MeseMoa.がニューシングル「真逆の糸」をリリースした。
新時代への幕開けを華々しく表現した前作「平成パラダイムチェンジ」から一転、今作はシリアスな曲調に複雑な恋心を乗せて歌うダークなナンバー。切ない歌声や美しいハーモニーが聴き応えのある仕上がりとなっている。
ニューシングルの完成を記念して音楽ナタリーではメンバー9人に加え、MeseMoa.の旧名・むすめん。時代から楽曲を手がける作曲家・halyosyと、YouTuberでミュージックビデオを監督したぶんけいの総勢11人による座談会を実施。「真逆の糸」の制作エピソードやMVの見どころはもちろん、タッグを組むようになった経緯や共に作品を作っていくうえで感じることなどを語ってもらった。
取材・文 / 川倉由起子 撮影 / 曽我美芽
MeseMoa.に曲を書き始めたきっかけ
──まずはMeseMoa.の皆さんとhalyosyさんの出会いから教えてもらえますか?
二番煎じ 白服さんがもともと仲良かったよね?
白服 はい。お互いニコニコ動画で活動していたんです。
halyosy 白服さんは踊り手として“踊ってみた”、僕は歌い手として“歌ってみた”に投稿していて、お互いの動画をよく観ていて。あと、実は白服さんが生で踊ってるのを観たくて、むすめん。ができるよりずっと前に(白服が出演する)秋葉原のライブイベントに足を運んだことがあります(笑)。
一同 えー!
あおい ファンじゃん!
halyosy あはははは(笑)。その後、白服さんと連絡を取り合う仲になって、あるとき一緒にカラオケに行ったんです。
とみたけ どうでした? 幻滅しました?(笑)
halyosy いやいや。カラオケで「踊るから」って机をどかして、いきなり踊り出したのはびっくりしたけど。
にーちゃん ひえー!
あおい 白服さん、めっちゃアクティブ。
野崎弁当 で、何を踊ったの?
白服 確かPerfumeだったと思う。そのときから「いつか一緒にやりたいね」なんて話をしていて、あるとき、halyosyさんが試しに1曲作ってきてくれたんだよね?
halyosy うん。覚えてる。
白服 むすめん。として活動する前、僕がperfumenっていう3人組ユニットをやっていたときにPerfumeを意識したようなEDMっぽい曲を持ってきてくださって。クオリティがめっちゃ高くて、すごい!と思ったんです。その曲は結局世に出ることがなかったんだけど、むすめん。結成の際にぜひhalyosyさんに作ってもらいたいということでお願いして。
──そういう経緯だったんですね。
halyosy 僕も白服さんに「一緒に音楽をやりたい」とずっと伝えていて、そしたら「実はちょうど今、グループを組んで“踊ってみた”を投稿しようとしているんです」ってことで。「じゃあみんなで歌えるオリジナル曲を、よかったら作りませんか?」とお誘いいただいたのが最初でした。
あおい それが1stシングル「War Cry~アイドル気取りで何が悪い!~」か。
halyosy そう。でも最初は記念だったな。ノリというか(笑)。
──でもそれ以降、halyosyさんはMeseMoa.の専属作家のような立ち位置になっていて。
白服 はい。本当にいつもお世話になってます!
halyosy こちらこそ。ありがたいですね。
──白服さん以外のメンバーはhalyosyさんといつ出会ったんですか?
気まぐれプリンス ちゃんとお話させてもらったのは「War Cry~アイドル気取りで何が悪い!~」のレコーディングじゃない? ニコニコ動画ですごい有名な方やったんで、もちろん名前や活動内容は知っていましたけど。
野崎弁当 最初は緊張しましたねー。
halyosy え、そうやったん?
野崎弁当 はい。本当にすごい方だったんで……。
とみたけ “だった”?
野崎弁当 あ、今もですよ!(笑)
新曲はhalyosyからの挑戦状
──そこから6年以上の付き合いになりますが、MeseMoa.にとってhalyosyさんはどんな存在ですか?
とみたけ えーっと、マブダチ?
あおい パパ?
気まぐれプリンス ちょっと年上のお兄ちゃん?
あおい え、“ちょっと”かな……?
halyosy こんな感じでいつもイジられてます(笑)。
とみたけ でも本当にいつも受け入れ態勢がすごくて。どうイジっても受け止めてくれる安心感がある。
halyosy わははははは(笑)。
──halyosyさんの曲の魅力についてはどうでしょう? 自分たちのよさを引き出してくれるなとか、実感する部分はありますか?
気まぐれプリンス それはめちゃめちゃ感じます。
とみたけ halyosyさんの曲って、僕らのそのときの思いや今まさにぶつかっていることが歌詞に入ってて、必ずどこかに自分たちがいるなと感じるんですよ。意味が深いなって。
ノックソ あとは当て書きも多いなと思います。この人はこういう人やから、この歌詞を歌ってもらいたいとか。
白服 全体的なクオリティの部分でいうと、halyosyさんはとにかくこだわりがすごい。ほかの作家さんももちろんこだわってると思うんですけど、細かい音や歌詞までめちゃくちゃ気にして作り込んでくれているなって。だから、いつもデモ曲を聴く段階で、「あ、これはhalyosyさんの曲だな」ってすぐにわかる。
とみたけ halyosy節をすごい感じる。
halyosy ありがたい。ちなみに僕がびっくりするのは、振付師さんがどんな細かい音も聴き逃さずに振りを入れてくること。だから細部まで油断できない。
とみたけ メインの音じゃなく、裏のチャッチャッチャのリズムで振りを付ける、みたいな?
halyosy そう。「え、その音で?」みたいなことがけっこうあるんだよね。あと、MeseMoa.ではほかの楽曲提供するアーティストにはない作り方が1つあって、音源完成の最終コーナーまで来たタイミングで1回メンバーが振り入れをした動画をもらって、音と映像にズレがないか確認する作業がある。
MeseMoa. へえー!
halyosy 「このときにフォーメーションがバーっと広がってるな。ここは大事な音なんだ」と思えば、そこをブラッシュアップしたり。だから、曲の完成はパフォーマンスを作っていくのと同時進行だったりします。
にーちゃん なんか感動した。そこまでこだわってくれているんだ。
とみたけ しかも毎回本当にいい曲! いつも余裕で前作を超えてくる。
にーちゃん halyosyさんの曲は、個人的にフレーズの繰り返しが多いのが特徴的だなと思っていて。そのキャッチーさが耳に残る。
フォーゲル しかも最近は「こういうのにも挑戦しない?」っていうメッセージみたいものを楽曲から感じる。だから新しい曲が来るたびワクワクするし、僕らもステップアップさせてもらってる感覚が大きい。
気まぐれプリンス いい意味で試されてる、みたいな。
halyosy すごくうれしい。こうやって面と向かって感想を言ってもらう機会ってあまりないから。
──halyosyさん的にも、MeseMoa.に挑戦状を送っている感覚はあるんですか?
halyosy そうですね。ライブを観るたびにみんなのスキルがアップデートされて、「じゃあ次はこういうのをやれるかも」って、曲に反映することもあります。例えば以前、ミュージカルでみんなが演技をしながら歌ったり踊ったりするのを観たときにハーモニーがすごくキレイな曲があって。こんなに9人の声を生かしたコーラスができるんだと驚いて、それを生かそうと思って作ったのが「オーロラ曲技団」や「パシフィック展望台」になりますね。
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「真逆の糸」の始まりは「暗いものを作りたい」