ナタリー PowerPush - ねごと
ブレイクしても平常心! 4人のナチュラルさの秘密を探る
強い意志とロマンチシズムが手を結んで駆け抜ける、超ポップなニューシングル「カロン」。すでにCMでも大量オンエア中のこの曲は、ねごとの突き抜けた魅力を結晶したものと言える。昨年9月の初音源リリース以降、加速度的な注目度の上昇を見せているバンドだが、学生生活もこなしながらの中で4人はどんな毎日を過ごしているのだろう? そんなことを訊こうと思って臨んだ今回だったが、話のところどころでイメージを超えるような芯の強さがのぞくこと、たびたび。いつもナチュラルな彼女たちが持つ気丈さに触れた、そんな感覚が残るインタビューとなった。
取材・文/青木優 インタビュー撮影/中西求
大変だけど楽しい、大学生活と音楽活動の両立
──初音源リリースから半年が経ちますが、どんな日々を送ってますか。
蒼山幸子(Vo, Key) 最初のアルバムをリリースして11月にツアーをしたんですけど、ねごとの音源を聴いてくれた人がライブに来てくれるのが私たちにとっては新しいことだったんですね。そこでお客さんが口ずさんでくれたり、手拍子してくれてる顔を見て、すごくうれしかったというか……「あ、ちゃんと届いてるんだな」って思って。「もう私たちだけの音楽じゃなくなったんだな」っていう気持ちが、すごくしました。
──なるほど、確かにそれは初めての体験ですよね。ほかの方はどうです?
澤村小夜子(Dr, Cho) いやぁ、リリースしてからは練習、ライブ、曲作り、レコーディング、みたいな……もうアッという間に過ぎたような気がするんですけど。振り返ると、忙しくて、ほんと毎日濃いなあって思いますね。次の休みもかなり先だし……(笑)。
沙田瑞紀(G, Cho) 今は春休みで学校はないので、明日への不安みたいなのは、あんまりないんですけど(笑)。やっぱり大学があると「明日までの課題が……」ていうことが頭にあって、それでもこなさなきゃいけなくて、大変なんです。だけど今はほんとにいろんな経験させてもらって、すごく楽しみながら毎日過ごせてます。
藤咲佑(B, Cho) 今は制作期間に入ってて、次の作品を録る予定ももうすぐなので、すごく楽しみにしてます。大学がお休みだから、いつもより寝る時間があるし(笑)。
蒼山 学校があると練習が放課後なので、それを夜22時ぐらいまでやってから自宅に帰るんです。そうなると当然のごとく終電になって、それから帰っていろいろと支度をして……みたいな生活なんですね。
学校の友達が応援してくれている
──いや、かなり大変だろうと思いますよ。そんな中でも自分たちの音楽に対する反応を実感するときってあります?
蒼山 学校の友達はみんな知ってくれてて、「ダウンロードしたよ」「ビデオクリップ観たよ」みたいに、すごい応援してくれてます。今、au「LISMO!」のCMで「カロン」が流れてるんですけど、自分ではテレビでまだ2回しか観てなくて(笑)。友達のほうが「今流れた!」みたいなのをメールで送ってくれるんで、うれしいですね。
澤村 いちいちメールくれる友達がいて、ほんとうるさいぐらいです(笑)。100件ぐらい同じ人から来るんですよ! 「今流れた今流れた!」って。まあ、うれしいですけどね。でも「もうわかったから!」って(笑)。
藤咲 今まではどういうバンドをやってるのか、活動内容とか、きっとわからない人が周りにも多かったと思うんですけど。CDを出してからと今回のCMが決まってからは、学校行ったら「あ、学校来てる」「がんばってる」みたいな(笑)。同じゼミの先輩とかが話してるのが聞こえるんですけど、こっちが恥ずかしいんで、聞こえないふりしてます(笑)。
沙田 大学で、全然知らない人から「あの!」って声かけられたりとか、ありますね。「昨日WEBで検索して……すごいですね! 噂は聞いてたけど」って興奮して話しかけてくれたりするんですけど。正直、その次会ったらちょっと恥ずかしい……みたいな(笑)。でも大丈夫です。
──ただ、周りの学生の子たちは遊んだりする時間が普通にありますよね。それを削りながらがんばってる自分たちのことはどう思います?
蒼山 いや、でもこの道に進むときに、大学は行くと決めてたので、それはそれなりにやってる感じですね。忙しいといえば忙しいですけど、辛いとかはないです。練習行って、帰ってきて……みたいなのも、身体がもう慣れてきたのもあるし。その電車の中の時間もまた有効活用しながら、課題をやったり、曲の歌詞を書いたりしてますね。電車の中のほうが意外と考えやすかったりするときもあります。
ねごと
蒼山幸子(Vo, Key)、沙田瑞紀(G, Cho)、藤咲佑(B, Cho)、澤村小夜子(Dr, Cho)からなる4人組バンド。高校2年生だった2008年1月に結成し、春に開催された「閃光ライオット2008」に応募。予選を順当に通過し、8月に行われた決勝大会に進出。審査員特別賞を受賞する。同年11月に発売された「閃光ライオット2008」コンピレーションアルバムにも、大会で披露した楽曲「ループ」で参加する。その後勉強に専念するため一時ライブ活動を休止するも、2009年9月に本格活動開始。2010年2月より行っている自主企画「お口ポカーンフェス?!」も毎回好評を博している。2010年9月29日、1stミニアルバム「Hello! "Z"」をKi/oon Recordsよりリリース。2011年3月リリースの1stシングル「カロン」はau「LISMO!」のCMソングに決定し、幅広い層から注目を集めている。