May J.|愛すべき映画音楽に詰め込んだ4年間の集大成

May J.が7月25日にニューアルバム「Cinema Song Covers」をリリースする。

彼女にとって4枚目のカバーアルバムとなる本作は、映画音楽をテーマにした作品。「ラ・ラ・ランド」の「Another Day of Sun」や「グレイテスト・ショーマン」の「Never Enough」、「STAND BY ME ドラえもん」より「ひまわりの約束」など、洋画と邦画からセレクトした楽曲全16曲を2枚のディスクにそれぞれ分けて収録し、彼女の幅広い表現力を感じることのできる内容に仕上がっている。

音楽ナタリーではリリースに際しMay J.にインタビュー。映画をテーマにしたカバーアルバムを作ることにした理由や収録曲に込めた思い、自身の表現について彼女自身が今考えていることなどについて話を聞いた。

取材・文 / 三橋あずみ 撮影 / 塚原孝顕

映画音楽のカバーはやってみたいなと思えるテーマだった

──今回の作品は映画音楽のカバーを集めたアルバムですが、このタイミングで4枚目のカバーアルバムを作ろうと思った理由を教えてもらえますか?

ここ4年くらいですかね、フルオーケストラでライブをさせていただく機会がものすごく増えたんです。それまではフルオケの経験ってなかったし、ツアーも5ピースのバンドで回ったりしていたから、あれだけの大人数をバックに歌うということに、最初は戸惑いがありました。テンポが決まっていないから「何を基準に歌ったらいいんだろう?」とか、ホントに挑戦の連続だったんですけど、続けていくうちにすごく楽しくなっていったんです。

──そうなんですね。

特に弦楽器の心地よさを感じるようになって「もっと自分の音楽に取り入れたい」と思ったんですね。あと、オーケストラコンサートでは、毎回のようにシネマソングがテーマになるんですよ。いろんな映画音楽をそこで歌わせてもらって、どんどんレパートリーが増えていった。やっぱり映画と音楽ってすごくつながっているなと思ったし、オーケストラって本当にぜいたくで聴きごたえのあるものだなと思い始めた頃に「次のカバーは……」という話が持ち上がりました。

May J.

──May J.さん自身、映画音楽には以前から親しみが?

そうですね。特に「ボディガード」はずっとVHSで観ていて、ホイットニー・ヒューストンもこの映画がきっかけで好きになりました。「I Will Always Love You」は誰もが知っている曲ですし、大人になってからはライブでもよく選んで歌っていましたね。

──普段、映画はよく観るほうですか?

大好きです。最近の映画だと「ラ・ラ・ランド」や「グレイテスト・ショーマン」は映画館でチェックして。

──最近はミュージカル映画のヒット作も多いですよね。

はい。特にミュージカル映画のファンというわけではなかったんですけど、でも最近の作品はとても観やすいなと思います。

自分が歌っている姿を想像できる曲を

──やはり、鑑賞中は音楽が気になるものですか?

そうですね。「ラ・ラ・ランド」だったら最初に流れる「Another Day of Sun」がすごく心に残ったし、「グレイテスト・ショーマン」の「Never Enough」は中盤くらいで流れてくるんですけど、歌力を見せられるシーンに夢中になって。どちらも「これは私も挑戦したい!」とすぐに思った曲でした。それと、アルバムの選曲を見てもらえるとわかると思うんですが、私が選んだものって全部その映画を象徴する曲なんですよね。曲を聴いたら作中のシーンをすぐに思い出せるものばかりなんですよ。なので、自分自身はそういう曲を好むんだなって、今回発見しました(笑)。

May J.

──洋楽と邦楽両方から選曲して2枚組という構成も面白いので、選曲方法も気になりました。

2枚組にするつもりは当初まったくなかったんですよ。でも洋画も邦画も好きだし、どちらかにすることができなくて。ただ、洋楽の曲のあとに邦楽の曲、みたいな感じでミックスしてしまうと違和感があるなと思ったので「だったら2枚組にして分けましょう」ということになり、すごくたくさん収録できることになってしまいました(笑)。

──邦楽の楽曲は、どのように選んでいったんですか?

その曲が好きなことを大前提に、自分が歌っている姿を想像できる曲を選びました。ただ、特に男性の曲は歌うのが難しかったですね。その人の象徴となる声質があるからこそ、より曲が生きるものばかり選曲したので。

──秦基博さんの「ひまわりの約束」やハナレグミの「深呼吸」、平井堅さんの「瞳をとじて」などですね。

いつも通り歌ってしまうと原曲のよさがなくなってしまうので、そのバランスが難しかったです。例えば秦基博さんなんかは素朴だけど力強い感じを表現するために、自分はちょっとキーを下げて歌ってみたりだとか。普段の自分に最適なキーよりも下げて歌ってみることで、より落ち着いて聞こえるように工夫しました。ハナレグミさんの歌声も私は大好きで、「深呼吸」っていう歌も大好きなんですけど……。

──正直、May J.さんとハナレグミの楽曲は、意外な組み合わせだと思いました。

そうですよね。皆さんそう感じると思います。「May J.、ハナレグミ歌うんだ、どうなるの?」って(笑)。彼の語りかけているように歌う感じ、落ち着いているけど心にストレートに届く歌声。この曲もまた自分の中で課題の1つでした。「深呼吸」はできる限り抑えて歌ったんですよ。熱く歌う曲じゃないなと思って。歌詞はすごく切なくて「大人になった今、小さい頃の夢って叶えられているのかな」なんて思うけど、「あのときはなんでもできると思っていてたから、小さい頃の自分が今の自分に『がんばれ』って言っていると想像してもう一歩がんばろう」って。大人になると難しい現実をわかってしまうけどあきらめたくない、みたいな思いをぐっと声量を抑えて歌いました。

May J.

──そうなんですね。

女性アーティストの曲はやっぱりちゃんと映画を観返して。特に「月のしずく」は歌詞の言葉が難しいから、1つひとつの言葉に詰め込まれたメッセージを自分なりに解釈して歌ったりだとか。本当に1曲1曲にそれぞれの思い入れがありますね。

May J.「Cinema Song Covers」
2018年7月25日発売 / avex trax
May J.「Cinema Song Covers」2CD+Blu-ray(BOX仕様)

[2CD+Blu-ray(BOX仕様)]
12960円 / RZCD-86606~7/B

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May J.「Cinema Song Covers」2CD+DVD

[2CD+DVD]
7020円 / RZCD-86608~9/B

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May J.「Cinema Song Covers」2CD

[2CD]
3780円 / RZCD-86610~1

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CD収録曲

DISC 1

  1. Another Day of Sun(with Miracle Vell Magic & Beverly)
  2. Listen
  3. Never Enough
  4. My Heart Will Go On / 宮本笑里 feat. May J.
  5. I Will Always Love You
  6. Calling You
  7. I Dreamed A Dream(new vocal)
  8. Time To Say Goodbye

DISC 2

  1. ひまわりの約束
  2. 深呼吸
  3. 瞳をとじて
  4. 月のしずく
  5. 君をのせて
  6. 無限に広がる大宇宙

SPECIAL TRACKS

  1. ロンド
  2. 絆∞Infinity
Blu-ray / DVD収録内容

billboard classics May J. Premium Concert 2017 ~Me, Myself & Orchestra~ at Tokyo Bunka Kaikan 2017.11.5

  • Sparkle -輝きを信じて-
  • ふたりのまほう
  • I Will Always Love You
  • Time To Say Goodbye
  • 母と娘の10,000日 ~未来の扉~
  • 本当の恋
  • Have Dreams!
  • 異邦人
  • Faith
  • I Dreamed A Dream
  • My Heart Will Go On
  • So Beautiful
  • Garden
  • RAINBOW
  • SIDE BY SIDE
  • My Star ~メッセージ~
  • Let It Go
  • ※副音声収録「橋本さんと愉快な仲間たちによるオーディオコメンタリー」(Blu-rayのみ)
ライブ情報
May J. Tour 2018 -Harmony-
  • 2018年7月28日(土)埼玉県 パストラルかぞ
  • 2018年8月12日(日)千葉県 八千代市市民会館
  • 2018年8月18日(土)長野県 大町市文化会館
  • 2018年8月25日(土)山形県 天童市市民文化会館
  • 2018年8月26日(日)福島県 とうほう・みんなの文化センター
    (福島県文化センター)
  • 2018年9月1日(土)大阪府 Zepp Namba
  • 2018年9月9日(日)愛知県 Zepp Nagoya
  • 2018年9月16日(日)東京都 Zepp DiverCity TOKYO
May J.(メイジェイ)
May J.
日本、イラン、トルコ、ロシア、スペイン、イギリスのバックグラウンドを持ち多彩な言語を操るマルチリンガルアーティスト。幼児期よりダンス、ピアノ、オペラを学び、作詞、作曲、ピアノの弾き語りもこなす。2006年7月にミニアルバム「ALL MY GIRLS」でメジャーデビュー。2014年には大ヒットを記録したディズニー映画「アナと雪の女王」の日本版主題歌「Let It Go ~ありのままで~」を担当し、同年の「第65回紅白歌合戦」に出場した。2015年1月には自身初となる東京・日本武道館の単独公演を開催。2017年5月に八代亜紀をコラボ相手に迎えた10枚目のシングル「母と娘の10,000日 ~未来の扉~」を発表した。10月25日には約3年ぶりとなるオリジナルアルバム「Futuristic」をリリース。11月に東京・東京文化会館にて自身初のフルオーケストラコンサートを開催する。2018年7月には映画の主題歌を集めたカバーアルバム「Cinema Song Covers」を発表。