改めてMVっていいなって思った

──「Liberty&Gravity」で「BEST VIDEO OF THE YEAR」を受賞した感想を聞かせてください。

佐藤征史（B）　ひさしぶりにお金と時間と手間暇と体を使ったビデオで、「いいものができたな」っていう自覚があったので、それを認めてもらえて大変うれしく思っております。

ファンファン（Tp, Key, Vo）　みんなで丸1日みっちり撮影して、自分でもいろんなことが発見できたミュージックビデオだったので、素直にうれしいです。

岸田繁（Vo, G）　「Liberty&Gravity」は完成した時点でなぜか早くミュージックビデオを作りたいなと思った曲でして。今まで真面目に作ってこなかったわけじゃないですけど、しっかりと作るということから遠ざかっていた時期が長かったので、改めてMVっていいなって思いましたね。来年も大賞をいただきにいきたいと思います。

──楽曲とミュージックビデオの関係について、どのように考えていますか？

岸田　同じベクトルっていうんですかね。例えばラジオで野球中継聴くのと、テレビで観るのと、実際球場に行くのってそれぞれ全然違うやないですか？ MVはテレビで野球中継を観るときと似てるというか。どこをどう映すかがすごい大事になってくると思うんですよね。音楽って緻密に作り込まれてるものやから、絵を付けることでその可能性を広げることができると思うんで、今回はそれがうまくいったかなと思います。

──「Liberty&Gravity」のMVの撮影で印象に残っていることを教えてください。

佐藤　僕たちが胸の前に人形を付けてて、その周りを女性ダンサーたちが踊るシーンの撮影かな。1日の最後に撮影したので夜中だったし、疲れもたまってるはずなのにみんなすごくがんばってくれて。

岸田　俺は曲の中盤、回転台に乗って変なポーズしながら静止してるところを撮ったときに「俺は止まんのうまいな」と思いましたね（笑）。

佐藤　なかなか大変だったよね。

ファンファン　私は、3人で鏡の前でダンスの練習したんですけど、次の日筋肉痛で起き上がれなかったのを覚えてます。

想像以上にうまいトロだった

──できあがった作品を観たときの感想を教えていただけますか？

岸田　それはもう、「トロってうまいよね」っていう共通認識があって、食べたら想像以上にうまかったみたいな。

佐藤　さすが田向監督って思いましたね。同じシーンを寄りとミドルと引きで撮っていて、それを組み合わせながら作っているんですけど、1つのカメラで長回しで撮ってるように見えるという。その撮影方法を知ってるはずやのに自分らもそう思えてしまうっていうのが、さすがプロの技やなと。

ファンファン　感動しました。

──皆さんのお気に入りのシーンはどこですか？

佐藤　やっぱり繁くんが女性の太ももに挟まれたときは、ちょっとうらやましかったです（笑）。

一同　（笑）。

岸田　思ったより固い感じやったよ。イメージ的には「もにょーん」ってなる感じするやん、太ももやし。でもね、「ダイーン」って感じやった（笑）。

佐藤　はははは（笑）。（太ももで挟んだのは）撮影に参加してくれたダンサーの中でもトップレベルの人やったから、筋肉質やったのかもね（笑）。

ファンファン　私は大サビの手前のところが好きです。陰陽師の人が、液晶に岸田さんの顔が映ってるiPadを両手に持ってくっつけたり離したりして。その周りをダンサーの方たちが踊ってて、後ろから別の女性ダンサーがバレエみたいに出てくるところがすごく美しくて。

岸田　俺もあそこが好き。優雅に登場してそのあとコミカルな動きしながら歩き始めて。

佐藤　歩いてるとき後ろに獅子舞おるよね。

岸田　そうそう。しかもそのあと緞帳が降りてうちら3人がかつがれて宙に浮きながら演奏してるっていう。その一連の流れがすごい好きですね。このビデオのハイライトやと思います。

──今後くるりとしてMVでやってみたいことはありますか？

佐藤　発想がふざけてる作品とか面白いかもしれないですね。ストーリーの流れにまったく関係ないような遊び心を入れてみたりとか、MVの最後にオチをつけてみたりとか。

岸田　時間が許せばね、田向監督と一緒に見たことないもん作ってみたいなと思ってて。アマゾンでワニが出てくるとか（笑）。そういう秘境モノとか作ってみたいです。

佐藤・ファンファン　はははは（笑）。