6人組ガールズグループ・NARLOWが新体制に移行した。
NARLOWは元BiSのパン・ルナリーフィとムロ葉菜子、元LADYBABYのイケダナナ、元NMB48の河野奈々帆といったアイドル経験者を中心に昨年結成されたグループ。プロデューサーのANCHORが手がける楽曲を歌ってきた彼女たちだが、昨年12月にANCHORを契約違反により解任するとともに、メンバーを中心に歌詞や振付を作り上げる新たな制作体制に移行することを発表し、ファンを驚かせた。そして彼女たちは1月27日に東京・WWW Xで行われた単独公演「絶唱」をもって旧体制の楽曲とは決別。同日の夜公演「鼓動」で新体制をお披露目した。
音楽ナタリーでは、新体制お披露目ライブ後、メンバー6人にインタビュー。グループの成り立ちから新体制移行への思い、今後の展望までを語ってもらった。
取材・文 / 阿刀“DA”大志撮影 / 高橋佑樹
それぞれが異なるアイドル経験を経てきた6人組
──NARLOWはどうやって始まったグループなんですか?
パン・ルナリーフィ 私がこのプロジェクトに誘っていただいたことが始まりです。そこから私が(イケダ)ナナちゃんに声をかけて、(河野)奈々帆ちゃんも誘ってからオーディションを開催した結果、最初の3人を含めた6人がメンバーに決定したんですけど、(ムロ葉菜子のほうを見ながら)オーディションで一度は落ちた1人が「もう少し時間をとって判断する」という形で仮合格となって。1カ月レッスンなどして過ごして加入が決まり、最終的に去年の6月に7人での活動がスタートしたんです。でもそこから1人が脱退して6人編成になって、当初のプロデューサーも解任になって(参照:元BiSメンバーら所属NARLOWがプロデューサーのANCHORを規約違反で解任)。自分たちで歌詞や振付を作り上げる新たな制作体制活動が始まったばかり、という感じです。
──すでに紆余曲折あるんですね。では、そんなNARLOWの現状を表す言葉を1人ずつ挙げてください。
パン NARLOWの今を表す言葉は、「猪突猛進」です。
山下うみ 「開拓」です。
ムロ葉菜子 現状……「もがいてる」。
イケダナナ 今のNARLOWをひと言で表すなら……「絆」かなって思います。
河野奈々帆 「猪突猛進」と似てるんですけど「前進」です。
乃井りこ 「全身全霊」です。
──今の言葉を挙げた理由を説明してもらえますか?
イケダ 楽曲の制作体制を新しくするにあたって、メンバーもいろいろと意見を言い合ったり、グループの方向性について考えるようになったりしたことで、運営チームと話す内容がより具体的になってきて。みんなで一緒にNARLOWを作り上げている感じがファンの人から見てもわかるようになっていると思います。そういうことも含めて「絆」にしました。
──NARLOWはメンバー全員が過去にアイドルを経験している、いわば“アイドル・アベンジャーズ”です。近い場所で活動していたメンバーもいるとは言え、それぞれが異なる活動をしていただけに、これまでに経験してきたアイドルカルチャーや、培ってきた歌やダンスの方向性など、いろいろと違いを感じる部分があったと思うんです。NARLOWが始まった当初、そういったところでの戸惑いはありませんでしたか?
イケダ あったと言えばあったけど、NARLOWって別にそれぞれのやり方を押し付けるグループではないと思うんです。パフォーマンスに関しても、そろえるべきところはそろえるけど、それぞれの個性を潰すことはないです。それも私たちの味だし、1人ひとりが違うのはいいことだと思います。
──でも、1人ひとりが持っている個性を生かすというのは新グループにとってはなかなか大変なことだと思います。
河野 あちこちから集まってきたメンバーなので、もちろん最初は合わないこともあったんですけど(笑)、それ以上にみんなの気合いがすごくて。全員がNARLOWとしてがんばろうという気持ちが強くあったので、そういう意味では最初から合っていたのかなと思います。
──先ほどイケダさんが話していたように、グループの絆が深まったのは体制が変わったことが大きいのでしょうか。
イケダ 確かにすごく大きなきっかけではあったけど、自然とそうなっていった気もします。
河野 これまでは、自分たちのライブ映像を観て「ここ、間違ってるけど言えない……」みたいなことがあったけど、今ではそういうことも指摘できるようになったし。ちょっとしたことではあるんですけど、それぞれが思ってることをちゃんと話せるようになったかもしれない。
──振付にも携わっている河野さんとしては、ダンス面に関して自分が引っ張っていかなきゃ、みたいな思いもあるんじゃないですか?
河野 自分はNARLOWに入ってから振付を手がけるようになって。これまでは与えられた振付をしっかりそろえることを意識していたんですけど、NARLOWでは1人ひとりの表現が全然違うので、そろえることは気にせずにそれぞれが思う表現をすればいいと思ってます。なので、そんなに「自分が!」ということは思ってないかもしれないです。
──そろえることがすべてではないと。
河野 もともとはそう思ってたけど、NARLOWに入って考えが変わりました。
「ここで終わるわけにはいかない」という気持ち
──去年6月の結成以降、NARLOWはさまざまな出来事を経た末に、新たな制作体制で活動を再スタートさせることになりました。ただ、自分たちで歌詞や振付を作る新体制で活動を進めると決断してから現在に至るまで、本当に大変な日々だったと想像します。
山下 「ここで終わるわけにはいかない」という気持ちをみんながそれぞれ持てていたからこそ新体制の準備にも早く取りかかれたし、普通は旧体制から新体制に移行するときにちょっと充電期間を作るグループが多いと思うんですけど、私たちは1月27日のライブですぐに切り替えられました。それができたのはやっぱり、1人ひとりの気持ちがすごく強かったからだと思います。
──ムロさんは、今の山下さんの話を隣で頷きながら聞いていましたね。
ムロ 私は覚悟を決めるのが一番遅かったんですけど、みんなが決断を強制してこなかったことが自分の中でデカくて。「別に無理して前向かなくていいよ」って。みんな私の性格をわかってくれてるんですよね。
──今はどうですか?
ムロ 今はもう前と上しか見てない(笑)。
──乃井さんは?
乃井 私はこの6人でいられることが一番大切だと思っていて。自分たちで歌詞や振付を手がけることによってもっと大変な思いをするのはわかっていたけど、その覚悟はありました。
──新体制スタートの公式発表前からいろいろと動いていたはずですが、それでも新たに体制を整えるまでの時間は相当短かったと思います。そんな中、旧体制の曲と決別を果たすライブ「絶唱」と、新体制用の新曲のみで構成されたライブ「鼓動」を1日で行う1月27日の公演までこぎつけたのはすごいと思いました。この日までどんな時間を過ごしていましたか?
河野 ずっと焦っていました。でも、この日までに絶対に仕上げなきゃいけないということはわかっていたから、とにかくやるしかないという気持ちでしたね。あと、これまでの楽曲とは決別することに関しては、旧体制の曲が好きでNARLOWのライブに来てくれてたファンの方もいるし、そういう人たちのことをガッカリさせないようなパフォーマンスを見せなきゃいけないと思っていました。
──しかも、新曲の歌割りを覚え、振りを入れて、フォーメーションをそろえるだけではなく、そのうえ自分たちで歌詞を書いて、曲によってはメンバーが振付も作るというのは本当に大変だったんじゃないですか?
パン でも、メンバー全員がアイドル経験者というのはすごく大きくて。曲を理解するのも、振付を覚えるのも早いし、過去にそれぞれが大変な環境で活動してきたからこそ、今回の変化も乗り越えられたと思っています。作詞に関しても私は過去に経験があったし、この半年の間に大変なことがあったからこそ書けた歌詞がたくさんあります。これまでは与えられた歌を歌うことが多かったけど、自分たちの気持ちや夢を直接歌詞にして歌えることで、とても説得力のあるグループになったと思います。しかも、新体制の動きが始まってから6人の気持ちがよりひとつになったし、さっきナナちゃんが言ってくれたみたいに目に見えて絆を感じることができるようになったので、この期間はとても有意義でNARLOWの未来にとって意味がある時間になったと思います。
──なるほど。
パン NARLOWの可能性が広がったというか。アイドルだからってできないことなんてない。自分たちで作詞もするし、振付もできる。これからも自分たちで作品を作り上げることに挑戦して、ほかのアイドルがやったことのないことをやる人たちになりたい……(ほかのメンバーに向かって)よね?
──これはアイドルに限った話ではなく、僕は自分で歌詞や曲を書いていればすごいとは思ってなくて。でもNARLOWの場合、新体制スタートという大事なタイミングで自分たちの思いを歌詞に乗せることにできたというのはものすごく意味のあることだと思いました。それは振付に関しても同様で、自分たちの表現をより明確にできているのではないかと思います。これまで以上に「NARLOWになった」という感覚があるんじゃないですか?
イケダ これまでも「NARLOWらしさってなんだろう」って考えることはよくあったんですけど、クリエイティブなことまでできるようになったことで今後、NARLOWっぽさをもっともっと積み上げていけるのかなと思いました。
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