ナタリー PowerPush - NICO Touches the Walls

キーワードは「全力感」 話題CM曲に込めた決意

2012年はバンドのルーツを紐解く

──3曲目には「ラッパと娘」のカバーが収録されていて。初のカバーでこの曲を選んだ理由は?

光村 NICOっていまいちルーツが見えないバンドだと思うんですよ。曲のタイプも幅広いし、それぞれの雑食な音楽の趣味をそのまま出してるって感じというか。だから2012年は自分たちのルーツを紐解いていこうかなと思って、その中でカバーのアイデアが出てきたんです。で、カバーするんだったら、俺らも日本語で歌ってるし、日本語のカッコいい曲をカバーしたくて。それで、今回は俺が個人的に好きだった笠置シヅ子さんの「ラッパと娘」を選んだわけです。

──かなり渋いセレクトですが。

光村 とにかく俺、昭和歌謡が好きで。大好きなサザン(オールスターズ)の桑田さんのルーツをたどっていく中で、この曲を知ったんです。スキャット部分とか英語っぽいんですけど、全部カタカナで書いてあるところもカッコよくて。俺もわざわざ英語をカタカナで表記したりするし、曲の雰囲気を含めてルーツのひとつなんですよね。ただ渋い昭和歌謡も俺らのフィルターを通すとプログレになっちゃうんですけど(笑)。

──「キューン20 イヤーズ&デイズ」のライブ(※4月26日にLIQUIDROOM ebisuで開催)で初披露したときのお客さんの反応はすごかったですね。圧倒されて呆然としていたというか。アレンジは4人でアイデアを持ち寄る形で?

光村 基本的な軸は俺が持っていったんですけど、スタジオでセッションをしていくうちに対馬くんがいろんなリズムで叩き始めて。そこから、あれもカッコいい、これもカッコいいってそれぞれ言い出して。全部の意見を詰め込んだらすごいことに。

坂倉 自分たちの思いに任せたらこうなったみたいな感じなんですよね。もうメロディ以外は原型をとどめてない(笑)。

──自分たちなりの工夫点を挙げるとすると?

古村 終盤でリズムパターンが変わる瞬間があって、シャッフルって言うのかな。そこは演奏してて特にすごく気持ちいいですね。曲が変化していくのを感じられるのは聴いている人も面白いんじゃないかな。

インタビュー写真

対馬 俺は4つ打ちのリズムがポイントだと思ってるんだけど、これはみっちゃんの新エフェクターのせいで生まれたものだと思ってる。

坂倉 うん。ある程度アレンジができて、こんな感じかなあって出来上がった頃に、みっちゃんが最近買ったっていうエフェクターを持ち出してきて。それを使って音を鳴らした瞬間に、今のプログレサウンドになっちゃった。

──皆さんホントにアレンジするの好きですよね。自分たちの曲もライブでどんどん変えていくし。

光村 どうやって自分たちの色を加えようかって考えるの、ホント楽しいんですよね(笑)。カバーだと余計燃えるというか。

「夏の大三角形」は新しい一歩

──ところで3月の幕張公演は、オーディエンスを巻き込んでいくパフォーマンスはもちろん、さらなる進化と飛躍を約束するような頼もしいMCの数々が印象的でした。

光村 実はこれまでも自分たちの音楽を追求する裏で、最強のバンドになりたいって思ってて。で、ここ2年くらいの活動で、「自分たちってなんだろう」「NICOらしさってなんだろう」ってことの答えが出たんですよね。俺らは単純に音楽が好きで、好きな音楽をストレートに鳴らすだけの存在だってこと。その思いを変にまとめようとしないほうがいいんだって自覚して。このまま奔放なじゃじゃ馬でいこう、ってのをメンバー全員が腹の中で決めたから。それがステージにも言葉にも出たんだと思う。

──なるほど。そういうことを受けて、バンドの目標も新たにしたり?

光村 ええ。誰もが口ずさめる、後世に残るような名曲を作りたいですよね。だから、今回の「夏の大三角形」がその一歩になるかなって。

ニューシングル「夏の大三角形」/ 2012年5月16日発売 / Ki/oon Music

  • 初回限定盤[CD+DVD] / 1470円(税込)/ KSCL-2023~2024 / Amazon.co.jpへ
  • 通常盤[CD] / 1223円(税込)/ KSCL-2025 / Amazon.co.jpへ
CD収録曲
  1. 夏の大三角形
  2. 夕立マーチ
  3. ラッパと娘
  4. 夏の大三角形instrumental
  5. 夕立マーチ instrumental
初回限定盤DVD収録内容
  • 「夏の大三角形」Live ver. (3/20@幕張公演)
  • CM documentary

DVD「Library vol.2」/ 2012年5月16日発売 / 2500円(税込)/ Ki/oon Music / KSBL-6025 / Amazon.co.jpへ

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DVD収録内容
  1. サドンデスゲーム
  2. Diver
  3. 妄想隊員A
  4. マトリョーシカ
  5. 手をたたけ
  6. Endless roll
  7. バイシクル

完全生産限定パッケージ「NICO ニコ パック」/ シングル「夏の大三角形」+DVD「Library vol.2」

  • 2012年5月16日発売 / [CD+2DVD] / 3970円(税込)/Ki/oon Music / KSCL-2020~2022 / Amazon.co.jpへ
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シングル「夏の大三角形」の初回盤と、PV集が収録されるDVDの2つのプロダクツを一つのパッケージにまとめた「NICO ニコ パック」

※5000セット限定

NICO Touches the Walls(にこたっちずざうぉーるず)

2004年4月に光村龍哉(Vo, G)、古村大介(G)、坂倉心悟(B)の3人で結成。同年7月に対馬祥太郎(Dr)が加入し、現在の編成となる。2005年から渋谷と千葉・柏を中心にライブ活動をスタートさせる。2006年2月に初のミニアルバム「Walls Is Beginning」をインディーズレーベルから発表し、翌2007年11月にミニアルバム「How are you?」でメジャーデビューを果たす。2008年9月に1stフルアルバム「Who are you?」、2009年11月に2ndフルアルバム「オーロラ」をリリース。2010年3月には初の日本武道館ワンマンライブを開催した。2011年4月には3rdアルバム「PASSENGER」、7月にシングル「手をたたけ」、12月に4thアルバム「HUMANIA」を発表し、それぞれの作品でバンドの新たな音楽性を提示する。2012年3月には幕張メッセイベントホールでワンマンライブを実施し、成功を収めている。2012年5月にシングル「夏の大三角形」をリリース。