m-floが語る、充電でも休止でもない“リミナル期間”という選択──櫻井翔、Diggy-MO'、RIP SLYMEらと刻んだ25周年の結晶 (3/3)

PESくんやSUさんがいるRIP SLYMEをもう1回聴きたいなって伝えてたんですよ

──懐かしいといえば、期間限定で再結集したRIP SLYMEとコラボした「ARIGATTO(m-flo loves RIP SLYME)」もアルバムに収録されています。同時代をサバイブしてきたRIP SLYMEとの制作はどうでしたか?

LISA 私はTERIYAKI BOYZの「ZOCK ON! feat. Pharrell & Busta Rhymes」を作ったときに、アディショナルボーカルとして参加していて。そこで何人かにお会いしてるんですけど、今回、はじめましてのメンバーもいたんです。

──SUさん?

LISA そうです。でも、こんなに面白い人だったんだって(笑)。ラップもすごくうまいし。

──SUさんは、今回「若さは武器 経験は鎧 行動は矛 知識は盾」というパンチラインを繰り出してますしね。

LISA 最高ですよね。大好き、SUさん。今ではSUさんの大ファンです(笑)。

──制作はどのように始まったんですか?

☆Taku もともとはRIP SLYMEが3人体制だったときに、何か一緒にやろうよ、みたいな話をしていて。そこから時間が空いて、RIP SLYMEが内々で開いた忘年会に僕もVERBALも呼ばれて、その帰りにこういう曲調でやりたいね、みたいな話になったんです。

──その時点で“ありがとう”というテーマは出ていたんですか?

☆Taku まだ出てなかったですね。そのあと、みんなでスタジオに入ったときに、“ありがとう”になっていったんじゃない?

LISA 最初は”サンキュー”だった。

VERBAL マイクリレーしていく曲だから、何かテーマをパスしていこうと。そこから「サンキュー、なんとか」って言おうとか、「サンキュー、サンキュー」って言っていこうとか話しているうちに、この形が見えてきて。でも、サンキューはベタだからっていうことで、ありがとう、ARIGATTO、というふうに進化していったんです。

──同時代に活動した仲間として、RIP SLYMEの再集結をどう感じましたか?

☆Taku どうもこうも、僕は個人的に付き合いがあるから、PESくんとゆっくり話す機会があったし、PESくんやSUさんがいるRIP SLYMEをもう1回聴きたいなと伝えてたんですよ。そしたら風の便りで、再集結に向けて動いてると聞いて、うれしかったですね。

VERBAL 僕はTERIYAKI BOYZでRYO-ZくんやILMARIくんとの距離が近いけど、どこか他人事のように、また5人で一緒にやればいいのになって思ってたんです。SUさんと個別で会うと爆笑するし、やっぱりこの人のエッセンスはいいよな、とか。今回の曲はPESさんとSUさんが戻る前から話していたことだけど、2人が加わって、さらにシナジーが生まれたと思うし、改めてご縁を感じましたね。

リミナル期間は、みんなにとって大切なm-floに戻るための時間

──アルバムリリース後、2月19日のワンマンライブをもって、m-floはリミナル期間に入ることを発表しています。その決断は本作の制作に影響を与えましたか?

☆Taku リミナル期間云々の前に、僕は悔いのないように作ろうと思っていたので。発表したのが制作の後半だったし、影響がないことはないだろうけど、それとは関係のないところで作っていたんです。

──1曲1曲にしっかり向き合いながら制作していった感じ?

LISA そうですね。まず目の前にあるものをクリアしていこう、という意識でした。

VERBAL 僕も同じです。それに、リミナル期間に入ることを発表した時点で、奇跡が起きたと思えるくらい、すごくいい曲がたくさんできていたんです。だからこそ、最後まで突っ走って、悔いのないものを作ろうと思ってました。

m-flo

m-flo

──リミナルという言葉はVERBALさんが提案したんですか?

☆Taku 僕は「充電と休止って何が違うの?」っていうところがあったし、VERBALも活動休止ではない言葉を付けたいと。それでみんなで話し合って決めた言葉なんです。

VERBAL 僕は「充電期間」でよくない?と思ってたんですよ。今回も、前作から6年空いてるわけで、今、あえてドラマチックに言う必要ある?とも思ったし。だけど、スタッフや運営側の意見を考慮して、何か言葉を付けようと。

──3人の意識としては、休止ではなく、次に向けた充電期間だと。

LISA 充電期間です。休止っていう言葉は心が痛いです。30年も、35年もやるつもりですから。

☆Taku ただ、そうやって期間が空くことに対して、今まで何も言わずにやってきたわけだから。今回、充電期間と言わず、リミナル期間としたことによって、いろいろな解釈ができるっていうのは結果的によかったかなと思ってます。

──でもリミナルって、あまりなじみのない英単語ですよね。

VERBAL 僕たちもなじみはなかったですよ(笑)。なんとなくカッコいいかなっていうくらい。要はm-flo版コールドスリープみたいな感じなんですよ。

──Perfumeの“コールドスリープ”に先を越されたのかなって思いました。キャッチーな言い方を取られたよ!みたいな(笑)。

VERBAL そうなんですよ(笑)。

☆Taku ミーティングでもコールドスリープと被らないように、って話してたもんね(笑)。けど、話を戻すと、僕は充電という意識でもないんですよ。

──☆Takuさんはプロデュース業やDJ業など、常に活動していますからね。

☆Taku これまでを振り返ると、僕がm-floの活動に消極的なときにVERBALがめっちゃがんばってくれた時期もあるんです。自分のベストを出せないときに無理にやるのはよくないというのはわかりつつ、VERBALはめっちゃ動きたいわけだから、僕は我慢しながら活動してた。「今さらコイツ、何言ってんの?」とVERBALは思うかもしれないけど(笑)、グループだからお互いを尊重しなきゃいけないし。僕らにとってm-floはすごく大切なグループなんですよ。まだまだm-floを面白くしていきたいと3人とも思ってる。だからこそ、単なる充電ではなく、これからはパラレル的な動きがありそうだなとか、いろんな可能性があるんじゃないかと僕は思いたいんです。

m-flo

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──LISAさんにとって、m-floはどんな場所ですか?

LISA ホームグラウンドですね。家に戻ってきたっていう安心感があって、いろんな音楽と情報で自分をレベルアップさせてくれる場所だと思ってます。ここから自分が勉強したり体験したりしたことを、m-floというホームグラウンドに戻せたらいいなって思う。それって要するに充電ですよね。

──VERBALさんも、次に向けたインスピレーションを得ていく期間にしようと?

VERBAL 僕は完全にそう考えてます。クリエイティブとビジネスを共存させなきゃいけないのはわかるんですけど、夏休みの宿題みたいな感じで締切に追われてリリースしていくのは、作業的になっていく感じがしちゃって。かつては、時間をかけてイケてるものを出せばよかったのが、配信サービスやSNSの発展で年々、そのタームが短くなっていて、今は短期間で同じ濃度のものを求められるようになってきた。今回は奇跡的にそれができたけど、僕は正直、インスパイアされる時間が欲しいんです。デッドラインをあまり入れないほうが自分に優しいかなって。今、絶好調という☆Takuの前で言うのははばかられるけど(笑)。

☆Taku でもそこは、それぞれ調子の波があるからね。僕も、休止するくらいだったら解散してもいいんじゃないか、って思った瞬間もあったから。

LISA マジかー。

☆Taku でも、2人と話していく中で、解散は違うなと。リミナル期間は、みんなにとって大切なm-floに戻るための時間なんだよなって思うんだよね。

公演情報

「m-flo 25th ANNIVERSARY LIVE "SUPERLIMINAL"」

2026年2月19日(木)東京都 東京ガーデンシアター
OPEN 18:00 / START 19:00

プロフィール

m-flo(エムフロウ)

1998年にインターナショナルスクールの同級生だった☆Taku TakahashiとVERBALの2人で活動をスタート。その後、LISAをボーカルとして本格的に始動し、1999年7月に1stシングル「the tripod e.p.」でメジャーデビューを果たした。2001年リリースの2ndアルバム「EXPO EXPO」は80万枚というセールスを記録するも、翌年LISAがソロ活動に専念するためにグループを脱退。2003年になると、VERBALと☆Takuはさまざまなアーティストをゲストボーカルに迎える“Loves”プロジェクトを始動。Crystal KayやBoA、Dragon Ash、坂本龍一、CRAZY KEN BAND、野宮真貴といったバラエティに富んだゲストを迎えた3rdアルバム「ASTROMANTIC」がヒットし、2005年には初の日本武道館でのワンマンライブを成功させた。2008年、41組のアーティストとのコラボレーションが実現した“Loves”シリーズに終止符を打ち、VERBALと☆Takuは新たな可能性を求めてプロデュースやリミックス業、自身のブランドや別ユニットなど、個々のフィールドで活躍。2017年にLISAがカムバックし、15年ぶりにオリジナルメンバーでの活動を再開した。2019年11月に活動20周年を記念したオリジナルアルバム「KYO」を発売。2026年2月18日に10枚目のオリジナルアルバム「SUPERLIMINAL」をリリースし、翌19日に東京・東京ガーデンシアターで開催する約6年ぶりの単独公演をもって“リミナル期間”に入ることを発表した。