Kaedeが密かに立てる計画
──Kaedeさんは、最新アルバム「Youth - Original Soundtrack」のジャケットのイラストを台湾在住の中田いくみさんが手がけていたり、台湾の方が朗読で参加していたり、引き続き台湾と縁がありますよね。
Kaede そうなんです。イラストも日本の方が描いたものと雰囲気が違っていて面白いですよね。チークの位置とか独特だなって思います。
──今回はどういったきっかけで中田さんに決まったんですか?
Kaede 私、台湾にさらに近付こうという計画を密かに立てていて(笑)。実は最近中国語を習い始めたんですよ。
菅原 えー、マジっすか!?
Kaede そうなんです。菅原さんはけっこうしゃべれるんでしたっけ?
菅原 僕はまったくしゃべれないです。現地の友人とは日本語と英語をミックスしてコミュニケーションを取っているので。
Kaede そうだったんですね。私はまた台湾に行けるようになったときのために、現地の言葉をしゃべれるようになりたいなと思って。もしいつかスーさんにお会いできたら中国語で話してみたいなとか。
菅原 いいですね。向こうの言葉を使って、台湾でアルバムをリリースしてほしいです。
Kaede やってみたい! 発音が完璧にできるようになれば夢じゃないかも(笑)。
菅原 日本でも90年代にアジア音楽ブームがあって、日本の歌手と台湾や香港の歌手がお互いの国の言葉を使って歌を送り合うということがよくあったんですよ。例えば、同じ楽曲を日本語版と中国語版、広東語版でリリースするみたいな。そのリバイバルをKaedeさんやNegiccoさんにやっていただきたいですね。
Kaede 面白そう! 発音をマスターするまで、まだまだ時間がかかるかもしれないけど(笑)。
現地で感じる独自の文化
──ちなみに音楽以外にも菅原さんがオススメしたい台湾のスポットはありますか?
菅原 さっき言った淡水は本当にオススメですよ。都心から少し外れで落ち着いていて、「台湾のベニス」とも呼ばれているんです。例えば1日目、2日目で都心を回って、ちょっと疲れた3日目とかにすごくちょうどいい。自然もあるし、いい雰囲気のカフェなんかもいっぱいあって。スーくんもそうなんですけど、みんな大きい犬を飼っていて、散歩させてたりしていてすごく自由な感じ。
Kaede スーさんが飼ってる犬、インスタで見たことあります! かわいい子!
菅原 インスタのアカウントがあるんですよね。ララっていうんですけど。
Kaede 菅原さんが一緒に載ってるのも見たかもしれない。
──先ほど、音楽的な感覚などは日本とそこまで変わらないという話がありましたけど、反対に日本との違いを感じる部分もありますか? 台湾独自の文化というか。
菅原 本質的に違うところはあまりないというのが僕の持論なんですけど……しいて言えば、食べ物が臭い(笑)。
一同 はははは(笑)。
菅原 あとシェアハウスも台湾の重要な文化かもしれないです。不動産が高騰しているとか社会問題もあるとは思うんですけど、20代、30代で台北の中心部に住んでいる人って大体みんな4人くらいで暮らしていて。部屋はそれぞれあるけど、ごはんを食べる場所は1つで、みんなではしゃぎながら食べるみたいな。そういう暮らし方がここまで定着しているのは、台湾独自の文化と言えるかもしれないですね。
台湾音楽に反映された歴史や地域性
──ここからは、菅原さんが事前にセレクトしてくださった楽曲について、具体的に解説していただきたいと思います。まず台湾の音楽を聴くにあたってオススメのポイントを教えていただけますか?
菅原 今はグローバル化もどんどん進んでいるので、その国独自の音楽性が見えにくかったりすると思うんですよ。例えばR&B、ソウル、ヒップホップが世界的な主流になっていて、それは日本でも台湾でも一緒なんですね。だからこそ僕は台湾ならではの魅力が反映されている曲をオススメしたくて。
Kaede なるほど。
菅原 台北にいる若者の大半は、今は基本的に中国語で話すんですけど、それとは別に台湾語というのもあるんです。その台湾語をあえてポップミュージックで使うという流れが1980~90年代にあって。それを今の若い人たちが再びやっていたりするんですね。歴史や昔から住んでいる人の文化を大事にしている曲がたくさんあるので、そういったところも台湾音楽の魅力だと思います。
Kaede 私も台湾で現地の言葉を使ってしゃべるには台湾語を学べばいいのかと思っていたんですけど、「大半の人たちは中国語で話しているんですよ」って教えてもらいました。台湾語は、基本は中国語と一緒だけど、表記が少し違うとか。
菅原 そうです、そうです。基本漢字は一緒だけど読み方がちょっと違うんですよ。中華圏ってほかにも広東語とかいろいろあって、そういうのって僕たちからしたら難しいけど、本人たちにとっては大事な問題なんですよね。歌詞に台湾語を使うのも、台湾で暮らしてきたというアイデンティティを大事にしているということの表明だと思うんです。なので今回はなるべく最新のトレンドも押さえつつ、歴史や地域性を感じてもらえるような楽曲を選びました。
2021年8月13日更新