Nikoん単独公演「ふたり。」直前インタビュー「“俺”じゃなくて“俺たち”が日本で今一番カッコいい」 (2/2)

Nikoんが「今一番カッコいいバンド」だと言える理由

──東京ファイナル公演のMCでオオスカさんが「Nikoんは今日本で一番カッコいいバンドと言えるだけの自信がついた」とおっしゃっていましたが、具体的にどういう変化を感じたんでしょうか?

オオスカ 世界バンド番付みたいな客観的なものじゃなくて、俺がそう思うってだけなんですけどね。一番デカかったのは、こいつ(オーガキ)が変わったってことで。俺じゃなくて「Nikoんがカッコいい」と思えたのは、そういうことだと思うな。ツアーが始まる前は、“俺の感じ”だけでどこまでやってけんだろうなとか思ってたけど、それが“俺の感じ”だけじゃなくなったっていう。今回こいつにセトリも全部考えてもらっていて。セトリを考えるって、ライブにおいて何をしたいか、何を見せたいのかを考えることじゃないですか。それを人に渡せるようになったし、渡せる人ができた。それは欲しいと思ってもすぐ手に入るものじゃない。それがツアーを通して手に入ったなって感覚はすごくあった。だから「別に俺ら大丈夫じゃね?」ってか、なんなら「今が一番いいんじゃね?」って。

オオスカ(Vo, G)

オオスカ(Vo, G)

──オーガキさんのフロントマンとしての立ち振る舞いに変化があったと。

オオスカ なんか嘘つかなくなったっすよね。自分がどう思ってるか、どう振る舞いたいかをちゃんと素直にステージ上で表現するのって、けっこう大変というか勇気がいる人もいると思う。ペヤングはその勇気がいるタイプの人間だったと思うんですけど、嘘が全部取っ払われた感じはしていて。俺になってほしいわけでもなかったし、こういうボーカルになってほしいみたいな理想もなかったから「探してみ」って言ったけど、自分でちゃんと見つけられてる感じがしたんで、それがすごくよかったですね。

オーガキ 私としては存在しない正解をずっと探している感覚で、いつどこで何が変わっていったのかあんまわからなくて。ただ各地のカッコいいバンドと出会う中で共通して思ったのが「好きなものは好き、嫌なものは嫌」って表に出していいんだってことで、カッコいいバンドであればあるほど、そこがハッキリしているんだなとすごく思った。「何をやりたいか?」という問いだと難しかったんですけど「何をやりたくないか?」を考え出してから成長できたのかなと、なんとなく自分で思っていて。

マナミオーガキ(Vo, B)

マナミオーガキ(Vo, B)

──なるほど。オーガキさんから見てオオスカさんにはどのような変化がありましたか?

オーガキ うーん、独りよがりじゃなくなったかもしれないですね。人に委ねるじゃないけど、意見を取り入れる感じ、開いてる感じになったなって。

オオスカ 人が入る場所を作ったら、その場所がどんどん大きくなっていった感じはあるかな。自分はこうしたいって意見はもちろんあるんですけど、それを最初に言わなくなったかもしれない。

フィジカルの強化と楽曲の理解度の高まり

──歌や演奏もどんどん磨かれていった感覚がありますか? 何か実感している変化があれば教えてください。

オーガキ うーん、ムズいな。なんて言ったらいいかわかんないです。

オオスカ まあ、めちゃめちゃ音デカくなりましたよ。単純に。

オーガキ それはそう。

Nikoん

オオスカ それでこいつの声もデカくなったんじゃないですか?

オーガキ ああ、確かに。声量は勝手にデカくなった。

オオスカ それでいて、ツアー中にライブが13連チャンとかあっても、声が出ないからセトリ変えようみたいなことがなかったんですよね。フィジカルが強くなってきたし、メインを張る人間の歌い方になった感じはすごいするかなあ。自分の歌だけでちゃんと空気を持っていけるし、持っていき続けるための体力がついたんじゃないかな。演奏に関しては、曲についてどう思ってるかをサポート含めて3人で話して、ライブとかリハする中で変わっていく感じがあった。

──楽曲の解像度や理解度が高まったと。

オオスカ 高まったというか……もう飽きたっすね。100何回もやってるから、もういいっすね。もういい。もう嫌だ。曲変えたいと思ってきてる。だからこれから始まるリリースツアーは、1stの曲とか2ndの曲でもそんなにやれてなかった曲も引っ張り出していこうと思っていて。フルパワーの俺ら発表会みたいなツアーになると思う。それでツアーファイナルのワンマンはほぼ全曲やる。

Nikoん

なぜhitomiとツアーを行うのか?

──リリースツアーと並行してhitomiさんとのツーマンツアーも開催されます。

オオスカ レーベルが一緒なんで、楽曲提供をしないかって話がまずあったんですよ。hitomiさんは今年でデビュー30周年だから、そのデビューの年に生まれた人とコラボするのがいいんじゃないかみたいな意図があって、ペヤングがまさにそうだから白羽の矢が立った。ただ、俺は単純に楽曲提供だけして、こういうふうに歌ってくださいってやるのキモいから「どうせならツアーを回るとかしたほうがいい」って話をしたんですよ。「まあ無理だと思いますけどね」と言いつつ。そしたら次の週ぐらいに「ツアーやりましょう」って返事があって。それで一緒に飲んだり、話したりした感想としては、イメージ通りの人というか。メジャーのシーンの中でもわりと戦ってきた側の人だと思っていて、それは話してみても感じたし、違和感がなかった。

オーガキ いい意味でhitomiさんもマインドがバンドマンっぽいなと思ったんで、ツーマンでツアー回るのはしっくりくる形かなとは思います。

オオスカ 提供曲については、奇をてらわず俺らの色を出さなきゃいけないけど、逆に俺らが飛び込めないポップな部分っていうか、俺らだけだと足がすくんじゃうようなポップな部分にも飛び込まないとダメかもなって思って作りました。今回、歴史がある人とやったっていうのがすごくよかったと思っていて。hitomiさんがこれまでどういう曲を歌ってきて、これからどういう曲を歌いたいのかを考えながら作れた感じはあったし、俺らも挑戦したけど、hitomiさんにも「これどうですか?」って挑戦的な感じでぶん投げられたからよかったですね。

野田洋次郎がライブに来てくれた件

──Nikoんはとにかくライブをし続けることでファンを増やしている印象ですが、ツアーの合間に行われた1月の「新春謝罪会見」にはRADWIMPSの野田洋次郎さんが来ていたそうで。

オオスカ あれは俺がDMしたんですよ。もともと俺はRADWIMPSについて、運動部のやつとかが聴いてるイメージがあって毛嫌いしてたんですけど、偶然流れてきた「狭心症」のミュージックビデオがすごくよくて。それから暗い曲だけ集めた自分のプレイリストにRADWIMPSとか野田さんのソロの曲を入れて聴くようになったし、自分が作る曲の参考にもしていたんです。それで「送ってみるだけならタダかな」と思って、そういうエピソードと一緒に自分の音源のリンクを去年の12月くらいに野田さんにDMしてみた。

──それで反応があったんですね。

オオスカ そしたらフォローしてくれて。たぶん聴いてくれたんだと思う。で、1月の「新春謝罪会見」に来てくれたらしいんですけど、俺は会ってないんですよ。ライブが終わってから「野田洋次郎さん来てたっぽいよ」ってスタッフに聞いて知った。挨拶できてないんで、なんとも実感できないんですけど。

──インスタに「炎」の絵文字と一緒に写真を上げるってことはいいライブだったんだろうと。

オオスカ なのかな。燃えてるだけだからわからない(笑)。

お客さんが5人でも2万人でもやることは一緒

──ワンマンライブのチケットの売れ行きはどんな感じですか?

オオスカ 悪いです。めちゃくちゃ悪い。まあ、でもお客さんが5人だろうが別になんとも思わない。100人いようが1000人いようが2万人いようがやることは一緒なんで。逆に集まった人間に対等に話しにいけるかが大事ですよね。例えば、誰かが適当に集めてきた1万人の前でライブして感動できるのかって言われたら、俺たちが集めたわけじゃないから別に感動しないと思うんですよ。多くても少なくても自分たちのために集まってくれた人間と向かい合ってライブをしたい。だから広がっていったらいいけど、そのために俺らが何をするかと言えば、普通に宣伝して日々ライブしていくだけ。ツアーを回った各地で何かがグルグル渦を巻いてる感覚はあるんで、それが東京で集まって爆発してくれりゃいいなと思います。

──ずっとライブしてきた中で、今後の動きは見えてきているんですか?

オオスカ 儲けをどうやって作ろうかって思ってるんですけど、儲からないことしか好きじゃないんで、考えれば考えるほど儲けがなくなっていく感じで……もうあきらめましたね。音楽で儲けるのはあきらめました。好きなことをとにかくやっていくだけ。それこそ47ツアーもそうですけど。リスナーに問題提起し続けたいし、問題提起され続けたい。そういうコミュニケーションを取り続けられるバンドでいられたらいいなって思っている。

──昨年メジャーデビューしてからのNikoんの動きを見てると、すごく自由で本当にやりたいことをやってる印象で。maximum10ってかなり懐が大きいレーベルなのかなと。

オオスカ 俺がポロッと言ったことを面白がって本当にやらせてくれて「え?」みたいな。みんな頭悪いんじゃないかな。まあインディーズでもメジャーでも、どこの世界だって、やりたいことを通すために戦いは必要なんですけど、その戦い甲斐、話し甲斐があるレーベルだと思いますね。俺らもやりながら「何が面白いのかわかんなくなってきた」みたいなことばっかり言ってるんですけど、これからも音楽業界の誰にも刺さらないような企画ばかりやっていくと思います。

Nikoん

公演情報

“fragile Report RELEASE TOUR” FINAL
Nikoん単独公演「ふたり。」

2026年3月21日(土)東京都 Spotify O-EAST

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チケットぴあ

ローソンチケット


hitomiとNikoん / LIVE TOUR 2026(FINAL)

2026年3月18日(水)東京都 LIVE HOUSE FEVER
出演:hitomi(BAND SET)、Nikoん

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プロフィール

Nikoん(ニコン)

オオスカ(G, Vo)とマナミオーガキ(B, Vo)により2023年に結成されたバンド。結成翌年の2024年に音楽フェス「FUJI ROCK FESTIVAL」の登竜門ステージ「ROOKIE A GO-GO」に出演し、同年リリースした1stアルバム「public melodies」は後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)主宰の音楽賞「APPLE VINEGAR -Music Award-」で特別賞を受賞した。2025年9月24日に2ndアルバム「fragile Report」をmaximum10からリリースし、メジャーデビューを果たした。