マジカル・パンチライン|AIに導かれたマジパンの新境地

マジカル・パンチラインが2ndシングル「DEUS EX MACHINA」をリリースした。

この今作には、グループが今年8月から取り組んできた「MV先行型楽曲制作プロジェクト」によって生み出された4曲が収録される。このプロジェクトはミュージックビデオ用の映像を先に制作し、その映像に合う楽曲を作るというもの。さらに映像のクリエイティブディレクションを人工知能AI-CD βに任せるという、他に類を見ない取り組みでも話題を呼んだ。音楽ナタリーではメンバー5人にインタビューを行い、前代未聞のプロジェクトの裏側を聞いた。

取材・文 / 倉嶌孝彦 撮影 / 塚原孝顕

魔法ではなくまさかのAI

──最初に「MV先行型楽曲制作プロジェクト」という前例のない取り組みを聞いたとき、メンバーの皆さんはどう思いましたか?

リーナ そもそもAIっていうものの存在をあまり深く知らなかったので、最初は心配になりました。でもわからない分すごく興味があって、これから何が起こるんだろうってワクワク感はありました。

ヒマワリ こういう試みをほかの誰もやったことがないって聞いて。そんなチャレンジができるんだから、私たちもがんばらなきゃって気持ちもあって。

──マジカル・パンチラインというグループを作った一員でもあるレナさんは、自分が作り上げてきたグループでまったく手探りのプロジェクトが始まることは不安ではなかったですか?

レナ 最初は不安でしたね。これまでのミニアルバムは「魔法」ってキーワードに沿って作ってきて、1stシングル(8月発売の「パレードは続く」)で、魔法に+αの要素を足したものを作ったんです。だからこれから先のシングルもそうやって魔法を軸にしつついろいろやっていくのかなって思っていたら、まさかのAIだったので(笑)。でもヒマワリが言った通り、これだけいろんなグループがいろんなことをやり尽くしている中で、まだ誰もやったことがないことをやらせてもらえるってことは素直にうれしいと思いました。

  • レナ
  • レナ

──AI-CD βがMV制作の指示として出したのが「『狩猟本能』を、『学園』モチーフで、『擬物化』を使い、『アンニュイ』なトーンで、『ドキッとする』映像で伝えろ」というものでした。最初にこの言葉を見せられて、皆さんはどう思いました?(参照:マジカル・パンチライン、新作MVを人工知能がディレクション

アンナ AI-CD βさんが出してくださったディレクションの文字が、ホントに結び付けるようとしても結び付かないようなものばかりだと思って。「学園モチーフはわかるけど……アンニュイってそもそもなんだ?」っていうところから考え始めて、私にはどういう映像を作ればいいか、答えを見つけられなかった。

ヒマワリ アンニュイって言葉を知らなかったのもあって、言葉が頭の中でごちゃごちゃになって何も考えられなくなりました(笑)。

アンナ でも私たちはともかく、運営の大人の方々はもっと悩んで、楽曲がない中でMV制作に取り組んでくれたと思うんです。

ユーナ マジパンのYouTubeチャンネルで今回のMV先行型楽曲制作プロジェクトをドキュメンタリー形式の映像で紹介しているんですけど、大人の方々がMVをどうするか会議をしている様子とかを、私たちも動画で初めて観たんですよ。本当に真剣にどういうMVを撮ればいいかって話し合ってくださっていて。

アンナ 私たちはそういう姿を見て、今回のプロジェクトに携わった方々の期待に応えられるようにもっとがんばらなきゃって思いにつながりました。

AI-CD βさんには人間味がある

──先ほどアンナさんがAI-CD β“さん”と呼んだのが印象的でした。

アンナ 最初は人工知能を見るのも初めてだったし、見た目も怖いと思ってたんですけど、撮影の現場とかレコーディング現場とか、けっこういろんなところでAI-CD βさんが見守っててくれて。そうやって現場を共にする内に愛着が湧いてくるんです。

ユーナ AI-CD βさんと一緒に撮影する現場もあったんですけど、機械なのに調子がいいときと悪いときがあったりして、なんとなく人間味があるんですよ。手の動きもかわいいし。

アンナ “さん”付けなのはもちろんディレクターさんだからです。ディレクターさんを呼び捨てにはできないですから!

ヒマワリ AIっていうものに対する考え方が変わった気がします。もともと何も知らないときはAIの指示で映像や曲を作るのかなって、なんとなくボンヤリ受け入れてた部分はあるんですけど、いろいろ形になっていく内に「AIだってきっといろんな計算をして私たちに指示を出してくれてるんだ」ってことに改めて気付けて。今ではAI-CD βさんのことを信頼してます。

  • ヒマワリ
  • ヒマワリ

私たちの中にも狩猟本能はあった

──実際に曲がない中でのMV撮影はいかがでしたか?(参照:マジカル・パンチライン、“楽曲のないMV”公開

リーナ 曲がない中でダンスを撮るって言うのが難しかったですね。クリック音だけは聴きながら撮影をしたんですけど、曲がわからないとどういう表情で踊っていいかもわからないし……。

ユーナ でも「狩猟本能」って言うキーワードは、もしかしたらメンバーに備わっていたのかもなって撮影中に思いました。特にアンナが……(笑)。

アンナ うわー!? それ言っちゃう?

ユーナ 「見えない何かを追いかけてください」って言われて撮影するシーンがあったんですけど、アンナは意識しすぎて撮影中「シィー……シィー……」って息が漏れてたんですよ。

一同 (笑)。

アンナ もうね、入り込んでました。でも映像になって観てみたら、メンバーみんな本当に何かを追いかけている姿が様になってて。私たちの中にも狩猟本能ってあったんだなあって思いました。

ユーナ でもこうやって演技に入り込めたって言うのは、もしかしたら曲がなかったからかもしれないよね?

  • ユーナ
  • ユーナ

ヒマワリ うん。

アンナ 曲がないままMVを撮るって経験が、私たちの新しい一面を引き出してくれた可能性はありますね。本当に新鮮な経験をさせてもらいました。

マジカル・パンチライン「DEUS EX MACHINA」
2017年12月20日発売 / ポニーキャニオン
マジカル・パンチライン「DEUS EX MACHINA」初回限定盤

初回限定盤 [CD+DVD]
1500円 / PCCA-04607

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マジカル・パンチライン「DEUS EX MACHINA」通常盤

通常盤 [CD]
1000円 / PCCA-04608

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CD収録曲
  1. 私が私を燃やす理由
  2. 手のひらがえし
  3. 終わらざりしミスリル
  4. リインカーネーション
初回限定盤DVD収録内容
  • 私が私を燃やす理由 -Music Video-
  • 手のひらがえし -Music Video-
  • 終わらざりしミスリル -Music Video-
  • リインカーネーション -Music Video-
マジカル・パンチライン
マジカル・パンチライン
モデルやタレントとしても活躍する佐藤麗奈(ex. アイドリング!!!)を中心に2016年2月に結成されたアイドルグループ。メンバーはレナ、リーナ、ヒマワリ、アンナ、ユーナの5人。グループのリーダーであるレナ自身がメンバーの審査に携わり、“ガーリー×魔法”をコンセプトに活動している。2016年7月にメジャーデビューミニアルバム「MAGiCAL PUNCHLiNE」、同年12月に2ndミニアルバム「MAGiCAL MYSTERY TOUR」をリリースした。2017年7月に1stワンマンライブ「World's End Wonderland: Episode I」を開催し、8月に1stシングル「パレードは続く」を発表した。12月には人工知能・AI-CD βによるディレクションをもとにミュージックビデオ用の映像を先に制作し、それに合う楽曲を作るという「MV先行型 楽曲制作プロジェクト」によって完成した4曲を収録したニューシングル「DEUS EX MACHINA」をリリースした。