1人でも欠けたら今の僕たちはいなかった
──2021年以降は毎年新作のリリースがあり、2023年6月には1stフルアルバム「PARTY4YOU」が発表されました。2024年には大型フェスへの出演が相次ぐなど、MAYSON's PARTYの名前を目にする機会がどんどん増えました。バンドとしての歯車がうまく回り始めた印象もありますが、皆さんの中でここまでの手応えはいかがですか?
AYATOMO おっしゃるように、今まで出たことがなかったようなフェスやイベントにも出演させてもらえていることで、メンバーのテンションも確実に高くなっていますし、着実にステップアップできている実感もあるんですが、僕らが目指してるところとしてはまだまだ満足できない部分もあって。ここからもっと大きな壁もあるだろうし、それを乗り越えていかなきゃいけないので、地に足をつけつつもっと高みを目指したいなと思っています。
MIKI 自分たちからすると、前のバンドのときは「京都大作戦」とか「VIVA LA ROCK」みたいなフェスにマジで引っかからなかったんですよね。もちろん目指していたし、どうにかしたいともがきながらリリースやツアーを重ねていたはずなんですけど、今ほどの手応えや「今、調子いいんじゃない?」って思う瞬間がそう多くなくて。今は本当にありがたいことに、リリースやツアーを重ねる中でどんどん広がりが感じられるようになったし、周りからかけてもらう言葉の量や質も変わってきました。でも、もっとやらなきゃいけないこと、やれることがあるんじゃないかと再認識できたのが、ちょうど2023年から2024年にかけてだったんです。なので、今度のアルバムとともにまだ見たことのない景色を見に行くのがすごく楽しみです。
SAKI 私は今になって改めてバンドを勉強しているところといいますか。ORESKABANDの頃は大人が敷いたレールに乗っかっていれば……と言ったら言葉は悪いかもしれないですけど、いろんなスタッフさんのおかげですごいバンドさんと一緒にやらせていただけていた。そういう意味では「自分たちで勝ち取ったぞ!」みたいなうれしさは薄かった気がしますし、だからこそ今は「じゃあ勝ち取った場所でどんなライブするのか? それに対してお客さんはどんな反応をするのか?」と意識するようになりました。いろんなことを学びながら次につなげているところです。
──皆さん年齢的にもキャリア的にも、下手するとベテランの域に入っていても不思議じゃないのに「次世代SKA / PUNKシーンの超新星」っていうキャッチコピーを掲げているのが印象的で。
一同 (笑)。
AYATOMO ずっと新人ぶってるんですよ(笑)。本当に古いやり方かもしれないですけど、僕らは全国をこつこつ回って「お客さんの数が2人、3人と増えてきたな」と徐々に感じながら今に至っているわけで。それもこの7人のメンバーとこのレーベルじゃなかったらできていなかったと思うし、この仲間たちと地道にがんばってきたからこの結果につながっているという自信もあります。そこが前にやっていたバンドとは全然違うところで、1人でも欠けたら今の僕たちはいなかったんじゃないかな。だから、これからもチームプレイを重視してやっていけたらなと思います。
すごい量の曲とさよならした
──ここからは2ndフルアルバム「GO」について伺っていきます。タイトル含め、まさに今のバンドの勢いが伝わる内容だと思います。
AYATOMO ありがとうございます。あと、1st EP「ONE」(2022年発表)から数えて5枚目のCD作品というところにもかかっているタイトルなんですよ(笑)。
──なるほど(笑)。昨年6月発売の2nd EP「3-SUN-」同様、今作もセルフプロデュースで制作されたそうですが、猪狩さんのプロデュースを経てこの2ndアルバムをどんな内容にしたい、どんな音を届けたいと考えましたか?
AYATOMO まさに前々作のフルアルバム「PARTY4YOU」まで猪狩くんプロデュースという一連の流れがあって、そこを卒業して自分たちでやろうとなったときに、自分たちのオリジナリティや「MAYSON's PARTYらしさ」を出すことを特に意識しまして。そこにプラスして、猪狩くんから学んだアレンジ術を生かしながら自分たちの内面やバックグラウンドをより濃く表現できたらと考えて制作に臨みました。
SAKI このアルバムに向けては、めっちゃ曲を作りましたね。この3人でハゲそうになるぐらい作ったんですけど、とにかくメロディのいい曲を作ることを目標にしていて。自分の中ではいいメロディだと思っていたものが、2人に聴かせると「ふーん」みたいになるときもあって、何が正解なのかわからなくなるところを潜り抜けながら書き続けたんです。そういう意味では、音楽にめちゃくちゃ向き合った制作期間でした。しかも、曲やアレンジのジャッジとか猪狩さんがレコーディング中にやってくれていたことをメンバーで全部やらないといけないし、「そのスネアの音が嫌だ」とか「こっちがいい」とかそういうのを猪狩さんはどうやって伝えてたかなと思い出しながら作り上げていった感じですね。
MIKI 確かに、猪狩がプロデュースしていたときは、彼がサウンドやフレーズなど細かい部分も含めて聴いてくれて、気にしてくれて、考えてくれて、最終的にジャッジして決まっていったんですけど、今度はそれを全部自分たちでジャッジしていかなきゃいけない。ただ、当時からベーシックな部分というか「ここは気にしとけよ」っていうところをみんな教えてもらっていたんですよね。なので、自分たちでも意識できるようになってたけど、そのべーシックからどこまで自分たちの幅を持たせるかというところの部分に、きっと自分たちらしさを盛り込めるんじゃないかな。そこに気付けたのも以前の経験があったからこそですね。
──自分たちのことを客観的に見てジャッジするって、すごく難しいことですものね。
SAKI めちゃめちゃ難しかったです! 何が正解かわからなくて、パニックになりましたから。
MIKI 「これでいいんだっけ?」って堂々巡りが始まるし(笑)。
SAKI 決まらなければ「これでいいんだっけ? いいよね?」って決めつけたくなるし。
AYATOMO 自分たちが作った曲はどれもかわいいので、いいんじゃないかなって錯覚する部分もあったり。
SAKI なので、できる限り厳しくジャッジしました。
MIKI それぞれ、ちゃんとボツにされた曲もあるしね。
SAKI すごい量の曲とさよならしました(笑)。
MIKI しかも、今回は制作に費やせる時間が普段より少し短くて。僕たちとSouthBell社長とで「じゃあ来週までに何曲ね」と話し合って、翌週には「じゃあ今度は次の週までに何曲!」と常に課題を出し合っては3人で曲を作ることの繰り返しだったので、なかなか大変でした。
SAKI ちょっと学校の課題みたいで大変でしたけど(笑)、楽しくもありましたね。
AYATOMO その中で、どういう楽曲がMAYSON's PARTYらしいかなと見つめ直すことはできたので、それは本当によかったなと思います。
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MAYSON's PARTYらしさとは?