ナタリー PowerPush - LAMA
フルカワミキ&田渕ひさ子インタビュー
04. ほかの活動とLAMAの相違点
──bloodthirsty butchersやtoddleなど、ひさ子さんがやっているほかの活動とLAMAを比べて、一番違うなと感じるところを教えてください。
違うところはすごくいっぱいあるんですけど、一番はドラムがいないってことですかね。あははは(笑)。生ドラムがいないってのは目に見えて一番違うところだと思います。
──ドラマーがいないと曲の組み立て方、作り方は変わりますか?
やっぱりおうちで考えるようになりますね。ドラマーがいるとスタジオでセッションぽくなるし、全くのセッションでなくとも曲を合わせてるうちにドラマーがドカドカドカ!って叩きだしたら「おおー」ってみんな付いてくみたいな、そういう成り行きで進むことがよくあると思うんですよね。ドラマーがいないと、そういうセッションっぽいことはやらずに。だから作業の面では全然違います。
──楽曲制作は、共有サーバに素材や曲をファイルで置いてるとのことですが、ひさ子さんもネットワークを介してそれに参加してるんですよね?
そうですね。ギターを一生懸命パソコンの画面に向かって弾いてます(笑)。
──田渕ひさ子というギタリストがやってる作業として、意外に思いました。
よく言われます。ふふふふ。パソコン使えるんですか?みたいに(笑)。でかいアンプでジャーンってギターを鳴らしてピーッていわせてるみたいな印象が強いのかな。でも家で録るのもわりと好きなんですよ。ここにはこれって考えながら弾くのも結構楽しい。ブッチャーズではパソコン使ってなんて絶対しないですけど、toddleではちょっと仮歌入れてコーラス返してもらって、ぐらいはたまにデータのやり取りでやってたんで。「デモができたよ」って送ったらギターが入って返ってくるみたいな。だから抵抗は全然なかったですね。
──でもひさ子さんのパートに限って言えば、最終的に音源になるときにはスタジオに入って録るんですよね。
はい、そうですね。
05. ほかのメンバーの紹介
──では次は、自分以外のメンバー3人をひとことで紹介してみてください。
まずミキちゃんは、かわいいです。かわいいんですよ、めちゃくちゃ。隙があるような、でも完璧みたいな感じがしますね。人間的なかわいい部分、チャーミングな部分として隙があるんだけど、それも含めて完璧みたいな。すごくかわいいって思ってます。顔ちっちゃいなーとも(笑)。ナカコーさんはね、すごくまとめるのが上手ですね。優しいし、こうしたらいいんじゃないってアイデアもくれるし。全体をちゃんと見てるんですよ。すごく広く遠くからも見れるし、近くに来て細かくも見れる人。素晴らしいプロデューサーです。それで、あと……面白い人。ちょっと皮肉っぽいというか、すごく素直な人だと思うんですけど物事をちょっと斜めに見てるというか。ユーモアのセンスがあって。
──ひさ子さんとナカコーさんって同世代ですよね。
ナカコーさんは1歳か2歳下なんです。でもまあ大体同世代ですね。実は最初は、ナカコーさんってすごく喋りにくい人かなって思ってたんですよ。話しかけても返事してくれないんじゃないかみたいな勝手なイメージがあったんですけど、ちゃんと真摯に返してくれる人でした。あ、あと、ミキちゃんは育ちがいい感じがします。
──お嬢さまなイメージですか?
いや、例えるならおうちにおばあちゃんとかおじいちゃんもいる家庭で大事に育てられた感じかな。ミキちゃんは、スタジオから「お疲れさまでした」って出ていくときに、台の上に置いてあるコップをちゃんと重ねて片付けたりするんですよね。それを見て、なんて良い子なんだろう!って思った覚えがあります。コップに残ったお茶を流しに捨ててキレイにして帰ったりするところを見て、偉いーって感動しました。スタジオって「誰かがするでしょー」って感じでそのままにして帰っちゃうようなノリがあると思うんですけど、ミキちゃんはすごくしっかりしてるんです。
──ああ、なんだかひさ子さんが感じてる気持ちがわかった気がします。じゃあ牛尾さんはどうですか?
牛尾さんは面白いですよ(笑)。自分がLAMAの中でどういうキャラでやってったらいいかみたいなことをすごくよくわかってらっしゃる。後輩キャラ(笑)。あとは、音楽制作の面でたまに(両手を目の横に当てて視野を狭くしながら)こうなっちゃうとこもありつつ。それも人間味があってすごい面白いし、頭がいい人。バンドも、牛尾さんがいると、より雰囲気が良いような気がします。みんなちょっと困ると牛尾さんに振っちゃうみたいな。それで、すごくバランスが取れてるんだと思います。
06. マイブーム
──突然ですが今のマイブームはなんですか?
ええ、なんだろう……。私ホントに人間的に面白くない奴なんですよね。あんまり趣味とかもなくてですね……困ったな……(長く考える)。
──ハマってるものもない、変わったこともしない、困ったな困ったなっていうことは、きっと音楽がマイブームなんですかね。
あはははっ(笑)。面白くない奴ですねえもう。そうですね、例えばレコーディングばっかりだと割とストレス溜まるんです。作ってるときって結構ウーンってなっちゃうから。でもライブをやるとパーっと発散されるんです。……あ、最近、炭酸飲料が好きですね(笑)。昔は嫌いだったんですよ、炭酸飲料って。オエッてなるぐらいだったんですけど、最近すごく好きです。
──なんで変わったんですか?
わかんないです。けど20代後半ぐらいを境に、変わりましたね。なんかエナジー系の炭酸を見ると必ず買っちゃいます。ドデカミンとか、デカビタとか、オロナミンCとか。
07. 今後の野望
──では最後に、今後LAMAで果たしたい野望を教えていただけますか。
野望ですか。LAMAとしての。うーん……どうしようかな……。曲を作ってる過程とか現場とかは楽しくできて、かつ音楽の中には緊張感もありつつカッコいいものができればいいなと思います。
──それは音源もライブもですかね?
ライブはまだ予定が決まってないから、そんなに頭になかったな。ライブは全員でやるものですから(笑)、4人でやりたいですね。どんなふうになるのか。前はああいう形態だったので、4人でどういう雰囲気でライブをやるかは楽しみですね。
──じゃあ、当面の野望は、緊張感があるカッコいい音源を出すと。
もちろんCDはいろんな人に聴いてもらいたいし、全く売れないじゃ困るんですけど、でも万人に受ける当たり障りのないものではなく、どっか角の立った音楽をやっぱやりたいなと思います。
LAMA(らま)
中村弘二(Vo, G)、フルカワミキ(Vo, B)、田渕ひさ子(G, Cho)、牛尾憲輔(Programming)の4人からなるロックバンド。2010年12月結成。2011年4月、東京・WWWでKIMONOSと対バンを実施。これがお披露目ライブとなる。この模様はライブストリーミングチャンネル・DOMMUNEにて生中継され、約8万人が視聴した。同年8月に1stシングル「Spell」をリリース。