ミームトーキョーの1stアルバム「MEME TOKYO.」がリリースされた。
MEW、RITO、SAE、SOLI、MITSUKI、NENEの6人で構成されるミームトーキョー。SOLIは韓国在住のため日本国内でのライブには出演せず、リモートでレコーディングやミュージックビデオ撮影に参加してきたため、長らく他メンバーと対面する機会がなかった。「SOLIとともに6人でライブがしたい」──そう願ってきたメンバーの思いは、昨年11月のワンマンライブ「MEME NIGHT FEVER Vol.2」で実現。さらに6人は大阪、東京、沖縄を回るライブツアー「未夢東京-IDOL MORATORIUM-」を行っている。
音楽ナタリーでは「未夢東京-IDOL MORATORIUM-」東京公演のため来日したSOLIを含む6人にインタビュー。ツアーにまつわるエピソードや、これまでの活動の集大成と言える「MEME TOKYO.」への思いを聞くと、6人がミームトーキョーでいることへの強いこだわりが見えた。
取材・文 / 蜂須賀ちなみ
ミームじゃなかったらアイドルをやらない
──前回のインタビューではSOLIさんにリモートで参加してもらいましたが(参照:世の中に見つからないのはもったいない、ミームトーキョーが放つ衝撃のシングル「アニモア」)、今は1月20日のライブ(「未夢東京-IDOL MORATORIUM-」東京・Spotify O-WEST公演)に向けて来日中のため、6人全員がそろっています。昨年11月には6人での初めての有観客ワンマンライブがありましたし、前回RITOさんが言っていた「6人でライブがしたい」という思いを叶えることができましたね。
RITO 本当によかったです。
NENE RITOさん、SOLIちゃんと初めて会ったとき、泣きそうだったよね。
RITO そう。目を合わせると感極まってしまうので、なかなか合わせられなくて。
MITSUKI 予定より早くSOLIちゃんが来日できたので、実感が湧かないまま会うことになったんですよ。妖精さんに会っているみたいな、ふわふわした感覚で。私、帰りの電車でSOLIちゃんと一緒になると、いまだにドキドキしちゃう(笑)。
SOLI ホント?
──初めてメンバーと会ったときは緊張しましたか?
SOLI 意外としなかったですね。
NENE 5人で出演するライブの楽屋で初めて会ったんですけど、MEWちゃんとSAEちゃんが空港まで迎えに行ったんだよね。
MEW そうそう。
SAE ドキドキしながら2人で空港に行きました。入国審査がちょっとバタバタしちゃってたんですけど、私たちがお手洗いに行っている間にちょうど審査が終わったみたいで、「あれ? SOLIちゃん!」という感じで急に対面して。画面越しでずっと見ていた子だから、「本当に実在してるんだ!」と思いました。
──そこから移動して、すぐにライブだったんですね。
SOLI はい。時間がなくてバタバタしていたので当日のことはあんまり覚えていないんですけど、ライブを見終わって、ホテルに帰って、1人になったときに思いがあふれてきて泣いちゃいました。
NENE SOLIちゃん、日本に来るちょっと前まですごく悩んでたんですよ。
SOLI そう。ライブにもずっと出られなかったし、アイドルらしい活動ができていなかったから、自分がアイドルだって言える自信もなくて……それだったら辞めたほうがいいんじゃないかと思ったんです。だけど来日して、みんなと練習したりライブをしたりしているうちに「やっぱりアイドルって楽しいな」という気持ちになって。
RITO 「辞めたほうがいいのかな」と言われたとき、みんなで必死に止めました。「行かないで!」って。SOLIちゃんは、ミームじゃなかったらアイドルをやらないっていう考えなんですよ。
SOLI そうですね。
RITO だから「本当は続けたい気持ちがあるんだろうな」と。日本に来てくれたときにみんなで直接話すことができて、SOLIちゃんのミームに対する愛がすごく伝わってきた。だから6人でいたいなという気持ちを再確認できたし、より結び付きが強まった感じがしました。
ミームにしかない強みを見つけたい
──現在は大阪、東京、沖縄を回る「未夢東京-IDOL MORATORIUM-」を開催中ですが、MITSUKIさん、NENEさんは沖縄出身なんですよね。
MITSUKI 凱旋公演、こんなに早く叶うとは思わなかったです。
NENE “凱旋”という言葉に馴染みがなかったので、この前みんなで調べたんですよ。
MITSUKI なんだったっけ? 戦いのあとに……みたいな感じだったよね?
SAE 戦いで成果を上げてから地元に帰ってくる、みたいな。
NENE 「成し遂げられてるな」っていう感覚は確かにあります。メジャーデビューしたし、私たちを知ってくれている人もいっぱいいるし。だからこそ「沖縄に新しい文化を上陸させるぞ!」みたいな気持ちです。おじいさんもおばあさんも赤ちゃんも「イェーイ!」ってノレるくらいのライブがしたいし、できると思うから。
MITSUKI うんうん。
NENE ライブを観に来てくれる方が「いいな」と思って、ミームを広めてくれたらいいですね。地元の人たちにライブを観てもらえるのはすごく楽しみです。
──ツアーではユニット曲やソロ曲も披露するんですよね。
NENE そうなんです。沖縄では私とみつきち(MITSUKI)のユニット曲「Melt」をやるんですけど、みつきちから送られてきた長い文章を私が歌詞にまとめて作った曲で。
MITSUKI 日記やTwitterの下書きに吐き出した言葉たちがいっぱいたまっていたので、それをNENEちゃんに歌詞にしてもらったんです。
NENE RITOさんはソロ曲の歌詞を自分で書いたんですけど、今回のツアーに向けてプロデューサーの方と「こういう音楽がやりたい」とディープに話す機会があったんです。自分たちの個性が出たソロ曲、ユニット曲になっていると思います。
──ミームトーキョーはライブのたびに新しいことに挑戦している印象があります。自分たちにハードルを設けることでレベルアップしていこうという姿勢を感じるというか。
RITO 正直「ミームトーキョーの一番の強みはなんですか?」と聞かれても、今の自分たちではうまく答えられないんですよ。個性的だとか、それぞれパフォーマンスがうまいとか、もちろんいいところはいろいろあると思います。だけどそういうものじゃなくて、もっと深い、自分たちにしかないよさにまだ気付けていない気がしていて。多分、そういう強みを見つけ出したいんだと思います。みんなどこかでそう思っているからこそ、ハードルを作って、次のライブへ気持ちを持っていくようにしているんじゃないかと。
──なるほど。
RITO 周年ライブも、6人が初めてそろったライブもそうでしたけど、ファンの皆さんへ感謝を伝えるライブは今までしっかりやってきたと思うんですよ。だけど「これからの決意」を込めたライブをまだやったことがなくて。そういう表現は覚悟がないとできないんですけど……自分がでんぱ組.incと兼任していることで、わしとSOLIちゃんがいない4人でのライブになってしまうときでも、ミームというグループは強さを持ったままでいるし、ユニット曲やソロ曲ももらえるようになって、「自分たちは上に行きたいんだ!」という気持ちが今すごくあるので。強い意思をみんなに伝えられるようなライブをしていけたらいいなと思っています。
──ちなみに、前回のインタビューで「世間に見つけてもらいたい」「ヤバいやつらがいると噂になりたい」と言っていましたが、現時点での手応えはいかがですか?
NENE 対バンをしたあとにエゴサをすると「初めての人にも興味を持ってもらえているな」と感じるし、ウ山あまねさん、海猫沢めろんさんのようなカルチャー色の強い人たちが曲を作ってくれているからこそ、音楽が好きな人たちが新しくファンになってくれているなとも思うんですけど……もっと欲しいかも(笑)。
あえて再録はしなかった
──今回リリースされる1stフルアルバム「MEME TOKYO.」は、インディーズ時代の曲から最新曲までを網羅したベスト盤のような内容なので、ミームトーキョーに興味を持ち始めている人にも手に取ってもらえるといいですね。
RITO 「これを聴いたらミームの歴史が一発でわかる!」みたいな。このアルバムって進研ゼミなんです(笑)。ミームを学ぶための教育講座。
MEW・SAE・SOLI・MITSUKI・NENE あはははは!
──これまでの歩みが詰まっているということは、アルバム完成後の今、皆さん自身もさまざまなことを感じているのでは?
RITO そうですね。結成から今に至るまでメンバーが入れ替わったりもしたんですけど、前のメンバーがいた頃の曲もあえて再録せずにそのまま収録しているんですよ。
SOLI 私が活動を休んでいる間にでんぱ組.incからぺろさん(鹿目凛)がサポートメンバーとして入ってくれていた時期があるんですけど、そのときの曲もそのまま入ってます。
──「メランコリックサーカス」と「レトロフューチャー」ですね。
RITO 移り変わってきた歴史が全部ここに残っているのは素敵だなと思いますし、もちろんうまくいかなくて悩んだこともあったけど、このアルバムを聴いたときに「何ひとつ無駄なことなんてなかったんだな」と感じました。
SOLI うんうん。私たちにも闇を抱えていた時期があったかもしれないけど、そういうものがあったからこそ今のミームトーキョーが完成したので、全部隠さずに出していて。
MEW アルバムリリースの発表をしたときに、ファンの方々から「今のメンバーの声で聴きたい」という意見もいただいたんですよ。だけどそのまま出すことに意味があると思っていて。今までいたメンバーの声もちゃんと入っているアルバムにできてうれしいし、途中でミームトーキョーを好きになってくれた人たちにも今までの歴史をちゃんとわかってもらえるアルバムになっていると思います。
SOLI 歴史が全部詰まっているからこそ、「ここからがまた始まりだ」という気持ちもありますね。
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「メテオ蜃気楼」は“少年”っぽい