May J.|愛すべき映画音楽に詰め込んだ4年間の集大成

同時録音のときって、いつもすごいマジックが起きる

──逆に、洋楽の曲はしっかりと歌い上げる曲がそろっていて。

そんな曲がほとんどになっちゃいました(笑)。

──洋画と邦画、その差も面白いです。「どちらのほうが歌いやすい」みたいなことはあるんですか?

どちらも難しいです! パワフルに歌うのも難しいし、日本語は日本語で言葉の深みを出さなきゃいけないし。両極端ですよね。

──なるほど。レコーディングについてもお話を伺いたいです。

今回はバンドと同時録音した曲もいくつかあるんですが、同時録音のときって、いつもすごいマジックが起きるんです。みんなと一緒に緊張感のあるスタジオの中にいると、「間違えちゃダメだ」というのはもちろん「一瞬一瞬にすごく気持ちをこめて歌うんだ」っていう気持ちにさせてくれるんですね。だからだいたい3テイクまでで決まる。バンドと一緒だと「そう来たか、じゃあ自分はこう行くぞ」というようなセッション感が出せるので、それがすごく楽しいですね。「Another Day of Sun」「Listen」「I Will Always Love You」と「深呼吸」「君をのせて」「月のしずく」も同録だし……けっこう多いですね(笑)。

──また、「Another Day of Sun」にはMiracle Vell MagicさんとBeverlyさんのお二人が参加されているんですよね。

May J.

そうなんです! ベルちゃん(Miracle Vell Magic)はプライベートでも仲良しだし、Beverlyちゃんはイベントで一緒になることが多くて、誕生日も同じ(笑)。で、ベルちゃんとBeverlyちゃんも仲がいいんです。みんなインターナショナルなバックグラウンドを持っていて英語がしゃべれるし、この曲は早口の英語が難しいけれど、2人は完璧で、さすがでした。この曲、原曲ではものすごく多くの人がいるように聞こえるレコーディングの仕方をしているので、3人でブースに入って、いろんなテンションで録ったんです。たくさんの人数感を出せるように工夫して「じゃあ今からおばさんになるよ」って言っておばさんの声で歌ったり、男性になって「ハハハー」と歌ったり、酔っ払いになったりとか(笑)、ホントに楽しかったですね。

──お二人とも明るいですしね。

そうなんです、なんでも一緒にやってくれてうれしかったなあ。

──ちなみに劇中歌を歌うときって、やはり“演者”として表現しているのでしょうか?

そうですね。その曲の主人公になりきって歌うことを意識するんですけど、でもどうしても現実的じゃなくて感情移入しづらいものもあるので、そういうときには自分の言葉になるように……例えば、その1行を自分の経験に置き換えて考えるんです。「ここはあのときに感じたあの気持ち、ここはあのときこうなった思い出」と、無理矢理自分の過去に照らし合わせるようにして。1行1行シーンを変えることもあります(笑)。

──かなり緻密ですね。

そうじゃないと、自然な言葉にならないんですよね。言葉って、必ず理由があって発するものじゃないですか。その流れが固まらないまま発してしまうと、自分の言葉じゃなくなってしまうので。「どうしてその言葉を発したのか」という理由を自分なりにしっかりと考えて歌うことを意識しています。

4年間の積み重ねが1つの作品として出し切れた

──今回カバーした16曲の中で、May J.さんが特に思い入れのある曲はどれでしょうか?

May J.

難しいけれど、「Never Enough」は映画館で観た瞬間から歌いたい気持ちが押さえられなかったので、今回歌うことをすごく楽しみにしていた曲ですね。ポップスなんだけれどオペラの要素が入っていて、ロングトーンで聴かせるところがたくさんあったりだとか、曲自体のパワフルさをすごく感じて。「この曲に挑戦したい」と思ったし、私が今やりたい音楽がこの曲に詰まっていたんです。

──May J.さんが今やりたい音楽とは、どんな音楽なんでしょう?

弦楽器が入っていたり、オペラの要素が入っていたりする音楽ですね。フルオーケストラの空気感が反映されているものと言うか。この曲には、それが詰まっていたんです。

──2枚組で聴き応えのある作品になりましたが、May J.さんにとってこのアルバムはどんな1枚になったでしょう。

そうですね……やりたかったことを実現できた1枚と言いますか。4年間の積み重ねが1つの作品として出し切れたんじゃないかなと思いますね。

次の10年に向けて「もっとやれることがあるんだ」と

──今回のアルバムに付属するBlu-ray / DVDには、東京文化会館で行われたフルオーケストラコンサート「billboard classics May J. Premium Concert 2017」の模様が収録されますが、この公演を振り返ってみての思いを教えていただけますか。

すごい機会をいただけたことが本当にありがたいと思います。フルオケで単独公演なんてなかなかできることではないと思うんです。でもずっとやりたかったことだったし……披露した曲の中には、生音で録っていない曲もあるんですよ。打ち込みで作った曲をフルオケで再現するとなったとき、また全然違ったアレンジになって「こんなふうになるんだ!」と新鮮だったし、私のまったく新しいステージを見せられたと思います。それがすごく楽しかったですね。「普段とは違うこともやってみたい」と感じることも多々あるんです。その思いをここで発散したことで……デビューから10年経ちましたけど、また次の10年に向けて「もっとやれることがあるんだ」と先が見えたようなライブでした。

──会場に足を運びましたが、May J.さんのポテンシャルが全開で放出されている感じがとても気持ちよかったです。フルオケとのコラボはMay J.さんのライフワークになっていきそうですか?

まさに。私、こういう楽しいことを1つ見つけるともっと追求したくなるんです(笑)。もっとオーケストラともやりたいですし……あと、ツアーが7月から始まるんですが、今回はバンドに加えて弦楽四重奏も入って、より美しい音のハーモニーが届けられるようになったので。これもまた新しい挑戦です。

──ツアー公演はどんなステージになりそうですか?

30歳になって初めてのツアーなので、今までにない大人っぽい雰囲気が出せたらと思います。音の面はもちろん、衣装や……あと髪も切ったので(笑)、何もかも新しくなるかなと思います!

May J.
May J.「Cinema Song Covers」
2018年7月25日発売 / avex trax
May J.「Cinema Song Covers」2CD+Blu-ray(BOX仕様)

[2CD+Blu-ray(BOX仕様)]
12960円 / RZCD-86606~7/B

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May J.「Cinema Song Covers」2CD+DVD

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7020円 / RZCD-86608~9/B

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May J.「Cinema Song Covers」2CD

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3780円 / RZCD-86610~1

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CD収録曲

DISC 1

  1. Another Day of Sun(with Miracle Vell Magic & Beverly)
  2. Listen
  3. Never Enough
  4. My Heart Will Go On / 宮本笑里 feat. May J.
  5. I Will Always Love You
  6. Calling You
  7. I Dreamed A Dream(new vocal)
  8. Time To Say Goodbye

DISC 2

  1. ひまわりの約束
  2. 深呼吸
  3. 瞳をとじて
  4. 月のしずく
  5. 君をのせて
  6. 無限に広がる大宇宙

SPECIAL TRACKS

  1. ロンド
  2. 絆∞Infinity
Blu-ray / DVD収録内容

billboard classics May J. Premium Concert 2017 ~Me, Myself & Orchestra~ at Tokyo Bunka Kaikan 2017.11.5

  • Sparkle -輝きを信じて-
  • ふたりのまほう
  • I Will Always Love You
  • Time To Say Goodbye
  • 母と娘の10,000日 ~未来の扉~
  • 本当の恋
  • Have Dreams!
  • 異邦人
  • Faith
  • I Dreamed A Dream
  • My Heart Will Go On
  • So Beautiful
  • Garden
  • RAINBOW
  • SIDE BY SIDE
  • My Star ~メッセージ~
  • Let It Go
  • ※副音声収録「橋本さんと愉快な仲間たちによるオーディオコメンタリー」(Blu-rayのみ)
ライブ情報
May J. Tour 2018 -Harmony-
  • 2018年7月28日(土)埼玉県 パストラルかぞ
  • 2018年8月12日(日)千葉県 八千代市市民会館
  • 2018年8月18日(土)長野県 大町市文化会館
  • 2018年8月25日(土)山形県 天童市市民文化会館
  • 2018年8月26日(日)福島県 とうほう・みんなの文化センター
    (福島県文化センター)
  • 2018年9月1日(土)大阪府 Zepp Namba
  • 2018年9月9日(日)愛知県 Zepp Nagoya
  • 2018年9月16日(日)東京都 Zepp DiverCity TOKYO
May J.(メイジェイ)
May J.
日本、イラン、トルコ、ロシア、スペイン、イギリスのバックグラウンドを持ち多彩な言語を操るマルチリンガルアーティスト。幼児期よりダンス、ピアノ、オペラを学び、作詞、作曲、ピアノの弾き語りもこなす。2006年7月にミニアルバム「ALL MY GIRLS」でメジャーデビュー。2014年には大ヒットを記録したディズニー映画「アナと雪の女王」の日本版主題歌「Let It Go ~ありのままで~」を担当し、同年の「第65回紅白歌合戦」に出場した。2015年1月には自身初となる東京・日本武道館の単独公演を開催。2017年5月に八代亜紀をコラボ相手に迎えた10枚目のシングル「母と娘の10,000日 ~未来の扉~」を発表した。10月25日には約3年ぶりとなるオリジナルアルバム「Futuristic」をリリース。11月に東京・東京文化会館にて自身初のフルオーケストラコンサートを開催する。2018年7月には映画の主題歌を集めたカバーアルバム「Cinema Song Covers」を発表。