May J.×八代亜紀|世代超え響かせる母娘のハーモニー

八代さんと一緒に、母に贈る曲を

──そして今回はお二人で作品を作られたわけですが、なぜ“親子”というコンセプトの曲を歌うことにしたのでしょう?

May J. ちょうど八代さんにお会いした時期に、私の母が初めて倒れたということがあって……そのあとも2回入院したんですが。当時私の仕事が忙しくなり始めた時期だったから、母も私のことを心配して無理をしていたみたいなんですね。だけど母はいつも「大丈夫」って言っていて。今までは母の弱い姿を見たことがなかったし、その出来事があって「もっと親孝行ができたら」ってすごく考えるようになったんです。で、八代さんとお会いしたときに感じたのが、母のように包み込んでくれるパワーだったから……八代さんと一緒に、母に贈る曲を歌いたいなって思っていたんです。

八代 そうなのね。

May J.

May J. はい。それで、今回プロデュースしてくれたアンジェラ・アキさんは私のデビュー当時からの憧れで、母親が外国人という共通点もあったからどうしても彼女にお願いしたくて。そうしたら、八代さんもアンジェラさんとは親交があったんです。

八代 そう、アンジー(アンジェラ)のデビュー前からね。知り合いなので。

May J. “アキ”も一緒だし。

──“橋本”と“アキ”でつながっているんですね。

May J. そう、名前が三角関係なんです(笑)。

八代 本当。魂がつながっているのね。

──曲をアンジェラさんにオーダーするうえで、May J.さんがこだわったところは?

May J. 「母は当たり前の存在じゃない」って気付いて「心配をかけないように生きていかなきゃ、仕事以外の自分のことももっとできるようにならなきゃ」と考えると、改めて母親のありがたみを感じたので「その感謝を伝えたい」ということをお伝えしましたね。

──できあがった曲を聴いたときの感想は?

May J.  アンジェラさんが歌われている仮歌だったんですけれど、泣いてしまいました。仮歌を聴いて泣くという経験は初めてでしたね。それと同時に「この曲を歌えるんだ!」という喜びも湧いてきて。この曲のテーマとなっている「結婚」についても……自分はまだ結婚したことがないし予定もないけれど、曲を聴くと自分の結婚を想像することができたんです。

八代 言葉とメロディとで親子の絵が見えたわよね。非常に“アンジー節”と言うか……現代のJ-POPなんだけれど、少し懐かしい流行歌のような雰囲気も感じられて、私にもわかりやすかったです。

──八代さんは、アンジェラさんの作ったこの曲を聴いてどう思われましたか?

八代 私ね、「母になる」っていう経験が初めてだったんです。自分の歌ではずっと娘の立場だったからね。アンジーとMay J.が私を母として見ていることに、最初はおかしさがあった! 「私が母なのね、面白い!」って(笑)。

May J. 私が(アンジェラの暮らす)ナッシュビルにメールを送ったんです。「八代さんに母の立場で歌ってもらいたい」って。

八代 だからアンジーは「八代さんのことを思って書いた」って言っていたのね。

May J. そうなんです。

May J.が娘に見えた

──ではそこから、お二人はどのように歌に思いを込めていったんですか?

左からMay J.、八代亜紀。

八代 一緒にレコーディングをしてね。

May J. そうですね。その前にアンジーが日本に来ていたタイミングがあって、私はそのときに一度レコーディングをしていたんです。アンジーの立ち合いのもとで。だけど、八代さんと後日レコーディングをしたときに、より曲の世界観が理解できて。

八代 May J.が娘に見えたもの。

May J. 私も八代さんが母に見えました。だから、歌も実年齢より若い感じで歌えたと思います。本当に、八代さんには母のような包容力と優しさがあって。

──オリジナルの楽曲で歌声を合わせてみて、新たな発見はありましたか?

八代 歌いやすかったです。May J.はピッチが非常に正確なのでね。

May J. そう言えば、八代さんは女性の歌手とのデュエット曲をリリースするのが初めてだったそうで。

八代 ええ。だから最初はどうなるのかなって思ってたの。でも「そうか、親子か」とイメージしたら、その場で風景が見えてきましたね。

May J. 私も同じです。八代さんといると、自然と寄り添いたくなっちゃう。

──とても優しいハーモニーだなと感じました。ちなみにアンジェラさんからはどのようなディレクションを?

八代 アンジーは「泣いた、泣いた」ばっかりだから(笑)。彼女は褒め上手なのよ。

May J. あははは、そうそう。「完璧!」って(笑)。私は、「サビの『明日名前が変わっても』っていうところが一番の肝だから、そこがしっかり伝わるように」というようなディレクションを受けました。「明日名前が」の「な」に力を込めるというか、「『な』の前に小さい『ん』を入れて歌うといいよ」って言われたので、そのようにして。

──アンジェラさんならではの表現方法を。

May J. そう、アンジー節を教えてもらいましたね。もう八代さんに関しては「最高」しか言ってなかったです(笑)。

八代亜紀

八代 「私、ハーモニーのパートはやったことないわよ」ってアンジーに相談しているのに、「ううん、そのままでいいんです」って(笑)。

May J. でも八代さん「やったことない」なんて言っていましたが完璧でしたよ。一発目からキレイにハモっていただいて。もう、リズム感も音程も完璧なんです。歌い方も「ポップスだから難しい」って口ではおっしゃるんですけど、すぐに対応されてて。

八代 歌詞の区切り方が演歌と違うからね。だから説明を聞いて「そうやって歌うのね」って。

May J. ちなみにアンジーはSkypeでレコーディングに参加してくれていたんです。ナッシュビルは夜中なのに、2時から6時くらいまでずっと起きていて聴いてくださっていたんですよ。

八代 もう、愛情がすごいよね。

May J.「母と娘の10,000日 ~未来の扉~」
2017年5月24日発売 / rhythm zone
May J. duet with 八代亜紀「母と娘の10,000日 ~未来の扉~」CD+DVD盤

CD+DVD
1944円 / RZCD-86353/B

Amazon.co.jp

May J. duet with 八代亜紀「母と娘の10,000日 ~未来の扉~」CD盤

CD
1296円 / RZCD-86354

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CD収録曲
  1. 母と娘の10,000日 ~未来の扉~
  2. 母と娘の10,000日 ~未来の扉~(Daughter’s Vocal Only)
  3. 母と娘の10,000日 ~未来の扉~(Mother’s Vocal Only)
  4. 母と娘の10,000日 ~未来の扉~(Off Vocal)
  5. 糸(Off Vocal)
DVD収録内容

母と娘の10,000日 ~未来の扉~

  • Studio Session Clip
  • Documentary
May J.(メイジェイ)
日本、イラン、トルコ、ロシア、スペイン、イギリスのバックグラウンドを持ち多彩な言語を操るマルチリンガルアーティスト。幼児期よりダンス、ピアノ、オペラを学び、作詞、作曲、ピアノの弾き語りもこなす。2006年7月にミニアルバム「ALL MY GIRLS」でメジャーデビュー。2014年には大ヒットを記録したディズニー映画「アナと雪の女王」の日本版主題歌「Let It Go ~ありのままで~」を担当し、同年の「第65回紅白歌合戦」に出場した。2015年1月には自身初となる東京・日本武道館の単独公演を開催。2017年5月に八代亜紀をコラボ相手に迎えた10枚目のシングル「母と娘の10,000日 ~未来の扉~」を発表した。
八代亜紀(ヤシロアキ)
熊本県八代市出身の演歌歌手。15歳で歌手を目指して上京し、銀座でクラブ歌手として活動を始める。1971年にシングル「愛は死んでも」でデビューを果たし、1973年には出世作となった「なみだ恋」を発表。1979年発売の「舟唄」が大ヒットを記録し、1980年には「雨の慕情」で「第22回日本レコード大賞」大賞を受賞した。演歌歌手として確固たる地位を築きながら、一方で画家としても才能を発揮。フランス「ル・サロン展」に5年連続で入選し、永久会員となった。2010年にはデビュー40周年シングル「一枚のLP盤」を発表。2012年5月には小林旭とのデュエット曲「クレオパトラの夢」、10月には小西康陽プロデュースによる初の本格的なジャズアルバム「夜のアルバム」をリリースし、翌2013年3月にはニューヨークの老舗ジャズクラブ「Birdland」でライブを行う。2015年10月、寺岡呼人プロデュースによる初のブルースアルバム「哀歌-aiuta-」をリリース。2016年には「FUJI ROCK FESTIVAL '16」に初出演するなど、多彩な活動を続けている。