愛ってどこに行っても生まれる
──メジャー第1弾シングル「百日草」(ひゃくにちそう)の、タイトルの由来を聞かせてもらえますか?
百日草の花言葉には「変わらない愛」「幸福」「遠くにある思い」といった意味があって、それが今の私にすごくぴったりだと思ったんです。というのも、昨年から今年にかけて初めてアジアツアーを回ったんですけど、そのときの経験がとても大きくて。日本語の楽曲なのに一緒に日本語で歌ってくれたり、MC中に言葉をかけてくれたり、その場で愛を共有できている感覚がすごく強かった。「どこに行っても変わらない愛があるんだな」と思えたんです。
──日本を離れたことが、結果的に大きなきっかけとなったわけですね。
少し引いた視点で世界を見られるようになり、日々のニュースに対しても以前より関心が高くなりました。世の中には災害や事件、予期しない出来事や理不尽な物事がたくさんあり、「この世界は冷たいな」と感じることも正直あったんです。でも、よくよく考えてみれば、そういうつらい現実とはまったく関係なく「愛ってどこに行っても生まれるんだな」と感じることができた。そういう「愛」をこれからもつないでいきたいですし、私の歌が誰かに寄り添うことができたら、ほんの少しでも何かが変わるかもしれないと思いました。この曲は、聴いてくれる人を包み込むような歌にしたいという気持ちで作っています。
──そういう意味では、これまでの歌詞と比べて視点も変わってきましたよね?
そうですね。これまでは「私とあなた」という関係の中での恋愛を描いた曲が多かったけど、今回は「私と応援してくれる皆さん」という、もっと広い意味での愛をテーマにできたらいいなと。
──歌詞に「ありのまま生きてたい」という言葉が出てきますが、茉ひるさんにとって「ありのまま」とはどういう状態ですか?
よく「あなたらしく生きてね」とか「自分らしく生きなきゃ」って言われますよね。でも私は、その言葉には少し違和感があって。誰かが決めた「あなたらしさ」って、本当に自分の本質なのかな?って思うんです。例えば「こうしなきゃいけない」とか「普通はこうでしょ」と言われることもあるけれど、それを一度は受け取ったとしても、ちゃんと自分の中に持ち帰って考えることが大事だと思っています。それが本当に自分に必要なのか、心地いいのか。人の意見を聞くこと自体は大切だけど、もし「これは違うな」と感じたら、「その意見がすべてじゃない」と思っていい。たとえ誰かに「それはあなたらしくない」と言われたとしても、自分にとって必要で、自然だと感じられるものならそれを選んでいいんじゃないかなって。偽りのない自分でいられること。それが、私にとっての「ありのまま」だと思いますし、私の歌を聴いてくれる皆さんにも、自分の本当の声を大切にしてほしいなと思っています。
新曲のこだわりポイントは
──「百日草」はストリングスやピアノがとても印象的な曲ですが、アレンジに関してリクエストしたことはありますか?
たくさんありました(笑)。ストリングスとピアノの音がすごく好きなので、私のこだわりも強くて。まずこの曲は「切なさ」と「温かさ」、そして「優しさ」をすべて兼ね備えた楽曲にしたいという思いがありました。サビでは温かみをしっかり伝えつつ、AメロやBメロでは「失恋するとこういうことってあるよね」と感じてもらえるような、少し切ないエッセンスを入れようと。そして、サビではストリングスのキーを少し高めにして、より柔らかく温かい雰囲気が出るようにしてほしいということはアレンジャーの方にお伝えしましたね。
──かなり細かく詰めていったのですね。
そうですね。アレンジャーは高孟淵さんという、台湾のライブでサポートしてくれたメンバーの1人です。私自身、台湾や香港で聴かれている楽曲を趣味として聴くようにもなっていて、「台湾の方と一緒に曲を作ったらどんなものが生まれるんだろう?」という好奇心から今回お願いしました。
──この曲でメジャーデビューされるわけですが、今はどんな心境ですか?
関わる方が増えて、こうしてインタビューを受ける機会も増えてきて、「あ、これがデビューするということなんだ」と実感する瞬間が少しずつ増えてきました。とはいえ、自分が書いた歌を、自分が届けるという根本の部分は変わりません。その芯がしっかりしていないと、どんなに環境が変わっても、リスナーの方に伝わるものは薄くなってしまう気がしていて。メジャーデビューが決まってから出会ったスタッフの皆さんが、その部分をとても理解してくださっているのですごく心強いです。
──活動の規模が大きくなることで、これから挑戦してみたいことはありますか?
自分がやりたいことを中心にやってきたからこそ、「今までの環境ではできなかったな」と思うことがいくつもあるんです。例えば、ドラマの主題歌も担当してみたいですし、これまではあまり出る機会がなかったフェスにも、これからは積極的に出ていきたい。それに、今までは日本語の楽曲が中心でしたけど、英語の曲に挑戦してみたいとか、中国語の曲も作ってみたいとか、いろいろありますね。何より、「自分が自分に飽きない」アーティストでいたい、という思いがずっとあります。
──「飽き性」だとおっしゃっていましたからね(笑)。
そうなんです(笑)。自分の中で「同じテイストの曲が続いているな」と感じる瞬間があると、もしかしたら聴いてくれている人も同じように感じているのかもな、と。だから、ずっと応援してくれている人にも「いつも進化しているな」「飽きないな」と思ってもらえるアーティストでいたい。そのためにも、自分自身がワクワクし続けられる挑戦を、これからもしていきたいです。
──そのための一歩として、まずやってみたいことは?
近い目標で言うと、全然関係ないようで、私の中ではすごく関係しているんですけど……これまであまり自炊をしてこなかったので、今年はちゃんとしたいと思っています。もう少しずつ始めてはいるんですけど。
──三重の郷土料理とか作れたらいいですよね。
うわ、作りたいです! めちゃくちゃいいですね(笑)。三重の郷土料理……とんてきとか、赤福とか。赤福は料理じゃないか(笑)。でも、そういうチャレンジはきっと音楽にも生かせると思うんです。料理だけでなく日常生活の中でのさまざまな気付きが、いつか音楽につながったら面白いなって。最近は、そんなことを考えながら毎日を送るようになりましたね。
公演情報
MAHIRU One-Man Live Zepp New Taipei
2026年5月2日(土)台湾 Zepp New Taipei
プロフィール
茉ひる(マヒル)
2000年生まれのシンガーソングライター。エモーショナルな歌声と共感を呼ぶ歌詞で注目を浴び、SNSの総フォロワー数は90万人を超える。海外からの支持も厚く、2024年にはSpotifyの台北バイラルチャートで1位を獲得。2026年5月2日に開催される台湾・Zepp New Taipei公演のチケットは、販売開始後すぐに完売した。1月28日に配信シングル「百日草」でワーナーミュージック・ジャパンよりメジャーデビューを果たした。
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