ナタリー PowerPush - MUSIC AGAINST THE FUTURE!!

気鋭レーベルが仕掛ける“未来に逆らう”プロジェクト

「MATF!!」を通じて実現したいこと

試行錯誤しながら、レーベルとして新しいビジネスを構築していくのは並大抵のことではないだろう。「MATF!!」を通じて実現したいことは?という問いに、maximum 10は言葉を濁さず赤裸々に答えてくれた。

音楽を高いクオリティで成立させていくためには、資本主義である以上、お金が必要です。売り手も買い手もアーティストも、そのお金を邪険にしすぎてはいけないし、魅入られすぎてもいけない。そのバランスが狂っているのか、適正なのかを、冷静に考えられる人というのは、状況によって変わってくる。買い手な場合もあれば、売り手な場合も、アーティスト本人な場合もあるし、もしかしたらそれは意外に音楽を全く聴かない人かもしれない。

僕らは、“今”という時代に音楽を成立させて広めるための重要なファクターである“お金”について、率先して話していかないといけないと思う。音楽に愛情があるビジネスマンの一人として、そこから逃げたり、ヘンにカッコつけてお金を無視したりするのではなく、きっちり、それと向かい合っていきたいなと思います。その先に、本当にあらゆる人が幸せな音楽とのかかわり方を見付けられたら、素敵だと思いますね。

所属アーティスト紹介

「MATF!!」を通じてチェンジリーダーとしての役割を担う、レーベル「maximum 10」の成り立ちにも軽く触れたい。元々THE PRODIGYやMUSEなどの海外バンドの作品をリリースするために作られたレーベルで、新しい音を恐れずに日本に投げ込む、逆に日本の音を世界に投げ込む形で進化を遂げている。海外の大型フェスに参加し、海外ツアーも積極的に行うFACTは、まさにレーベルにおける日本人バンドのパイオニア的存在と言えるだろう。

そのFACTはレーベル「maximum 10」の名を広めたという意味でも重要なアーティストだ。1999年結成の5人組で、メロコア、ハードコア、スラッシュメタル、スクリーモなどをいち早く取り入れた斬新なサウンドは、インディーズ時代から一目置かれる存在だった。2年半前に現レーベルに移籍すると、エレクトロニカの要素を加えたことで以前から持ち合わせていたキャッチーなメロディが全面開花し、瞬く間にシーンを席巻した。2012年1月11日にはニューアルバム「burundanga」の発表も予定されており、またリスナーをあっと驚かせてくれるに違いない。

FACT

FACT

そして、FACTに続けとばかりに「maximum 10」が送り出す2組のバンドを紹介したい。

POP DISASTERは2003年に結成され、数度のメンバーチェンジを経て、女性2人がリズム隊を務める5人組の現編成に固まった。元々NEW FOUND GLORYのコピーバンドから始まり、明るく突き抜けたメロディックパンクを特徴としていたが、12月7日にリリースされた新作「POP DISASTER」は、パンクの枠組に収まらない色とりどりの楽曲が詰まった最高傑作に仕上がった。ぜひ多くの人に聴いてもらいたい。

POP DISASTER

POP DISASTER

最後はSG(B, Vo)とFZ(G, Vo, Programming)の2人組sfprだ。彼らの経歴は一切明かされていないが、個性的な音像で音楽関係者の耳目を集め始めている。2012年1月1日発売のデビューアルバム「apocalypse」は17曲入り。「終末」「黙示録」という意味を持つその作品は、62分間完全にノンストップで楽曲が続く、組曲のような仕上がりだ。こちらも今後が楽しみなニューカマーと言えるだろう。

sfpr

sfpr

世界標準で闘える強烈なオリジナリティを持つ3バンドが所属するレーベル「maximum 10」、そして、「MATF!!」をこれからも警戒すべし。

MUSIC AGAINST THE FUTURE!!

ロックバンドを擁する複数のレーベルによる新しいプロジェクトで、音楽を聴く形態の選択肢を複数提示し、ユーザーに“楽しむ自由”を提供するもの。リスナーは好みに応じて、配信サイト「MATF.jp」から音源をダウンロードしてそのままMP3プレイヤーなどで聴いたり、無音パッケージと呼ばれる商品を購入して音源を焼きパッケージを作成したりできる。本格的な始動は2012年初頭を予定。

maximum 10(まきしまむてん)

先鋭的なロックアーティストが所属するインディレーベル。現在は日本人アーティストの音源を中心にリリースしており、FACT、POP DISASTER、sfprなどが所属アーティストとして名を連ねる。2012年、複数のレーベルとともに「MUSIC AGAINST THE FUTURE!!」プロジェクトをスタートさせる。