自分で聴いてもハモってるのがどっちがわからなくなる

──初対面は「SAVIOR OF SONG」のレコーディング時とのことですが、お互い初めて会ったときの印象は？

ナノ　Hiroはすごいオーラがある人。まだ挨拶する前にすれ違っただけで、そのオーラに圧倒されました。

Hiro　僕はナノについて曲以外の情報がなかったので、どんな人なのか若干怖かったんですけど（笑）。でも会ってみたらすげえポップな人で、そこから急激に話すようになったんです。

──実際、一緒に歌ってみてどうでしたか？

Hiro　「ああ、やっぱりカッコいいな」っていうのが第一印象。レコーディングブースに入って、歌い始めた瞬間、その場の空気が一気に変わったし、安定感もすごかったですね。

ナノ　それまで一度も会ったことがなかったから変な先入観もなくて、本当に真っ白な状態でレコーディングに臨めたかも。で、実際に歌ってみると、同じフレーズを歌っても声の出し方とかアクセントの付け方とかでこんなに変わるんだと衝撃を受けた部分が多かったです。

──実は「SAVIOR OF SONG」を初めて聴いたとき、2人の声が意外と似ていて驚いたんです。

ナノ　その反応、すっごく多いんですよ。

──知らずに聴くと、どこでパートが変わったのかがわからないくらいで。

ナノ　特にハモってる部分なんて、自分で聴いてもハモってるのが自分なのかHiroなのかわからなくなりますし。あとラップパートは、2人一緒になるところは歌っていても聴いていても、本当に気持ちいいんですよね。

一緒に作ってる感を強く打ち出したかった

──「SAVIOR OF SONG」はMY FIRST STORYが作曲を手がけていますが、この曲のメロディやアレンジについてはどう思いましたか？

ナノ　この曲はアニメ「蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ‐」のオープニングテーマということで、アニメの世界観に寄せたものにしてると思うんですけど、個人的にはすっごいとがってる曲だなと。もともとこういうタイプの曲は大好きなので、最初に聴いたときはめっちゃテンションが上がりました。

Hiro　MY FIRST STORYはアニメのタイアップも初だけど、ほかのアーティストとのコラボも初の試みだったので、一緒に作ってる感を強く打ち出したかったんです。そういう意味ではすごくカッコいい曲ができたんじゃないかなと。

ナノ　そうだね。たぶんアニメ界でもこういうタイプのコラボというか、こういうタイプの曲ってあまりないと思うし。だからリスナーにとってもかなりインパクトが大きいものになったと思います。

──アニメとのタイアップを抜きに考えても、単純に2013年のロックナンバーとしてカッコいい曲に仕上がったと思います。歌詞はナノさんがアニメの世界観を踏まえつつ作詞したんですか？

ナノ　はい。アニメの世界観を重視しながらも、自分の経験を交えていって。あとはナノとHiroの歌い分けを意識して、この歌詞をどっちが歌うのかを想像して楽しみながら書きました。

──歌詞の中で「刃（やいば）」「慈しみ」といったこれまでのナノの歌詞には出てこなかった表現が使われていたりと、非常に新鮮でした。

ナノ　曲自体がとがってるから、歌詞もとがらせたものじゃないと負けてしまうと思って。そういった言葉は曲から影響されて引っぱり出されたものなんです。あと、誰かほかの人と一緒に歌うとなると、その相手のことも意識するから、自然にいつもと違う感じになるんだなって思いました。

──Hiroさんが歌うことを想定して書いた部分もあるんですね。

ナノ　そうです。だから最初はもしHiroと曲に対するイメージが違っていたらどうしようと心配してたところもあって。あと同じフレーズでも歌いやすい人とそうじゃない人がいるし。でも自分とHiroは歌い方の部分では似ているところがあったのか、全然違和感がなかった。

──なるほど。Hiroさんはこの歌詞についてどう思いましたか？

Hiro　自分以外の人が書いた歌詞を歌うのが初めての経験で、自分で書いた歌詞を歌うときとは全然感覚が違うんです。自分で生み出した言葉じゃないぶん、どう表現すればいいのか心配だったんですけど、チョイスした言葉やフレーズのハマり方が曲の雰囲気にピッタリだったので、そこまで考えすぎることもなく自然に歌えたかな。なんかね、ナノのどの曲を聴いてもそうなんですけど、どの漢字を使うかとかここは日本語でいくとか、その感覚がドンピシャで好きなものなんですよ。それにここまで歌い回しとか声質が似てる人に会うのも初めてなので、いろいろ衝撃でしたね。

ナノ　ボーカリストってけっこう目立ちたがり屋だから、ほかのボーカリストとコラボしたいっていう人はあまりいないと思うんですよ。1stアルバム「nanoir」ではnekoさんや＿＿（アンダーバー）さんと一緒にやったけど、あのときはカバー曲だったから一緒にやれたというのもあって。今回みたいにゼロから作り上げていくコラボの場合は不安も大きいけど、今回はやって大正解だと思ったし、後悔は何ひとつないです。