音楽ナタリー Power Push - LEXT
余計な装飾なし、シンプルなメロディックパンクナンバーに込めた思い
「毎日生きてて最高!」みたいなものは一切ない
──ニューアルバムを作るにあたって、もともと何か構想があったんですか?
GEN 個人的には1stアルバムより成長したのものが出せるような音源がいいなと思いましたね。あとは何回も聴けるようなスルメみたいな1枚にしたいなと。そのぶんシンプルすぎちゃうところもあるかもしれないですけど、余計な装飾をするよりも何回も聴けるようなアルバムを作りたいなあと。
──なるほど。歌詞は全体的にネガティブなものが多い印象を受けました。
GEN あはは(笑)。歌詞に関しては今回、Minoriの脱退があったりもしてレコーディング中すごい詰め詰めで追い込まれてたので、それがすごいストレートに表れているかもしれません。前作までだとポジティブな曲も多いんですけど、今回の歌詞は「毎日生きてて最高!」みたいなものは一切なく、ふとしたときに出てきた言葉をつづりましたね。
──ストーリー性はあまりなく、感情をつづった歌詞が多いと思いました。歌詞は全曲GENさんですか?
NISHIDA 「Leave This Night」と「Metro」は俺が書いていて、あとはGENですね。
──へえ。全曲通して1人が書いている歌詞かと思いました。
NISHIDA 2人共メロディに合った英単語から歌詞を組み立てていくスタイルなので、テイストが近いんですよね。暗い歌詞が多い(笑)。
──でも10曲目の「Summer Night」だけ詩的ですし、ストーリー性があって。甘酸っぱくてほかの曲にはない表現だなと思いました。
GEN 前作まではドリーミーで「何言ってんのコイツ?」みたいな歌詞が多いんです。振り切ってて面白いかなと思ってやってたんですけどね。「Summer Night」は2015年に出したミニアルバム「ANOTHER NIGHT EP」にも入ってる曲なので、制作時期のモードの問題ですかね。でもそれもやり切っちゃったから、今作の収録曲にはあんまりほかのパンクロックバンドが言わないようなネガティブな歌詞を散りばめてもいいのかなと思って、重い曲ばっかりになったのかもしれません。
──「Endless Summer」はアルバムの中で唯一のカバー曲です。オランダのThe Travoltasというパンクバンドの楽曲だそうで。アルバムタイトルは「END OF THE SUMMER」ですが、収録曲の中でこの曲だけ唯一のサマーチューンですね。
GEN そうなんです。そのギャップを楽しんでほしいなと。「Endless Summer」は歌詞もバカなんですよ。
──イントロのラジオっぽい始まり方がいいですね。
GEN The Travoltasはオランダ出身だけど、もともとThe Beach Boysがすごく好きで、カリフォルニアのポップなサウンドに憧れてたみたいで。僕もそういう音楽がすごい好きだから、ラジオから流れてくるような感じにしたらそのニュアンスが出るかなあと。ラジオの前に「1、2、3、4!」っていう声が入ってるんですけど、それだけのためにDRADNATSのYAMAKEN(B, Cho)さんがコーラスを入れに来てくれました。
WANIMAとかONE OK ROCKの前座を勝ち取りたい
──アルバムができあがってみていかがですか?
PARTY GUY 1stアルバムはベスト的にまとめて出した感じたったんですけど、今回はアルバムを作るって決まってからスタジオにこもって作った曲が多いので、今のLEXTがよく出てるんじゃないかなあって思いますね。
NISHIDA うん。アルバムを作る目的で曲を作り始めてるから「曲が似ちゃうかなあ」って思ったんですけど、並べてみたらいろんな曲があるし、昔から聴いてた音楽とここ最近自分たちが好きな音楽が混ざった感じがしてよかったと思います。
GEN よかったよね。制作期間が長すぎて、アルバムできたあとはいつも「よかったなあ」しか出てこないです(笑)。
──RYOTAさんはレコーディングには参加していませんが、今回のできあがったアルバムを聴いてどんなことを感じましたか?
RYOTA 個人的にはLEXTは1stアルバムにパワフルでアップテンポな曲が収録されてる印象があって。そこを基準とすると、2ndアルバムはちょこちょこ変化球があるなっていうイメージですね。だからその変化球が前作までのLEXTが好きな人にも刺さってくれるといいなって思います。僕はアルバムによってサウンドが違うバンドが好きなので。
──今後、LEXTがシーンで目指す立ち位置のようなものはありますか?
GEN さっきもRYOTAと話してたんですけど、海外でライブしたり、海外のレーベルと契約したり、そういうことを目指していきたいなと。でもいい曲を作って、ライブをやっていきたいっていうのが一番ですかね。あと今は運がよくなりたいですね……。
──運?
NISHIDA あはは(笑)。今日もTHE SENSATIONSとの共同企画があったのに台風ですっげえ大雨だったしね(取材はライブ後に実施)。
GEN そうそう。あとライブ中にMVの撮影をしたけど、その曲でいきなりベースの音出なくなって止まっちゃったりね。
NISHIDA ごめん、あれは運じゃなくてミスなんだけど(笑)。
──NISHIDAさんが思う今後のLEXTの展望はどのようなものですか?
NISHIDA 今のインディーズのパンクシーンにはいろんなバンドがいるじゃないですか。それぞれ別々にバンドの音楽を聴いてきて、今その人たちが日本でメロディックパンクをやっていて、その中の1つが僕らで。だから自分らの好きな音楽と似てる似てないに関わらず、いいバンドといっぱい対バンしていきたいですね。あとは俺らの根底には「いい曲を作っていいライブをやっていきたい」っていう気持ちがあるので。ライブを観てもらって「また聴きたいな」って思って次のライブにも足を運んでくれたり、CDを買って聴いてくれたりする人が増えたらいいなあって感じですね。
RYOTA 僕は洋楽のポップパンクやメロディックパンクシーンのバンドを聴いて育ってきたので、海外に「日本を代表してLEXTがいた」みたいな歴史が残ってたらいいなあと思います。せっかく英語で音楽をやってるわけだから、世界は広いし、海外のリスナーにももっと知ってもらいたいですよね。
PARTY GUY 俺はもっと枝を伸ばしていきたいですね。いろんなフィールドに出ていきたい。LEXTを知らないような人たちの前でやったりとか。みんながどう思ってるかは知らないですけど……。
GEN いや、出たいですよ。WANIMAとかONE OK ROCKの前座、勝ち取りたいですよ。今までブッキング運がなくて落としてきたので、そこはホントにがんばりたいです(笑)。
収録曲
- I Don't Wanna Be Your Friend
- Leave This Night
- Wasted Time
- Another Story Goes
- Endless Summer(The Travoltas cover)
- Please Don't Wait
- Failing to Fall
- Metro
- My Future Is Not Bright
- Summer Night
ツアー情報
"END OF THE SUMMER TOUR"
- 2016年9月22日(木・祝)東京都 新代田FEVER
- 2016年10月1日(土)群馬県 GUNMA SUNBURST
- 2016年10月8日(土)山梨県 KAZOO HALL
- 2016年10月10日(月・祝)神奈川県 F.A.D YOKOHAMA
- 2016年10月29日(土)福島県 Out Line
- 2016年10月30日(日)秋田県 秋田LIVE SPOT 2000
- 2016年11月5日(土)山形県 酒田hope
- 2016年11月6日(日)宮城県 SENDAI BIRDLAND
- 2016年11月13日(日)千葉県 DOMe Kashiwa
- 2016年11月23日(水・祝)栃木県 宇都宮HELLO DOLLY
- 2016年11月27日(日)石川県 vanvanV4
- 2016年11月30日(水)京都府 LIVE HOUSE GATTACA
- 2016年12月1日(木)兵庫県 MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎
- 2016年12月18日(日)三重県 MUSIC SPACE 鈴鹿ANSWER
- 2016年12月23日(金・祝)神奈川県 横須賀かぼちゃ屋
- 2017年1月9日(月・祝)福岡県 Queblick
- 2017年1月27日(金)香川県 高松RIZIN'
- 2017年1月28日(土)広島県 Live & Cafe BoRDER
LEXT(レクスト)
GEN(G, Cho)を中心に2005年に結成されたメロディックパンクバンド。スリーピースバンド編成でデモ音源のリリースを繰り返しながらライブ活動を行う。2011年にGEN以外のメンバーが脱退。現在のフロントマン・NISHIDA(B, Vo)を含む新メンバーが加入し、4人組のツインギター体制となる。2014年にはI HATE SMOKE RECORDより1stアルバム「poolside」を、2015年には1stミニアルバム「ANOTHER NIGHT EP」を発表。2016年にはMinori(G, Cho / ex. PSYCHO FOOD EATERS)が脱退し、RYOTA(G, Cho)が加入する。9月にはニューアルバム「END OF THE SUMMER」がリリースされた。