「START OVER」で新しい引き出しが増えた

──カップリング曲についても話を聞かせてください。まずは8月のライブでも毎回演奏された「START OVER」から。Hiroさんがステージに登場すると、まずいきなり「START OVER」という未発表の新曲が始まり、そこでお客さんはビックリしたと思うんです。

ナノ　「START OVER」のイントロではHiroはまだステージにいなくて、ナノがソロで歌い始めるんですけど、みんな「あ、ナノの新曲かな」と思ってたはず。そこに途中からHiroがステージに出てきて客席が「うわーっ！」ってなるところで、毎回ニヤけちゃって。ニヤける顔をマイクで隠しながら歌ってましたよ（笑）。

──この曲、僕は先にライブで聴いていたのでその印象が強いんですが、今回CDに収められるスタジオテイクもパワフルでカッコいい。「SAVIOR OF SONG」とはまた違った魅力がある1曲です。

ナノ　「START OVER」はすごく洋楽ロックっぽいなと思っていて。自分はアメリカでこういうロックを聴いて育ってきたから、ものすごい親近感を覚えたし、歌いやすかったですね。それに英語詞ですし。自分は今まで恋愛的な歌詞を書いてこなかったんですけど、今回は「I love you」とかストレートな言葉を使っていて、とても新鮮でしたね。新しい引き出しが増えたというか。

──作詞にはMY FIRST STORYも加わってるんですよね。

ナノ　そうです。まずMY FIRST STORYが作曲をして、Hiroが日本語でこういう歌詞にしたいっていうテーマを出して。そこからスタッフと相談して「じゃあこの曲は英語詞にしよう」と決めてから、自分なりの解釈で英語で歌詞を書いたんです。

──なるほど。そういえばこの曲、MY FIRST STORYのライブでも披露しているそうですが。

Hiro　やってますね。俺たちだけで演奏すると、雰囲気から何から1つひとつ、全然違いますよ。あと、先にナノバンドで「START OVER」を披露してるから、自分のバンドで演奏するとちょっとだけ違和感があったり。自分のバンドなのに（笑）。でもそれすら新鮮でしたけどね。

──新鮮なこと尽くしの1曲だったと。

ナノ　ですね。正直この曲はカップリングにしておくにはもったいないぐらいカッコいいので、もっといろんな人に聴いてほしい。

「Our Story」はCD化するべきか最初は迷った

──続いて、今年3月の1stライブ「Remember your color.」で初披露された「Our Story」。

ナノ　ライブでしか聴けなかったこの曲が、やっとCD化されてみんなのもとに届くわけです。でも正直、もともとライブに来てくれた皆さんに向けて歌うために書いた曲だし、CD化するべきか最初は迷いました。それに音源でもライブと同じように表現できるのかも悩んだし。結局レコーディングはライブと同じやり方で録ったんですけど、「あ、これだ」っていう納得いくテイクがちゃんと録れたので、無事CDに入れることになりました。

──そうだったんですね。あと、CDで聴いて初めて気付いたんですけど、この曲って8分近くもあるんですね。ライブで聴いてるとそんなに長く感じなくて。

ナノ　そうなんですよ。実はなかなか長い曲なんです。その数字を見て、自分でもビックリしました。今後のライブでは必ず歌っていきたいなと思ってる曲なので、まだ一度もナノのライブに来たことがない人もこの曲をCDで聴いて、ライブのことを想像してくれたらうれしいです。

──そして「蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ‐」の挿入歌にも採用された「Silver Sky」。この曲は大阪公演で初披露されました。

ナノ　「Silver Sky」は「蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ‐」のサウンドトラックを書いてる甲田雅人さんが作曲していて。自分は小さい頃、家で映画のサウンドトラックやクラシックを聴いて育ってきたから、実はこういうタイプの楽曲がすごく好きなんです。でも今までこういう曲を歌ったことがなかったから、果たしてアニメの制作スタッフも含めて納得いくようなものを自分が歌えるのか、すごく不安でした。

──でも素晴らしい仕上がりじゃないですか。歌い方にしても、今までにない新しい一面が出せてると思いますし。

ナノ　実は歌詞も今まで書いたことのないような内容なんです。タイトルの「Silver Sky」も直訳すると銀色の空って意味なんですけど、今回は海がテーマのアニメなので、海の中から見上げた海面が光の加減で銀色に見えることにちなんでるんです。実はアニメで放送されるのはもうちょっと先なんですけど、CDを買って聴いた人は歌詞を読んでどういうシーンで使われるのか想像してみるのも面白いんじゃないかな。

何かしら発見があるシングルになっているはず

──というわけで、シングルに収録される4曲についてじっくり語ってもらいましたが、2人はこのシングルをどう楽しんでほしいか、リスナーに向けて何かメッセージはありますか？

Hiro　今回のコラボで一番大事なのはいかにお互いの色を出しつつ一緒に1つの作品を作っていくかってことだと思ってたんですけど、レコーディングにしてもPVにしてもライブにしても、すべてにコラボ感が打ち出せたと自信を持って言いたいです。「SAVIOR OF SONG」はナノのファンにもMY FIRST STORYのファンにも、お互いのことを知ってもらえる名刺的な曲になるんじゃないかな。このマッチ感は俺たちとナノにしか出せないものなので、そこを意識して楽しんでほしいですね。

ナノ　自分もこういう形でほかのアーティストとコラボするのは初めての経験でしたけど、単純にカッコいい作品が作れたと思います。今回のコラボでいろんな発見があったので、同じようにリスナーのみんなも何かしら発見があるシングルになっているはずなので、まずは先入観なしに聴いてほしいです。

Hiro　他人と交わることで今まで自分では見出せなかった感覚を見つけたときって、すごくうれしいんですよね。今まで持ってなかった概念を生で感じ取れた瞬間とか……それはライブをしたときだったり音源を作ったときだったり、いろいろなんですけど。コラボってそういう快感を得ることができるから、新鮮であり楽しいんですよ。今回は自分が期待していた以上のものをナノが与えてくれたし、ナノもいろんな発見があったようなので、本当お互いにとってプラスになったコラボだったんじゃないかと思ってます。