その瞬間がSingularity
──12曲目「Ride On Music」は、「シンギュラリティ」と並ぶアルバムの重要な1曲だと思いました。Leadの今進むべき道を高らかに提示しているというか。
鍵本 これはライブだけで披露していた曲なんですけど、アルバムのリリースを発表したときにファンの人たちから「入れてほしい」という声が上がって。それで収録にこぎつけた感じですね。
──「こぎつけた」というのは?
鍵本 もともとは、ほかのアーティストの曲をサンプリングして作っていたんです。音源化に当たっては著作権的な問題もあるので、原曲の匂いをふんわり残しつつ、サウンドをちょっと調整して。
──そういうことなんですね。頭の中でRHYMESTERの「B-BOYイズム」が重なりました。
谷内 あ、言っちゃいました?(笑) でもそういうのはヒップホップだと普通にある文化だったりするので。“美学”いただいちゃいました。
鍵本 僕たちが青春時代にどっぷり聴いていた音楽だから。
古屋 ルーツだよね。音を聴くと体が敏感に反応しちゃう。
──それと同時に、Leadの未来をしっかり感じさせる内容にもなっているのがすごいなと。
谷内 そうなんです。僕らって長いことやっているだけあって、お互いの色をわかってるからこそできることがあるし、これからもそれを信じて曲を作っていきたいと思う。そういう気持ちをストレートに詰め込めこんでみました。
──「Ride On Music」で盛り上がったあと、アルバムを締めくくるのは最新シングル「H I D E and S E E K」。アルバムの中でこの位置にあると、単体で聴くのとはまた違った聴き応えがありますね。
古屋 「Ride On Music」には僕らのルーツ的な要素が入ってるんですけど、「H I D E and S E E K」も僕らがダンスを始めた頃に踊っていたニュージャックスイングがベースとなっていて。「Ride On Music」から「H I D E and S E E K」の流れで最後を締めるのは、僕たち自身も落ち着くというか、原点に帰る感じがあります。
──アルバムを作り終えて、「自分たちを超えていく」というテーマはどのくらい達成できた実感がありますか?
鍵本 かなり納得のいく1枚になったし、妥協なく作れました。でも“Singularity”は僕らにとってずっと続いていくテーマでもあるんだと思います。日々の鍛錬で自分たちのSingularityを見付けて超えていく。その瞬間、瞬間が常にSingularityで、今の自分たちを超えていく時間なんだなと。
谷内 今回は自分たちの中でも「新しいLeadを作りたい」って気持ちが強かった気がする。振り返ったときに「あのアルバムは転機だった」とか「特異点だった」って思えるような作品になっているといいですね。あと今はこのアルバムをステージで表現する日がとにかく楽しみです。
俺たちもまだイケる!
──ライブパフォーマンスにおける「自分たちを超えていく」ことについてはどう考えていますか?
鍵本 昨日よりも今日、今日よりも明日という精神で、常に見せつけていきたいと思っています。基本的にパフォーマンスありきで楽曲も選んでいるし、会場に皆さんが来てくれて、みんなの声が入ることでライブが完成するというスタンスです。これからも踊り散らかしていきたいです(笑)。
古屋 踊りはもちろん、歌ももっとうまくなりたい。もっと素敵なプレイヤーになれるよう日々精進です。
谷内 ライブはもちろん、普段からどれだけいろんなアイデアをサプライズとして発信できるかが大事だと思うので。予想外のものをいっぱい詰め込んで、これからも活動していきたいなと思います。
──18年も続けている男性ダンスボーカルユニットは稀だと思うのですが、ここまで続けられたモチベーションはどこにあると思いますか?
古屋 やっぱりファンの方々や事務所、こうして支えてくださるメディアの皆さんに恩返しをしたいという気持ちでしょうか。期待してくれる人、活躍したら喜んでくれる人がたくさんいるので。
鍵本 もっといろんな人にLeadを知ってもらいたいという気持ちは確実に1つのモチベーションになっています。そして支えてくれている皆さんを、もっと大きい会場に連れて行きたいですね。
谷内 最近、台湾のアーティスト・呂思緯(グーグー)とコラボレーションさせてもらったんですけど、これも大きなチャンスだったと思います。海を越えて、もっと幅広い活動をしていきたいです(参照:Lead [Official] (@Lead_tv) | Twitter)。
──今までの活動で行き詰まったり、飽きてしまったりしたことはないんですか?
鍵本 飽きはないですね。毎回チャレンジすることが違うので。
谷内 あとは何事も楽しむ気持ちを絶対に忘れちゃいけない。「みんなを楽しませるために楽しもう!」と常に思っています。
古屋 事務所の先輩のISSA(DA PUMP)さんが現役バリバリの姿を見せてくれてるのも大きくない?
谷内 そうだね。ISSAさんがあれだけ動けるなら「俺たちもまだイケる!」「いかなきゃ!」って。
鍵本 そんな先輩の大きい背中を見ていると、「いつかその背中を超えたい!」という気持ちが燃えてくる。18年目もまだまだ自分たちが信じるものを貫いて進んでいきたいと思います。