MOTORWORKS|石田ショーキチと田村明浩が振り返る、黒沢健一と生きた日々

健一って、突拍子もない変化球を何の躊躇もなく投げて来るんですよ

──先立って再発されたCD「MOTORWORKS ~COMPLETE BEST~」も、今回のDVDも、黒沢健一さんの訃報を受けてのものですが、改めて「黒沢健一という存在」についてお二人はどう思っていますか?

田村 健ちゃんのこと、根っからのロックボーカリストだと思ってるんですが、その認識が世間的には低い気がしてモヤモヤするんですよね(笑)。L⇔R時代から、世間一般的にはポップシンガーというイメージなのかなと。でも、彼はライブでこそ生きる存在だよなって、今回DVDを観直してみて改めて思いました。だって、まさか健ちゃんがツェッペリンの曲をあそこまで歌いこなすなんて、お茶の間の人たちはあまり思ってないじゃない?(笑)

石田 しかも、ロバート・プラントそっくりに歌うしね。MOTORWORKSをやっていて一番楽しかったのはツェッペリンをやってるときだったな(笑)。あそこまでなりきってくれる人ってなかなかいないじゃない?

左から石田ショーキチ(G, Vo)、田村明浩(B)。

田村 そうそう。サンコンや石田くんと一緒にやるのも楽しいのだけど、世の中の、健ちゃんに対する認識とのギャップを、このバンドで知らしめたいなっていう気持ちが一番大きかったかもしれない。

石田 健一のソングライティングの部分はもちろん素晴らしいのだけど、そこばかりがどうしてもクローズアップされがちだったと言うか。

田村 あんなにギターが歪んでてさ、すっげえうるさい音なのに、ちゃんとボーカルが聞こえてくるってすごいことなんだけどね。

石田 「ギターうるさい」って言うな!(笑) あとソングライティングのことで言えば、健一ってわりととんでもない曲を断片だけ作って来るんだけど、それをまとめる気があまりないんですよね。と言うのも、彼のそばには必ずいつも、その天才的なアイデアをうまくまとめて落とし込む人間がいたから。それが、L⇔R時代は(黒沢)秀樹だったり、プロデューサーの岡井大二さん(ex. 四人囃子)だったり、キーボーディストの遠山裕さんだったり。で、MOTORWORKSの時代も、健一から4曲デモが届いて、そのうち「The End」と「氷の空」が採用になったんだけど、だいぶ僕が手を入れて完成した経緯もあるんです。

──健一さんがジョン・レノンだとすると、秀樹さんや岡井さん、石田さんはポール・マッカートニーやジョージ・マーティンだったわけですね。

石田 12月5日に健一の未発表曲を集めたニューアルバム「HEAR ME NOW」がリリースされ(参照:黒沢健一が遺した音源がアルバムに、RECにL⇔RやMOTORWORKSメンバーら仲間たち)、MOTORWORKSとしても2曲参加しているのですが、その曲は当時採用にならなかった残りの2曲なんですよ。さっき田村くんも言ったように、「そのAメロの次にそのBメロかよ!」って普通の人は思うような、突拍子もない変化球を、何の躊躇もなく投げて来ると言うか(笑)。それをちゃんと受け止めて投げ返せる人がいると、非常にいい曲になっていく。そういうところが健一の作風にはありましたね。

田村 今回「HEAR ME NOW」で演奏したその2曲は、健ちゃんの突拍子のなさを、そのまま生かしたアレンジにしてみたんです。健ちゃんのデモテープの雰囲気がそのまま出てる。

石田 だってさ、俺が勝手に変えるわけにもいかないじゃん、了承も取れないしさ(笑)。

解散するつもりは今後もないです

──改めて、MOTORWORKSはお二人にとってどんな存在なのでしょう。

石田 僕にとっては“遅れて来た青春”っていう感じで、思いっきり楽しんでた場所ですね。僕の音楽人生の中で、かなり上位にある大事な存在……もしかしたら一番大切な存在がMOTORWORKSなのかもしれない。コピーバンドだった頃はまさか、そんな重要なものになるとは思ってなかったけど。でも、音楽を楽しむ純粋さと、各メンバーの作曲や演奏のスキル、いろんな要素が絶妙なバランスでブレンドされているのがMOTORWORKSなんだよね。

田村 何をやってもMOTORWORKSは新鮮だったし楽しかったし、発見があった。僕にとっても、スピッツと同じくらい重要と言うか。いまだにアルバムを聴いても、ライブのDVDを観ても楽しいしね。そういうバンドって、実はなかなかないということは、歳を重ねるごとに強く実感しています。

──今後、MOTORWORKSの活動はどうしましょうか。

石田 今後ねえ……やっとドラムが見つかったと思ったところだったから、今度またボーカルを探すの億劫だな(笑)。ただ、解散するつもりは今後もなくて。

田村 そうだね。と言うか、さっきも話に上がったけど、「解散」なんていちいち言わなくてもいいんじゃないかって、僕は常々思っていて。2014年の再始動もそうだったように、タイミングが合えばまたやるだろうし。そのときは石田くんが全部歌ったら?

石田 そう言えば熊本で地震があったとき、チャリティライブを開いて町田で3人で演奏してみたよね。そのときは健一の歌を僕が歌ったんだけど、まあ、キーが高くてびっくりしました(笑)。このままMOTORWORKSを3人でやるなら、僕はまず喉を鍛えないといけないな。

左から田村明浩(B)、石田ショーキチ(G, Vo)。
MOTORWORKS「BRAND-NEW MOTOR SHOW」
2017年12月6日発売 / ドリーミュージック
MOTORWORKS「BRAND-NEW MOTOR SHOW」初回限定盤

初回限定盤 [DVD]
特製オリジナル発泡プリントTシャツ付き
7560円 / MUBD-1080

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MOTORWORKS「BRAND-NEW MOTOR SHOW」通常盤

通常盤 [DVD]
4860円 / MUBD-1081

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収録内容

DOCUMENT SHOW:MOTORWORKS結成からのメンバー個々のインタビュー、レコーディング、撮影風景、全国ツアーのステージやオフショットなど秘蔵映像満載で綴る"1st period of MOTORWORKS"(65分)

LIVE SHOW:ツアー"BRAND-NEW MOTOR-SHOW" 東京公演2004年12月18日のSHIBUYA-AXの模様を収録(74分)

MOTORWORKS「MOTORWORKS ~COMPLETE BEST~」
2017年4月26日発売 / ドリーミュージック
MOTORWORKS「MOTORWORKS ~COMPLETE BEST~」

[CD2枚組]
3500円 / MUCD-1385

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Disc 1
  1. The Slide
  2. World One Sign
  3. ステレオ・ラヴ
  4. 氷の空
  5. Missing Piece
  6. F・A・T・M・L
  7. SPEEDER
  8. (A Place Where)Love Goes Withered
  9. コスモゼロ
  10. SATURDAY NIGHT
  11. The End
Disc 2
  1. (Love Is Like A)Heat Wave
  2. SPEEDER-English ver.-
  3. Reach Out I'll Be There
  4. Missing Piece-Unplugged Ensemble-
  5. 1-2-3-4 MOTORWAY
  6. プラスティック・ソング-Synthsizd Remix-
MOTORWORKS(モーターワークス)
MOTORWORKS
石田ショーキチ(G, Vo / SCUDELIA ELECTRO)、黒沢健一(Vo, G / L⇔R)、田村明浩(B / スピッツ)、堀宣良(Dr / ex. modern gray)が趣味のサークル的な感覚で2003年頃に始めたロックバンド。2004年に「SPEEDER」「Missing Piece」という2枚のシングルとアルバム「BRAND-NEW MOTOR WORKS」を発表し、全国ツアーを行った。翌2005年もライブDVD「BRAND-NEW MOTOR SHOW」とシングル「1-2-3-4 MOTORWAY」をリリースするも、個々の本業が忙しさを増したことにより活動を停止。2014年にサンコンJr.(Dr / ウルフルズ)を迎えて再始動し、ライブを5公演行うが、黒沢が闘病生活に入ってしまう。2016年12月に黒沢は脳腫瘍のため他界。2017年4月にアルバム「BRAND-NEW MOTORWORKS」のリマスター盤が発売され、12月にDVD「BRAND-NEW MOTOR SHOW」が再発された。