音楽ナタリー PowerPush - MUSIC TAGS vol.2

牧達弥(go!go!vanillas)×ヤマサキセイヤ(キュウソネコカミ)×小野武正(KEYTALK)

“バンド戦国時代”鼎談

ブレイクしてるバンドは気になる

──ちなみに濃厚な話っていうのは、バンドのことですよね?

小野武正(KEYTALK)

小野 バンドのこと、音楽のことですね。漠然とした話を延々としてしまう、よくないタイプなんですけど(笑)。

ヤマサキ そういうときってだいたい、話題になってるバンドの話にならへん?

小野 なりますねー。

ヤマサキ 「ゲス(の極み乙女。)がさあ」とか「KANA-BOONが……」とか。名前を出したくなくても、絶対、出てくるねん。「あいつら、すごいよな。Twitterのフォロワー数、1日5000人くらい増えてるで」とか。

──ブレイクしているバンドはやはり気になる?

ヤマサキ そりゃ気になりますよ。

 正直、なりますね。

小野 それしか気にしないくらいですよ。……いや、それは言い過ぎか(笑)。例えば10歳くらい上のバンドだったら、「俺らもああなりたい。勉強になったな」って思えるんですけど、歳の近いバンドがバーン!っていくと「キーッ! チクショー!!」ってなるし。

ヤマサキ ならないとおかしいよ。上に行くためには、研究も必要やと思うし……。俺、ほかのバンドのツアー日程とかもチェックするからね。「ここでやるんや。埋まんのかな?」とか。

小野 逆に「そこまで(キャパを)上げてこないんだな」とかね。

 すげえリアル(笑)。

小野 曲と曲のつなぎとかも、気になりません?

ヤマサキ うん。「こういうこと言ってもウケるんや」って。でも、売れてるバンドはカッコいいんですよ、ホントに。「すげえ! 音源欲しい」って思ってしまうし。

──ここ数年、個性的なバンドが一気に増えましたからね。

牧達弥(go!go!vanillas)

 そうですよね。若いバンドもどんどん出てきて。

小野 KEYTALKが初めて全国流通盤を出してツアーをやったのは、4年くらい前なんですよ。そのときは同い年から下のバンドはほとんどいなかったけど、最近は1~2歳下のバンドも増えましたね。

ヤマサキ TwitterとかSNSが発達して、バンドを見つけやすくなってるからな。

 YouTubeもありますからね。

ヤマサキ そう。「このバンドがカッコいい」ってツイートを見て、気になったらすぐに映像もチェックできて。

──オーディエンスも若いですよね。

ヤマサキ 若いです。14歳の女の子からリプライが来たりするし。

小野 小学生からも来ますよ。

ヤマサキ 街で声をかけられて話するだけで犯罪になるレベルや(笑)。ありがたいことですけどね。

──ライブの反応なんかも気になりますよね?

ヤマサキ キュウソはめっちゃ気にしてます。エゴサーチっていうか、ライブが終わったあとも「今日の反応はどうやったかな?」って……。やらへん?

小野 やるやる(笑)。「あの曲が聴きたかった」みたいな意見だったり、「今日のセトリの流れは、どんな感じで受け止められたのか?」とか。それを鵜呑みにするわけではなくて、あくまでも1つの意見として見てる感じですけどね。

 僕らは今25歳なんですけど、10代のお客さんとはジェネレーションギャップが少なからずあると思うんですよ。「これがカッコいい」とされていたものが、お客さんにはそうではなかったり。そこに目線を合わせないとダメだなとは思いますね。

ライブ中はどこ見てる?

──この機会にお互いに聞いてみたいことはありますか?

小野 えーと、ライブ中ってどこを見てる?

 大きい会場だと、2階に関係者がいるじゃないですか。けっこう見てるんですよね、そこを。お客さんがバーッと盛り上がってくると、麻痺してしまうこともあるんですよ。僕もテンションが上がってるし、わけわかんなくなることもあって。で、あとでライブの音源や映像を見ると「全然ダメだ」ということもあるし。だから、2階席を見て、ちょっと冷静になろうかな、と。(ヤマサキに向かって)そういえば札幌のcube gardenでキュウソと一緒にやったとき、関係者のほうをずっと見てなかったですか? 

ヤマサキ 見てた(笑)。俺はライブハウスの店長の顔を見たりもするよ。

小野 え、ホントに? 俺はお客さんばっかり見てますね。

ヤマサキ お客さんと目を合わせるのって、怖くない?

 あ、わかります。

ヤマサキ たまに勇気を出して見たら、すぐに目を逸らされたりして。なんやねん!っていう(笑)。

左から牧達弥(go!go!vanillas)、ヤマサキセイヤ(キュウソネコカミ)。

 あんまり見ないほうが楽しめるのかな?って思うこともありますからね。絡み過ぎてもダメというか。ちなみにライブの前とかはどうしてます? メンバーみんなで一緒にいるのか、1人ひとり別行動か。

小野 みんなでいることが多いかな。打ち合わせを早めにやって、そのあとは別々で、また集まって。「確実にこれをやる」って決めてることはなくて、日によって違う感じですね。

 掛け声とかは?

小野 SEが流れたら、「やりますか!」って感じになって、ドラム(八木優樹)がウオー!って叫んで。あとはシレッと出ていきます(笑)。

ヤマサキ 俺らはガチの会議やってる。

小野 あ、そうだよね。

ヤマサキ 誰も入れんくらいの空気で、いろいろ話して。そういうときはシンノスケ(キーボード)が司会をやってくれて、俺は聞いてる感じなんやけど。俺が自由に暴れさせてもらってるぶん、あとの4人がきっちりやってるんですよ。だから成り立ってるんですよね、キュウソは。

小野 モンバス(MONSTER baSH)のとき、楽屋がキュウソと一緒だったんですよ。俺がキュウリ食べてたら、ピリッとした会議が始まって(笑)。あの緻密さがあるからこそ、フリーダムにやれるんですね。

ヤマサキ 何回も失敗してるからね。全員が自由にやりすぎて、収拾がつかなくなったり。でも、ソールドアウトしてるイベントとかで、そういうライブをやるのはヤバいやん? で、自ずとシビアな会議をやるようになって。その前から反省会はやってたけどね。ライブが終わったら、すぐに「あそこはアカンやろ」って話をして。

 勉強になります。キュウソのライブって、いつもハラハラさせられるし、「大丈夫なのかな?」って思うこともあるんだけど、絶対にシラケるようなことはなくて。なんでだろうな?って思ってたんですよ。

ヤマサキ 演奏時間をオーバーするのもマズいしな。俺、エフェクターのところに電波時計を置いてて。「おりゃあ!」って煽った直後に「あと15分や」ってメンバーに耳打ちしたり。冷静と情熱の間に俺がいるっていう(笑)。

小野 しかも2階席もチェックして。忙しいですね(笑)。

~ビクターロック祭り番外編~「Getting Better presents "MUSIC TAGS vol.2"~バンド戦国時代~」
  • 2014年10月7日(火)大阪府 なんばHatch
    <出演者>
    KEYTALK / キュウソネコカミ / go!go!vanillas
  • 2014年10月8日(水)愛知県 Zepp Nagoya
    <出演者>
    KEYTALK / キュウソネコカミ / go!go!vanillas
  • 2014年10月17日(金)東京都 Zepp Tokyo
    <出演者>
    KEYTALK / キュウソネコカミ / go!go!vanillas