バラバラで自由で飽きない
──そこから1年8カ月経ち、今度はCDデビューすることになりました。それはリスナーの方にmono palette.というグループを評価されたことが大きいと思いますが、その点でいえば自分たちのどういうところが評価されたのか、自分たちの強みはどこなのか、自己分析するとどこだと思います?
あげいん これは欠点でも長所でもあると思うんですけど、全員性格やキャラクターがバラバラなんですよ。性格も考え方も方向性も、全員が全員違うベクトルなので、そこが面白くて。1人ひとりのキャラが立ってるので、誰を見ていても飽きない。
雪見 組み合わせによってもまた違う感じになるし。
Rim ライブも型にハマらずに自由にやっているので。ほかの方のライブだとMCとかを丁寧に、わりと当たり障りのないことしか言わないというか。でも僕たちはその場で思いついたことをリスナーさんとしゃべったりするので、そこの自由さもいいんじゃないですかね、やっぱり。
──それは友人関係から発展したグループだからできることかもしれないですね。
Rim そうですね。仲のいい男子高校生をただ見てるような距離の近さもあって、接しやすいんだと思います。
雪見 実際、仲がいいからね。コンピライブとかだと知らない人同士が初対面でライブに出たりするから、MCでギクシャクしちゃうこともあると思うんですけど、僕らはどんな会話をしたとしても盛り上がれるから。
デビュー曲は「まさか」のkemu曲
──これまでの活動ではカバー曲でライブや動画投稿などをしてきましたが、今回は初のオリジナル曲ができました。表題曲はkemuこと堀江晶太さんが作詞作曲を担当した「ロングタイムトラベラー」で、「不機嫌なモノノケ庵 續」のオープニングテーマとして使用されています。個性のバラバラな4人が1つの曲をデビュー曲として出すときに、「こんな曲がいい」というイメージはありましたか?
雪見 たぶん「ロングタイムトラベラー」ができる前だったらみんなバラバラなことを言っていた気もしますね。できあがったものは、すごく僕たちの中間っぽい感じはする。
3部 うん、「ロングタイムトラベラー」が上がってきたときに、「ああ、これや」っていう感はあった。
──みんなのイメージの重なる点だったと。
あげいん 堀江さんが曲を書く際に、今回いろいろと橋渡しをしてくれた事務員Gさんと打ち合わせをして、モノパレのことを「こういう子たちなんだよ」って伝えてくれて。堀江さんがそこから汲み取って、モノパレのことを歌詞にしてくれたんです。
──それはすごく伝わってきます。アニメのことは前提にあるはずだけど、ちゃんとモノパレとしての所信表明になっている。
あげいん 歌詞を読んだときにはグッとくるものがありました。曲に関しては、アニメの雰囲気にも沿っていかないといけないので「お任せします」っていう感じでしたね。和ロックみたいな感じで進めていきますねって言われて。
3部 和ロックって聞いて、もっと「和」の要素が強いのかと思っていたんですけど、シンセがちょっとそれっぽい音なくらいで、意外とさわやか系でした。
──ニコ動にはもっとバリバリの和テイストな楽曲もありますからね。
3部 そうそう、多いですもんね。
あげいん 楽曲が届いたときには、いい意味で堀江さんっぽくないなと思って。珍しい感じの曲調というか。
雪見 ギターとかベースは控えめだよね。
3部 そう。いつもはゴリゴリのバッキングにリードシンセが鳴ってっていう。
あげいん それが今回こういう曲が届いたので、すごくビックリしたし新鮮でした。
──堀江さんに楽曲提供を頼むこと自体は皆さんからの要望ですか?
あげいん 僕らのリクエストです。
雪見 kemuさんが最前線で活躍されていたのが、世代的にもみんな被っていた時期なので、もう満場一致というか。でも実際に受けてもらえると思ってなかったので「まさか」っていう感じでした。絶対にお忙しいじゃないですか。
あげいん ダメ元でお願いしたところはあったんですけど。
Rim そこをコロムビアさんと事務員さんがね? がんばってくださって!
一同 ありがとうございまーす!!
“歌ってみた”っぽく録れた
──そんな書き下ろし曲を歌うにあたってはどんなことを考えましたか。
雪見 ……ひたすら時間がなかった。
あげいん フルサイズで曲をもらってからレコーディングまでが本当にすぐで、詰め詰めの中だったので大変でした。
3部 歌いながらメロディを流してもらって覚えて、みたいな。
──瞬発力が問われますね。
雪見 幸い、“歌ってみた”でそこは慣れていたとはいえ、スケジュール的にはかなりカツカツでしたね。
あげいん 僕はレコーディングの前日にワンマンをやっていたので、もうクタクタで。
3部 ソファで死体になってました(笑)。
あげいん 声もガサガサだったので一度寝させてもらって、起きてすぐRECして。
雪見 最初がRimで、午前11時くらいからだったんですけど、1人だとしんどいだろうなと思って俺も同じ時間帯に行ったんですよ。で、終わったのが22時、23時くらいでした。
Rim 僕のサビが土台になるので、僕がまず完璧に歌い上げなきゃならないことになって。けっこう録り直して、大変でしたね。
──工夫したポイントを挙げるとすれば?
あげいん パート分けです。自分たちでやらせてもらって、メンバーの声がどこに合うかとか、掛け合いする箇所はこの2人がいいね、とか。それと、Dメロの合唱っぽいところは最初4人で合わせるだけだったんですけど、客席に振ることも想定したような合唱っぽくしたいですって希望を伝えて、コーラスを入れてもらいました。
雪見 フェイクのアレンジとかも考えたり、“歌ってみた”でよくあるように、たまたま思いついたアイデアみたいなものも入れられたので、いい意味ですごく“歌ってみた”っぽく録れたなっていう感覚はあります。だからわりと後半はリラックスして録れたかな。
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“歌ってみた”との違いは
- mono palette.「ロングタイムトラベラー」
- 2018年12月26日発売 / 日本コロムビア
-
限定盤 [CD]
1944円 / COCC-17546 -
通常盤 [CD]
1296円 / COCC-17547
- 収録曲
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- ロングタイムトラベラー
- アンダーカレント
- ID(あげいん×Rim) ※限定盤のみ
- PLATONIC GIRL(雪見×3部) ※限定盤のみ
- mono palette.(モノパレット)
- それぞれ動画投稿サイトで歌い手として活動している、あげいん、Rim、雪見、3部の4人からなる男性ボーカルグループ。2017年4月に結成された。ライブや動画投稿、生配信などを中心に活動している。2019年1月に放送開始となるテレビアニメ「不機嫌なモノノケ庵 續」のオープニングテーマ「ロングタイムトラベラー」で、2018年12月にCDデビューを果たした。