LUNA SEA / INORAN×J|結成30周年、バンドの礎を築いた2人が語り合う

結成、終幕、REBOOTの10年周期、
2人は何を思い活動していたか

──LUNA SEAの30年は10年活動して、約10年間終幕して、再び“REBOOT”を宣言して動き出して今に至るという、おおまかに10年区切りの歴史があります。

INORAN うん。そうですね。

──そういう10年の区切りで見たとき、最初の10年でバンドを突き動かしていたもの、例えばライバルはいましたか?

INORAN(G)

INORAN 最初の10年で言えば、ライバルはメンバーであり、自分自身でしたね。実は今もそうだと思っているんだけど、特にそれが強い時代だったと思う。5人が集まったときに役者がそろったんだけど、ただ単に団体、チームであるだけじゃダメなことはわかっていて。それはバンドとしてもそうだし、個人としても。だからメンバー同士が互いを高め合うライバルだったし、その一方で、自分自身を探し自分自身を見つけていく時代でした。

──Jさんの最初の10年のライバルは?

J ライバルというものよりも、刺激を受けたバンドはたくさんいたね。俺が見てきた日本のバンドも、外国のバンドも、すべてのバンドが個性を持っていた時代だった。だからこそ“カブったら負け”なんですよ。表現の仕方にしても、存在の仕方にしても、カブったら負け。だから向こうのバンドがこうやるんだったら、俺たちはこうしようとする風潮のある時代だった。そして、それが俺にとってのロックだった気がする。だからライバルというよりも、ほかのバンドの存在自体が自分たちの居場所を決めてくれたというか、行き場所を作ってくれた感じがするかな。あと、当然性格もあるんだろうね。先にやっている人がいたら、それはやりたくないと思う人間だからさ、俺たちは(笑)。誰もやったことのないことを見い出し、生み出していくこと。それはバンドの始まった頃から今まで何も変わってないね。10年という区切りの中では、バンドも成長したし、バンドとしてのドラマがそれぞれのシーンにあるから一概には言えないんだけども、でも全部がむしゃらだったよ。自分たちの居場所に対して。1つだってイージーなことはなかったと言えるね。

──終幕の間の約10年間は誰かライバルがいましたか? 音楽活動的にはソロ活動主体の時期だったわけですが。

INORAN 個人的には自分磨きの時間だった。自分を磨くことに必死だったね。LUNA SEAというバンド自体もそうだし、LUNA SEAのメンバーにも太刀打ちできないところがなんかあって。それは技術的なものではないんだけどね。それで自分探しをしたね、俺は。団体戦に偏りすぎるとダメなんだよ。いい妥協か、悪い妥協かはわからないけど、譲ったりさ、強さゆえじゃない優しさや弱さではいい結果は出ないんだよね。いい結果を出すにはみんなが光らないといけない。俺の中でのLUNA SEAにはそういうものが芯にあって、5人だからLUNA SEAなのか、LUNA SEAが5人なのかっていう論議が昔あったんだけど、いまだに答えは出ないですから。

──終幕の間、Jさんをミュージシャンとして突き動かしたものは?

J というよりも、LUNA SEAをやってきて、終幕を迎えて、そこまでの自分としては当然思い半ばの部分もあった。ただバンドという1つの生き物の中で受け入れなければいけない現実があったし、その中で譲れない自分もいて。何が正しいとか間違っているとかではなく、思い半ばの気持ちを抱えた自分と、1997年にソロを始めたときから音楽を生み出し続けている自分が同時に存在していることに気付いて。それぞれに素直に邁進している自分自身が2つ並走している感じがすごくしていたんだよね。バンドがなくなったわけだから、当然もう1人の自分がロックをやる人間として自らのビジョンを追いかけていくだけだと思ってはいたんだ。俺の場合、ラッキーなことに海外のミュージシャンとのつながりが多かったから、自分自身が聴いてきた本物に触れていく機会がどんどん増えたしね。終幕後、その世界に飛び込んでいくことでベーシストとしても、バンドマン、ロッカー、自分に1つの答えをくれると思ったんだ。

──その答えはLUNA SEAの終幕前には見つけられなかったんですか?

J LUNA SEAというバンド自体、ライブハウスから始まって大メジャーなバンドになったときに、その尺度が自分自身の尺度とちょっとズレてしまっていたんだよ。でもソロをやることで、俺のベース、俺のバンド、俺のロックがどう受け止められているかを日本だけじゃなく世界の中で測れたんだよね。終幕の10年はそうやって自分のことをつかめた機会だったとすごく思うなあ。

──ちなみに終幕の間、お二人は連絡を取り合っていましたか?

INORAN いや、連絡は取ってないよね。

J 連絡を取らなかったことに意味があったか、なかったかって話じゃなくて、たぶん連絡する必要なかったんだと思う。

INORAN そうだね。便りがないのは元気な証拠。だってガキの頃からの友達だからね、この2人は。

──高校で組んだバンドが続いているってすごいですよね。

INORAN しかもJと知り合ったのは中学校だからね。そう思うとすごいよね。

──今は楽屋などで会うとどんな話をするんですか?

INORAN 他愛もない話かな。

J(B)

J 逆にどんな話をしてると思う?

──まったく想像が付かないです(笑)。

J じゃあどんな話をしていてほしい?(笑)

──うーん。昨日何を食べた?とかですかね。

INORAN やっぱり他愛もない話ね(笑)。

──しかし中学校からの付き合いとなると本当に長い時間を一緒に過ごしたことになりますね。

INORAN うん。すでにJと音を鳴らし出してから四半世紀。でもあっという間だよね。そしてこれから先、まだ倍はあるし。

J 倍? まあ人生で言えば倍はあるかあ。でもその倍は今までの時間とは全然違うでしょ?

INORAN いやいやいや(笑)。同じくらいあるよ、たぶん。

J でも、身体が動かなくなってくるぜ?(笑)

INORAN 動かなくなるから逆にたくさん風景が観れるよ(笑)。

──お二人とももうすぐ50歳ですよね?

INORAN はい。

J SUGIZOが50だよ。捕まえたほうがいいよね(笑)。

INORAN なんの罪で?(笑)