなくてもいいし。ライブで「手を挙げてノッてほしい」ともまったく思いません。それぞれが自由に、No.MENの音楽を楽しんでほしいなって。

Uri(B)

Uri(B)

Cocona それが音楽のよさだと思います。どんな人でも、楽しんでいただけたらうれしいです。

──このバンドで叶えたい夢はありますか?

Cocona 私は、お笑い芸人と対バンとかしたいですね。私たち、お笑いがめちゃくちゃ好きなんですよ。明日もM-1のツアー(「M-1グランプリ2025 スペシャルツアー」)を観るために三重まで行くんです。

Uri 特に、ヨネダ2000が好きで。私たちの演奏をバックに、ヨネダ2000にネタをやってほしいな(笑)。

Cocona やっぱり面白いことがしたいし、その衝動だけで動いている節もあります(笑)。あとはもちろん、大きなステージでライブがしたいし、日本のフェスにも出たいし、海外のフェスにも出たいし……。

Uri ライブはまだ基本名古屋で、東京にもちょっと行くことがあるってくらいなので。No.MENの音楽を聴いたみんながどんな反応をするのか、まだ知らないから、どんな感じなのかなって想像しちゃいますね。

Cocona いろいろな人に届けたい!

左からUri(B)、Cocona(G, Vo)。

左からUri(B)、Cocona(G, Vo)。

公演情報

No.MEN Tour 2026「Brand New Day」

  • 2026年5月5日(火・祝)大阪府 OSAKA RUIDO
  • 2026年6月14日(日)東京都 渋谷TAKE OFF 7
  • 2026年7月5日(日)愛知県 ell.SIZE

プロフィール

No.MEN(ノーメン)

愛知県名古屋市発、平均年齢18歳の4人組ガールズバンド。メンバーはCocona(G, Vo)、Uri(B)、Rima(Key)、Nina(Dr)。2022年にCoconaとUriが高校の軽音楽部で出会い、結成された。ゴスペルやファンクといったブラックミュージックをルーツに持ちつつ、遊び心と独自のセンスを融合させ、活動している。2026年3月18日に1stアルバム「BAA, AS THE SHADOWS LOOM」をリリース。5月からは「Brand New Day」と題した東名阪ツアーを開催する。