あふれる愛で“リリスクらしさ”を継承、涙もろいmana
──次はsayoさんの話を聞いて泣いているmanaさん(笑)。先日の1周年ライブでも泣いてましたけど、あのときは1年を振り返っての涙だったわけですよね。今冷静に振り返ると、どういう1年でしたか?
mana この1年を……ちょっと待ってくださいね(涙を押さえながら)。あの、sayoって素敵だなと思って。
──いつ見てもだいたい泣いてますけど(笑)、常にこうなんですか?
minan これでも最近はちょっと減ったよね(笑)。
sayo 泣いててももう気にならない(笑)。
mana 私、長期的に考えることが苦手で、その都度その瞬間を生きている人間なので、1年を振り返ってとかってあまりないんですけど、あのときも……いつもきっかけはsayoなんですよ。sayoが……(泣きながら)もうしんどい。
tmrw 今日は通訳しないからね。
一同 アハハハハハハ!!
mana 冷たい! あのときも、sayoが「この8人で1周年を迎えられてよかった」って言ったのを聞いて、私は誰かが1年で辞めるなんて考えてもいなかったから「確かにその可能性もあったのか」とかいろんなことを考えちゃって。自分1人ががんばるだけじゃグループとしての努力も続かないじゃないですか。それを考えてしまったんですよ。「自分は辞める気はない」とかそういうことじゃなくて、みんなで努力できる場所を作ってくれる今の環境とか、観に来てくれるお客さんとか、全部の積み重ねでこの1年があったんだなというのがsayoのメッセージで感じられて。今もそれで泣いてます(笑)。
──manaさん自身は「辞めよう」と思うこともなく愚直に1年がんばってこられた?
mana わかりません。あの……私だけリリスクのオーディションを受けるのが2回目だったんですよ。
──前体制のhinakoさん、yuuさん、risanoさんが加入した際のオーディションを受けていた?
mana はい。ずっとずっとリリスクが好きで、リリスクが好きという気持ちは誰にも負けないと思って、もう1回オーディションを受けたんですよ。私はアイドルになりたいわけでも、ラッパーになりたいわけでも、歌手になりたいわけでもなく、リリスクになりたかった。それで受かったからこそ、逆に「自分は何者なんだろう」みたいなことをすごく考えた1年でした。アイドルと呼ばれることにも抵抗があって、かといってラッパーと名乗れるほどでもない。じゃあ「リリスクだ」と名乗れる自分の要素は何なんだろうって考え続けて……お客さんには「一番リリスクらしさを受け継いでいる」と言われることもあって、自分はリリスクを好きであり続けることがリリスクらしさにつながるのかなと思いました。自分が何者かなんて、自分で「こうです」と言うものじゃなくて、観てくれる人が感じるものなんだろうなって。自分をさらけ出していくことが、今の8人のリリスクを作る要素になっていったらいいなって思います。うう(泣きながら)。
──愛があふれてしょうがねえってことですね。
minan manaとは一番真面目な話をするよね。manaがリリスクの現場に通っていたことを知ってるから、今manaはリリスクに入って幸せなのかな?と考えてしまいます。自分が好きだったリリスクと、メンバーになってからでは見え方も違うと思うから、心配というわけではないけど、勝手に思いを馳せてます(笑)。
リリスク初のDJメンバー、冷静沈着なreina
──reinaさんはこれまでのリリスクになかったDJというポジションでメンバーになりましたよね。
reina オーディションの合格はメールでいただいたんですけど、そこに「バックDJとして採用を考えている」と書いてあって。そのとき初めてDJという話をされたので、「ありがとうございます。でも今ちょっと混乱しているので詳しく聞いてもいいですか」と返信したんです。DJの機材も触ったことがなかったので「なんで私なんだろう」と混乱しましたけど、そのあと話を聞いて、ほかのアイドルグループだったら絶対にないようなことができるなと思って「やってみたいです」とお返事しました。
──以前のリリスクはメンバーと別にバックDJがいるスタイルでしたが、reinaさんの加入でDJも含むグループに変化しました。前例のないポジションなので新メンバーの誰よりも手探りの部分が大きかったのかなと思いますが、1年やってみてどうでしたか?
reina 私はリリスクに入る前にアイドルの経験があって、5年くらいやってきたんですけど、前のグループのときも、リリスクに入ってからも「自分の立ち位置って何なんだろう」という悩みはあって。そんなときに、物理的な立ち位置があるのが……。
一同 (笑)。
reina すごく心の支えになっているというか。本当の立ち位置についても考えつつ、とりあえず物理的な立ち位置があるのはありがたいです。
──「リリスクのDJ」というポジションはもうしっくりきていますか?
reina はい。最初は気恥ずかしさが正直あって「私みたいなもんがここ(DJブース)にいていいんだろうか」と思っていたんですけど、バックDJとしての自分に慣れてきて、楽しくやれています。
minan DJもメンバーがやるというのが、本来このグループにとっては一番いいことだったと思うんです。だから今、れぴ(reina)のおかげでこのスタイルが確立できているのがうれしくて。あと、れぴちゃんはいつも冷静沈着で、ライブ中に機材が動かないとかハプニングが起こることは多々あるんですけど、いつも冷静な対応で何事もなかったかのように切り抜けてくれているので助かります(笑)。慌ててるところを見たことがない。
キム 急にステージから離れたと思ったら、袖に「パソコンが落ちそうです」って冷静に伝えにくるんですよ。
minan 告知解禁の事情でぴったり21時に終わらなきゃいけないライブのとき、最後の曲のBPMをちょっとだけ上げて調整してくれました(笑)。
──それ、すごい機転の利かせ方ですね。
reina やっていいのかなと思いつつ……やっちゃいました。
minan そういうのって度胸も必要じゃないですか。「最後の曲速くなかった?」ってお客さんにもバレてましたけど(笑)。
1段ギアが上がって覚醒、文才を持つhana
──hanaさんはさっきから一番「何を話したらいいのか」みたいな不安が見て取れますけど……。
minan バレてる(笑)。授業中みたい。
mana しゃべると気がラクになるよ。
一同 (笑)。
hana そうですね……私はなんの経験もないまま入らせていただいたんですけど、minanさんという偉大な先輩がいて、ほかのメンバーはみんなもともと持っている才能もスキルもあって、このグループの中で自分は何ができるのかなってずっとずっと悩んできた1年間でした。まだ自分が何者なのか、どういうところで貢献できているのかわからないんですけど、やる気だけは増してきた(笑)。最初は何もわからないまま決まったスケジュールに体当たりで挑んで、いろんな方に迷惑もかけて……(涙を流す)。
minan ああ~。
mana ほら!(ティッシュを渡す)
sayo 仲間ができてめっちゃうれしそう(笑)。
hana (涙をティッシュで拭いながら)迷惑ばかりかけてきた1年間だったので、2年目にしてやっと「もっとがんばろう」と思える段階になったかなって。
minan 最近スイッチが切り替わったなというのは見ていてわかります。慣れてきたということもあると思いますけど、どういうことをやりたいのかとか、どうにかよくしていきたいとか、hanaの中でつかめるものがあって1段ギアが上がったのかなって。みんな個性に悩んでるって言うけど、もともと素晴らしい個性を持っているのに、なかなか自分では気付かないものなんですね。hanaでいうと、やっぱり執筆力。文章の力がすごいので。
──Qeticでコラム「“スキ”は細部に宿る」の連載を持たれてましたけど、経験が何もないところからいきなり単独で連載をやれたのはすごいことですよね。
minan 文章力、執筆力なんて一朝一夕に手に入れられるのもじゃないし、hanaが見えている世界、感じていることは彼女にしかない貴重なものだと思うから、大切に育てていってほしいなと思います。
歴10年の筋金入りヘッズ、さわやかに燃えるryuya
──そして、トリを務めていただくことになりましたが、ryuyaさん。どんな1年でしたか?
ryuya みんなそうだと思うんですけど、この1年は葛藤することが多くて……(声を震わせながら)。
minan・mana えっ?
hana (無言でryuyaにティッシュを渡す)
ryuya いやあ……(涙を拭いながら)僕もリリスクがもともと好きで、数えてみたら知ったのは10年前なんですよ。好きなトラックメイカーやDJの方が参加していて、mzaさんのデザインもすごく好きだったし……うう。自分がリリスクになったら、お客さんが時間を割いて、チケットにお金を払ってライブに来てくれている。100%満足して帰ってほしいという気持ちがあるんですけど、そこに対して自分は何ができるんだろうなってずっと考えてました。
──男女のバランス、さらに男子3人の中でどういう立ち位置でいるかというバランスを考えてしまいそうですよね。見た目通りの好青年という印象ですけど。
ryuya 必要とされているキャラクターを演じることも楽しいし、やりがいのあることだと思うんですけど、それとは別に、本当に自分が表現したいこともあって。でもそれはお客さんの求めていることなのかな?という葛藤のぶつかり合いというか。それはつらかったわけではなく、楽しさもずっとあって、その繰り返しでしたね。とりとめのない話になっちゃいましたけど……。
minan 今の話を聞いて、ryuyaくんがステージ上で表現したいこと、本当にやりたいことはどんなものなんだろうなって気になりました。見てみたいなと思ったし、きっとお客さんも同じだろうから。もちろん「お客さんが求めているものはなんだろう」と考えることも大事ですけど、たまには思い切り、自分がやりたい表現をやってみてもいいんじゃないかなって。
「仲良し8人組ヒップホップユニット」です
──前体制までのリリスクは「女性アイドルシーンで本格的なラップをやる」という明確な特殊性があって、その中でどう戦っていくか、さらにはどうやってシーンの外まで勝負をしにいくかというわかりやすい道筋があったと思いますけど、現体制はカテゴライズの難しい、相当特殊なポジションにいると思うんですよ。
minan うんうん、確かに。
──その特殊性が、すでに今のリリスク現場に通っている人たちの中で不思議な熱狂を生んでいて、以前からリリスク現場に通っていた人たちを見ても、過去とは別種の盛り上がり方をしているように感じます。明らかにヤバいグルーヴが渦巻いているんだけど、オルタナティブな存在としての面白みが増している分、説明が難しいなという。
minan 以前は「アイドルとヒップホップの架け橋になりたい」と言ってましたけど、今の体制だとそれもちょっと違うなと思うし。でも出ているイベントはアイドルさんとの対バンもあれば、「CITY GARDEN」みたいなヒップホップの現場もあって。確かにすごく難しい立ち位置ですよね。今のlyrical schoolを表すのに、どんな言い方がしっくりくるのかなという話はよくしていて、「これじゃない?」と思ったやつがあるんですけど……。
──なんでしょう?
minan 「仲良し8人組ヒップホップユニット」っていう……。
──(笑)。なるほど。
minan なんか、まず男女というだけでいろいろ言われるんですよ。「恋愛とかあるんじゃない?」とか「全員陽キャ集団じゃん」とか、もちろん「今までのリリスクと全然違うじゃん。観るのやめた」とかも。いろいろ言われるんだけど、ウチら仲良しだしーみたいな(笑)。仲良しの中にそういうゴタゴタって存在しないんですよね。陽キャもいるけどナードもいるし、基本的にはみんな1人で静かにしているタイプで。外からパッと見でイメージされる男女グループとは全然違う……ということを伝えるのに、「仲良し」という言葉が一番しっくりくるんですよ。
malik 人はもともと持っている自分のイメージに当てはめてしまうものだから、「あれっぽい」とか「こうしたほうがいい」とか言ってきますけど、それはいらない。ウチらの心配はいいから曲を聴いてくれ、という気持ちです。曲を聴いて、1回ライブに来て、一緒に遊ぼうよって思うんです。
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“リリスク史上一番いいアルバム”ついに完成