ネクライトーキー|“思い出”を未来につなぐ石風呂楽曲のセルフカバー作が完成

緊張のツアーファイナル

──中村さん正式加入のあと、東京・WWWでツアーファイナルがありました。お客さんがみんな手を挙げて、声を上げて楽しんでいましたね(参照:「楽しかった!」ネクライトーキー、5人で回った全国ツアー大成功)。

藤田(B)

朝日 あの日は……緊張しました。

──緊張してたんですか!?

一同 緊張したー!

──ファイナル以外も緊張してたんですか?

藤田 特にファイナルが緊張しました。大人(関係者)がいっぱいでしたし……。

中村 パッと顔上げたらいくつもカメラがこっち向いてるし……。たぶん今までで一番緊張した。

タケイ 僕は普段そこまで緊張しないんですよ。多少のドキドキは毎回ありますけど、WWWでは緊張しまくり。周りに悪影響をおよぼした気がします(笑)。

藤田 私は背中でタケちゃんの緊張が伝わりました。

もっさ 珍しいなって思ったよ。

朝日 でも俺は大阪のShangri-Laも緊張したよ。やっぱりワンマンライブって、その日の良し悪しの責任を全部自分たちで負うから。ツーマンとか最悪自分たちがひどい演奏しても、対バン相手が最高やったら問題ないから。

カズマ・タケイ(Dr)

もっさ おや?

朝日 ……問題ないはず!

中村 私もShangri-Laのほうが緊張したな。WWWはタケちゃんの緊張が面白かったです(笑)。タケちゃんが緊張しすぎてたから緊張が取れちゃって。

タケイ 隣でめっちゃ泣いてる人いると悲しみがなくなるみたいな?

中村 そうそう、「この人めっちゃ緊張してる!」と思って。

藤田 私は共感しちゃうから一緒に緊張してた(笑)。

お父さんのパソコン

──緊張感のあるライブだったようですが、「ゆうな」ではもっささんが渾身のアカペラを披露していました。

もっさ あんまり聴き返してないんですよね、自分の作った曲ということもあって(笑)。

朝日 すごくよかったよ。

藤田 よかったよ。

タケイ うん。あれはよかった。

中村 よかった。ライブ映像もいいから観てみて?

藤田 まあ、もっさはお父さんのパソコンからネクライトーキーの動画を閲覧できないようにしてるくらいだから。

もっさ YouTubeに上げてるライブ映像を不適切な動画として報告してて……。恥ずかしいから観られないように(笑)。

藤田 でもお父さん、聴いてるんじゃない?

もっさ お父さんはCDの買い方わからないから。

朝日 絶対わかるわ。舐め腐っとんのかお前(笑)。

──さておき、ボーカリストとしての成長というか、底知れぬ魅力をそのとき感じて。朝日さんがもっささんに魅力を感じてバンドに誘った理由はこういうことだったのかと。

朝日 「やっとみんな気付いたか」と思いましたね。

もっさ 今までは精一杯、追い付けるようにしてたのがやっと……。

中村 何に追いつこうとしたの?

もっさ みんなが上手だから、がんばらないとさ。まだ自信は持ててないですけど、自信を持ちたいなと思ってがんばりました。

──メンバーから見てももっささんの成長は感じますか? 最初はすごく下手だった、というのは以前のインタビューでもおっしゃってましたよね。

朝日 もっさの歌は本当に抜群ですよ。下手でも抜群にいいのは間違いなかったんですけど。やっぱり経験を積んで、どんどん骨太になっていってる。まあうまいか下手かと言えば、まだ下手です。ただ、どんどんバンドサウンドに負けない歌になっていってるので、横から見ててカッコいいなあと思うし、いいボーカリストだと思います。

もっさ (うつむきながら)がんばります……。

中村 自分のこと言われると、本当に下向くよね。

ジャケットへのこだわり

──もっささんは今作でもジャケットのイラストを描き下ろしています。絵を描いたり、バンド活動をする以外に最近楽しいことはありましたか?

もっさ えー楽しいことですか……。リアル脱出ゲームくらいしかやってないです。閉じ込められて、1時間で出るっていう。ドMなゲーム……。楽しかったな。

藤田 ドMじゃない。謎解きゲームだよ(笑)。

──なるほど。ツアー中を含め、日頃から絵は描いているんですか?

もっさ いや、ずっとは描いてない。描きたいときに描く、という感じですね。今回のアートワークは私がやろうとは思ってました。石風呂の曲のセルフカバー作だからこそ、私が描こうと思いました。

──その理由は?

もっさ(Vo, G))

もっさ 石風呂の曲をネクライトーキーでやるということに意味があるから、朝日さんがジャケットを描いたらまんま「石風呂」になりそうだと思ったんです。曲は朝日さんの思い出で、ジャケットはその曲を聴いてた側の思い出としてやりました。私と同じように石風呂を聴いてた人の思い出に寄り添えたらいいなって。

朝日 ブックレットが冊子ではなく数枚のカードになっていて。CD買った人だけにわかる、ちょっとした仕掛けがあるんすよ。

もっさ リアル脱出ゲームが好きだから、こういう遊び要素を入れたくなっちゃうんですよ(笑)。買ってのお楽しみということで。

中村 もっさは絵を描くのも好きだけど、紙そのものが好きなんだよね。

もっさ 紙が好きで……若干オタク気質?(笑)

──紙の種類では何が好きなんですか?

もっさ アラベールとかマシュマロとか。そういう紙を集めるのが趣味なところがありまして。

──今回の紙はそういう好きな紙なんですか?

もっさ それは高級紙なんで、ジャケットは普通のコート紙です。お金がいっぱい使えるようになったらいい紙を使おうと企んでます。

「MEMORIES」レコーディング合宿の思い出

──ではここから新作「MEMORIES」について詳しく聞かせてください。石風呂さん名義の曲をネクライトーキーとして出そうと思ったのはどうしてですか?

朝日 ネクライトーキーではずっと石風呂の曲を演奏しているんです。本当はリリースするつもりじゃなかったけど、これだけライブで演奏してたら、ちゃんとした音源がないのは不親切な気がしてきて。自分がファンだったらうれしいだろうなという思いから作ることにしたんですけど、結果的には自分でも「やっぱりセルフカバーできてよかったな」と思いました。

──石風呂の曲はこれからもネクライトーキーのセットリストに入れるぞ、という意思表示でもある?

朝日(G)

朝日 少なくともこのアルバムに入っているのはずっとやっていきたいです。単純にネクライトーキーの曲が増えていったら、石風呂の曲が少なくなることはあると思います。でもこの先、特別なときにしか演奏しないとかそういうこともなく、自分たちの曲と同じような扱いでやっていけたらいいなって。

──レコーディングはどういうスタイルで進めていったんですか?

朝日 山中湖の近くにあるレコーディングスタジオに缶詰で1週間入りました。

中村 修行のようでした。

藤田 4月だったんですけど、雪が積もっていて。前半の数日は軟禁されたような気分でした(笑)。

朝日 まさか雪が降るとは思わず、チェーンを用意してなかったから車を出せなかったんですよね。最初の2日間は陸の孤島みたいな状態。ある分の食料で鍋を作りながら、雪解けを待ち、レコーディングをしてました。

──みんなそんなに外に出たいと思いながらレコーディングしてたわけじゃないですよね?(笑)

タケイ そういうわけではないんですけど(笑)。

中村 レコーディングの合間で気分転換をどうしてもしたかったんです。みんなが街まで降りてくときにちょうど私だけ寝坊して降りれなくて、部屋で「うわー!」ってなってました(笑)。

朝日 別の日にやっと外に出られたとき、むーさん言ってたね。「シャバの空気うめー!」って。

藤田 缶詰と言いつつ、合宿の後半はちょいちょい外に出る機会があったので、私ともっさで銭湯に行ったんです。もっさがレコーディングで声をずっと使うから疲れをほぐすのも兼ねて。あのあといい歌録れた?

もっさ うん! 録れた。「ゆるふわ樹海ガール」の歌録り前だった気がする。

タケイ そういう合宿レコーディングだったからこそ、時間に縛りがないんで、心に余裕を持ってできた部分はあります。夜中でもドラムの音作りができたし。

藤田 レコーディング自体は「今日はここまでにしよう」と時間を決めて。ちゃんと朝昼晩でごはんを食べて、明日また朝起きてやろう!みたいな。健康的ないい生活を送りました。

──個人練の時間も取れたということで、音作りのほか、アレンジのアイデアもいろいろ練られた?

タケイ 大枠のアレンジは、そんなに大きくは変わらないんですが、個々でやりたいことをメンバーに何も言わずにちょいちょいやってると思います。

朝日 デモと聴き比べるとやっぱりけっこう違うよね。今度聴き比べ会やる?(笑)

──それこそ石風呂バージョンとネクライトーキーバージョンをそれぞれプレイリストにして聴き比べてから取材させていただいてるんですけど、バンドバージョンはよりズシッとしていて、タイトなサウンドになっていました。

朝日 エンジニアさんの意向もあるんじゃないかな。演奏面については、ずっとライブ中心でやってたメンバーだからこそ出せたタイトさはあると思います。