MAYSON's PARTYらしさとは？

──では、このアルバムを通して皆さんが感じた「MAYSON's PARTYらしさ」ってどういうところでしょう？

AYATOMO　僕1人で全曲書くのではなくて、SAKIが書いている曲、MIKIちゃんが書いている曲があって、しかもそれぞれがメインで歌っている曲が1曲ずつ入っている。このトリプルボーカル編成で、ボーカルの3人が曲を作っていることでバラエティに富んだアルバムになる。そこがやっぱり強みであり、らしさになってるかな。さらに、今まではお客さんと一緒に楽しむための曲が多かったけど、今回はそこからさらに一歩踏み込んで、よりメロディを大事にしたりメッセージ性を大事にしたりすることもできた。そういう意味では、今までの経験があったからこそ到達できた「MAYSON's PARTYらしさ」なのかなと思います。

SAKI　確かに今回のアルバムはバラエティに富んだ曲がそろっていて。「NOW WE GO」はギターのカッティングで始まるアッパーチューンだし、「UNITE&SKA」はオーソドックスな王道スカだし、MAYSON's PARTYってなんでもできるバンドやなと思いました。どんな要素を入れたとしてもうちらの色にしちゃえるのがらしさなのかな。あとは、AYATOMOの言うようにトリプルボーカルも強みですし、メッセージ性を強めた曲も増えていますね。そうやっていろんな要素を取り込んでいく、ある意味スカミクスチャーっていうか、そういう強みがうちらにはあるのでは、と気付けたアルバムですね。

MIKI　「PARTY4YOU」の時点ですでにバラエティ豊かな楽曲が多いバンドだと自負していたけど、今はやりたいことを表現できる技術がさらに身に付いたので、作る側として要望を叶えてもらいやすくて。それによって、今の自分たちが軸にしたいと思っているトリプルボーカルだったり新しい要素が映えて、もともとやっていたことがもっと濃くなったのが今回のアルバムだと思うんです。前のアルバムまでは猪狩がジャッジしてくれて、猪狩の風味も入っていたからこそのよさもありましたが、今回は自分たちだけでジャッジするからこそ自分たちらしさを見つめ直し、理解した結果、より濃厚なMAYSON's PARTYらしさを提示できたのかもしれないです。なので、そういう視点で「PARTY4YOU」と「GO」を聴き比べてみても面白いんじゃないかと思います。

──おっしゃるように「PARTY4YOU」の時点でバラエティの豊かさはもちろんありましたが、今作は1曲1曲がよりディープな方向に突き詰められている印象が強くて。だからこそアルバムとして聴いたときの緩急の差がより激しくて、トータル23分とは思えないほどの濃密さが味わえるのかなと思いました。メロディも一度聴いただけで口ずさめて、一緒に歌いたくなるものばかりですし。

AYATOMO　おっしゃるようなことを目指していたので、そう感じてもらえて本当にうれしいです。今作はライブで踊りたくなることは大前提として、加えてテンポはさまざまながらみんなで声を上げてシンガロングをしたくなる、そういう曲がズラッと並んでいると自負していて。単純な「ウォー」とか「イエーイ」とかのシンガロングだけじゃない、みんなで歌いたくなるメロディ作りはかなり意識したので、まさに狙い通りですね。

──個人的には「Gold Desire」から「PUNK ROCK BOMB」の流れが大好きで。

SAKI　そのへんは聴いた方からの人気が高いですね。

AYATOMO　今までのMAYSON's PARTYにあまりなかった一面も、軸から外れすぎずに出せたらなと考えていたので、「Gold Desire」あたりではしっかり表現できたのかなと思います。

MOE（Tb, Cho）

MAYSON's PARTYが伝えるべきメッセージとは？

──歌詞のメッセージ性に関してはいかがでしょう？ 以前と比べて変化はありましたか？

AYATOMO　それこそ「PUNK ROCK BOMB」みたいに、自分の人生を切り取った歌詞があるのは今作の特徴かもしれません。この曲は僕が中高生の頃に兄貴の部屋からCDを借りてパンクロックに出会ったという内容なんですけど、リアルな人生観とか人間性をもっと出してみたかったんです。前作EP「3-SUN-」に入っている「Apple Orange Banana (A.O.B)」みたいにノリや勢いを重視した曲も必要ですけど、バンドとしてさらに一歩前進するうえでは僕たちの人間性や人柄が伝わる曲も作るべきなのかなと。さっきの「MAYSON's PARTYらしさ」じゃないですけど、MAYSON's PARTYにとって伝えるべきメッセージについて考えた結果がこういう歌詞に表れているんじゃないかなと思います。

──今作は「Rachel」のようにストーリー性の強い歌詞も印象的です。

AYATOMO　「Rachel」はMIKIちゃんが作った曲なんですよ。

MIKI　僕はスカも好きなんですけど、ポップパンクもすごく好きで。そっちのジャンルの人たちってこういう人物名がタイトルに付いた曲が多くて、自分もいつかそういう曲を作ってみたいと思っていたんです。で、この曲のギターリフやコード進行がある程度固まってきたところ、歌詞について「何かメッセージ性の強いものというよりは、小説や物語のような歌詞にしたい」と考えるようになって。自分の実体験や思い出話も交えながら、受け手の感覚で答えが変わるようなニュアンスの歌詞を書いてみました。

──いろいろな挑戦が詰まったアルバムですが、「Daydream Believer」のカバーもメイソンズにとって新しいチャレンジですね。

AYATOMO　僕は以前から「Daydream Believer」をカバーしたらどうかなと思っていたんです。スカアレンジでカバーするとサウンドが華やかになるので、今回そういうカバーを1つは入れたいという話が出たときにこの曲がピンポイントで頭に浮かびました。

──The Monkeesの原曲をベースにしつつ、途中でTHE TIMERSによる日本語カバーのフレーズも取り入れたアレンジにびっくりしました。

SAKI　MAYSON's PARTYとしては初の日本語詞ですからね。

AYATOMO　日本のリスナーからしたら、この日本語詞のカバーのほうがスタンダードですし。

PON（T.Sax）

2025年は「GO」を携えて前に前に

──ここまでいい曲、個性的な曲が多いと、リスナーの中でも好きな曲が割れそうですよね。

SAKI　確かに。

AYATOMO　僕は基本的にメジャーキーの曲ばかり書くんですけど、SAKIはマイナーキーの曲が多かったりと得意な音楽性もそれぞれ違うので、聴いてる人の中でも僕の曲が好きという人とSAKIの曲が好き、MIKIちゃんの曲が好きという人に分かれるかもしれないですね。

SAKI　聴き込んだら「これはAYATOMOの曲だな、これはSAKIだな」みたいに、誰がどの曲を書いたか気付きますよね。

──この充実作とともに、2025年はいいスタートが切れそうですね。ここからどんな1年にしていきたいですか？

AYATOMO　MAYSON's PARTYはこつこつと全国を回ってちょっとずつお客さんを増やしてきたバンドなので、それを継続しながら現場でしか勝ち取れないチャンスを増やすことを目標にがんばっていきたいと思います。

SAKI　今年は問題を見つけたらすぐに解決することを目標にしようと思っています。こうしたいと思った瞬間に行動に出てみるとか、とにかくいろんな挑戦をしたくて。今回の「GO」もそうですけど、前に前に進みたいという気持ちがすごく強いし、それを着実に何かにつなげていきたいので、細かいところとか見逃してしまいそうなところをじっくり見つめてやっていきたいですね。

MIKI　やること自体はこれまでとあまり変わらないと思うんですけど、今はそこに対して向き合う姿勢とか自分たちが見せられる景色が明らかに違うものになってきた。だからこそ、いろんな責任や覚悟を持って活動に臨んで、よりたくさんの笑顔が見られたらいいなと思ってます。

MAYSON's PARTY