平均年齢18歳 No.MEN 1stアルバム「BAA, AS THE SHADOWS LOOM」インタビュー (2/3)

Coconaちゃんは「てんかわ」だよね

──一晩で書き上げた1曲に、Coconaさん自身の環境も人生も全部乗っかっていた。そしてそれをバンドメンバーがちゃんと理解している。なかなかないことだと思います。

Cocona 今思えば、ほかのアーティストの曲を聴きながら、無意識に「カッコいいけど、もうちょっとこうだったらいいのに」と考え続けていた気がしています。ずっと考えていたことをやっと「Setelan」で出せたという感覚だったのかも。バンドを始めるタイミングで、「自分はバンドで何がしたいのか」と改めて考えたんですよ。そのときに今話したようなこと……私の憧れの人が大きなムーブメントを作ったように、自分も今の若者に「ゴスペルって実はカッコいいんだよ」と伝えたい、という気持ちが明確になった。そうすると、やるべきことが見えてくるんですよね。「英語だと伝わりづらいから、歌詞は日本語のほうがいいかな」とか。

Uri 本当にCoconaちゃんは“てんかわ”だよね。日々一緒にいると、つくづくそう思う。

左からCocona(G, Vo)、Uri(B)。

左からCocona(G, Vo)、Uri(B)。

──てんかわ?

Uri “天才”と“かわいい”で、てんかわ。LINEの名前もてんかわにしてるんですよ。

Cocona (笑)。でも最近ちょっと気に食わないことがあるんです。曲を送ったとき、今まではいろいろな言葉で褒めてくれていたのに、最近は「てんかわだね」のひと言で済ませられるんですよ。もうちょっと、いろいろな言葉で褒めてほしい……。

Uri ヤバい! 天才が身近にいることに慣れてきちゃっているのかもしれない!

14歳ドラマーNinaはCoconaの妹

──「Setelan」が完成したことで、バンドの活動が本格化していったんでしょうか?

Uri そうですね。「じゃあミュージックビデオを撮ろう」という話になって。カラオケの壁に100均の緑の画用紙を貼って、その前で踊って、あとから合成して……。

Cocona MVを出したことで、ライブのお誘いもいただくようになりました。

Uri ライブに出るには、ドラムとキーボードが必要だなと。軽音部で一緒にバンドを組んでいた人たちは、「本気で音楽をやろう」というよりかは「学祭を楽しみたい」という感じだったから、学校外でのライブには誘えなかったんです。

Cocona まずは一番身近にいるドラマー、私の妹のNinaを誘いました。当時小学5年生だったんですけど、父からドラムを教わっていたので。ライブハウスの人から「お父さんに似たドラムのグルーヴだね」と言ってもらうこともあり、そのグルーヴがNo.MENの個性になっていくといいなと思っています。そのあとに誘ったのが、幼馴染で、私の母からピアノを教わっていたRima。妹と幼馴染と学校で一番仲のいい友達……本当に身内バンドみたいな感じで結成しました。しかもUriちゃんは、私の両親と一緒にツアーを回っていた人にベースのレッスンをしてもらっているんですよ。

Uri スーパー登山部の梶祥太郎さんですね。どんどん売れていっちゃうから、最近は全然レッスンを受けられていないんですけど(笑)。ゴスペル出身だし、No.MENのこともめっちゃ理解してくれているので、相談することも多いです。

Cocona そういうつながりも含めて、本当に身内バンドって感じですね。

左からUri(B)、Cocona(G, Vo)。

左からUri(B)、Cocona(G, Vo)。

なぜかラウドロック、パンク界隈でライブを重ね

──メンバーがそろって、ライブハウスに出演するようになってからはいかがでしたか?

Uri 最初の1年ぐらいは、ずっとラウドロックとかパンク系のバンドの界隈にいて。今からバンドをやろうっていう若者なんて、活きのいいヤツしかいないと思うんですけど(笑)、そういうバンドをやってる人って特に「俺ら、仲間同士がんばって行こうぜ!」というノリで。そのノリの中に、なぜかNo.MENも入れてもらえたんです。

Cocona そこから、みんなでイベントをやろうって話になったり。

Uri 名古屋CLUB QUATTROやDIAMOND HALLのステージにも立たせてもらって、いい経験になりました。だけど、浮いている感覚がずっとあったんですよね。

──音楽性が全然違うという。

Uri ライブの仕方も違うし、そもそも女性が全然いなかったし、初ライブのときはまだライブのやり方も定まってなかったから。だけど周りがラウド系バンドばかりだったから、自分たちも「手挙げろ!」とか言い出して(笑)。

左からUri(B)、Cocona(G, Vo)。

左からUri(B)、Cocona(G, Vo)。

Cocona 手を挙げるような曲じゃないのに(笑)。

Uri でもそこでライブを重ねているうちに、輪が広がって、対バン相手も変わってきました。周りの人たちもさすがに気付いたんでしょうね。「なんでこの子たちはここでライブしてるんだろう? 全然ジャンルが違うのに」って(笑)。いろいろなバンドと対バンする中で、「あっ、こういうライブもしていいんだ」と知っていったというか。

Cocona ライブのスタイルは今も模索中だけど、No.MENオリジナルの色をもっと強く出せるようになりたいと思っています。

変化し続けるNo.MENの今を記録したアルバム

──3月18日、ついに1stアルバム「BAA, AS THE SHADOWS LOOM」がリリースされます。

Uri このアルバムに入っている曲は、もともとライブでやっていた曲ばかりなんですよ。

Cocona 「斜陽」は、できたてホヤホヤのときに「ライブでやりたいな」と思って、歌詞を見ながら歌ったんです。そしたらライブハウスの人に「それはよくないよ」と言われて、反省したんですけど(笑)。

Uri 「斜陽」はそのあと、コード進行を全部変えたよね?

Cocona そう。ライブでやっているうちに変えたくなっちゃうんですよね。やっぱり、よりよくしたいから。ほかにもキーを変えた曲もあるし、「もっとロックに」とアレンジを変えた曲もある。最初のバージョンから変わっている曲ばかりだし、ここからまた変わっていく可能性もあります。

──レコーディングには「記録」という意味もありますけど、まさに現時点の記録というか。

Cocona 本当にそうですね。この半年間、ギターとベースとドラムのスリーピースでライブしてたんですよ。Rimaちゃんが受験勉強で休止していたから。最初は「ライブはやめて制作に集中しよう」という話も上がってたけど……やってよかったよね。

Uri うん。キーボードありきで曲を作っているから、フレーズを変えないといけないし。

Cocona 楽器の数が少なくなって、どこかごまかしながらやっていた部分とも向き合わざるを得なくなってきた。夏には、リズム隊だけで練習してた時期もあったんですよ。

Uri そういう経験を経て、常に進化しているというか。例えば「黙示録」は、私にとってお勉強要素がすごくある曲で。スラップがめっちゃ速いから技術も必要だし、「6/8拍子になるところで深みを出すには、どうしたらいいだろう?」とか、めっちゃ考えながら作っていきました。レコーディング当時も最善を尽くしたけど、正直、今のほうがもっと深みを出せるなと思います。

左からUri(B)、Cocona(G, Vo)。

左からUri(B)、Cocona(G, Vo)。

Cocona どの曲も、ライブを重ねるたびによくなっているなと実感しています。年下の2人は、まだ自分の好きな音楽とかも探っている途中だと思うから、ここからどうフレーズが変化していくのか、うちらも楽しみだね。

Uri 楽しみ。

Cocona No.MENは猛スピードで変化中なので。

Uri 見逃さないでください!

エレクトロニカやシューゲイザーも、柔軟で幅広い音楽性

──アルバムを聴いて、曲調の幅広さに驚かされました。バンドの生身のグルーヴを打ち出している曲がある一方、「GAME」では打ち込みを取り入れていて。

Cocona 「GAME」を作った時期は、Chemical BrothersやFatboy Slim、ハービー・ハンコックあたりをよく聴いてました。学校の課題をやっているときにエレクトロニカを聴くと、すごく集中できるので(笑)。

──そのほかにもファンク、ロック、シューゲイザー、ジャズなど、収録曲からさまざまなエッセンスを感じました。

Cocona 初期は「Setelan」「黙示録」「斜陽」、中期に入って「Unlovable」「Hug」「surrender」……という感じで、この4年間での私の趣味の変化が顕著に表れているなと思います。結果的に、いろいろなジャンルの曲が入ったアルバムになりましたね。

──聴いていて、発想がすごく自由だなと感じました。1曲の中での展開も含めて。例えば「Hug」は、曲の途中でサウンドが大きく変化しますよね。

Cocona メンバーに「このキーで曲を作ってます」とデモを共有したら、Rimaが「じゃあ、このコード進行はどう?」という案をくれたんですよ。でもそのコードが、私の言ったキーとは違ったんです。「じゃあそのキーになるように途中を埋めればいいのか」って半音転調させたら、案外いい感じになった。そこから、メモに残していたけど曲に入れるタイミングをずっと伺っていた「見えるものは 消えても 見えぬものが ここに 永遠に」という歌詞を入れることにしたんです。さらに「この歌詞を入れるなら、どんな音がいいかな?」と考えて、シンセの音が広がっていくような、まさにハグされているようなサウンドにしようと。この曲も徹夜しながら作ったからあまり記憶にないんですけど(笑)、後半の展開が生まれた経緯はそんな感じだったと思います。

──面白いですね。メンバーがもたらした偶然を取り入れつつも、描きたいイメージとの整合性を取っていくというか。

Cocona そうですね。こういう偶然が起こると「音楽って自由なんだ」と思うし、そういうことも楽しみながら作っている自分がいて。今やっと理論とかを学び始めているんですけど、型にはまりすぎず、自由であることを大切にしようと思っています。